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「ピンポイント就活」学生への対策としてのインターンシップ

/news/news_file/file/【コラム】「ピンポイント就活」学生への対策としてのインターンシップ.png 1
28年卒学生向けのインターンシップ募集が、いよいよ本格的にスタートする時期を迎えました。
近年の新卒採用市場を振り返ると、学生の就職活動の様相は大きく変化しています。その象徴的なキーワードの一つが「ピンポイント就活」です。本稿では、26年卒で顕在化し、一過性ではない動きと考えらえる「ピンポイント就活」の特徴を整理したうえで、28年卒のインターンシップ動向を展望し、企業が今、この時期にどのようなスタンスで学生と向き合うべきかを考えていきます。

「ピンポイント就活」とは


ピンポイント就活とは、学生が限られた企業群に強く焦点を当て、満足度の高い1社から内々定を得た時点で就職活動を終了する動きを指します。26年卒で顕在化した、従来とは異なる就職活動のトレンドを示す言葉です。
25年卒以前の就職活動では、全体で20社程度の企業に“浅く広く”エントリーをし、2・3社の内々定を得て、最終的な1社を選ぶというのが一般的でした。しかしながら26年卒では、数を絞って“狭く深く”エントリーをする学生が増加しました。売り手市場にもかかわらず、内々定「1社」の学生が増加したのは、満足度の高い企業から内々定を得たらそのまま就職活動を終了する、という動きが広がったためです。【図1】
この背景には、いわゆるタイプ3・4に該当する、就業体験を伴う長期インターンシップや、低学年向けプログラムの拡充が考えられます。時間をかけて深く理解し、志望度が高まっている企業からの内々定を得られたら、悩むことなく入社を決めるという層が出てきているようです。
こうした「ピンポイント就活」層の存在は、27年卒採用においても予想されています。広報活動開始の直前、2月の調査結果によれば、インターンシップ等のキャリア形成プログラムへの参加率は85.6%と前年に引き続き高水準を維持しています。【図2】
さらに、3月以降に企業へエントリーする予定社数を聞くと、前年から1.3社減少し、平均6.7社となりました。文理別にみても、いずれも前年から減少しました。【図3】

インターンシップ・仕事体験の実施有無と採用充足率の関係


近年、新卒採用市場は売り手市場が続いており、企業にとっては計画通りの人数を確保することが難しくなっています。26年卒の採用充足率(内定者数/募集人数)は69.7%と、採用スケジュールが変更された17年卒以降の同時期の調査で過去最低でした。【図4】
こうした中で、企業側の採用活動に目を向けると、インターンシップ・仕事体験の実施状況と採用活動の結果との間には差が見られます。採用充足率をインターンシップ・仕事体験を実施したかどうかで比較すると、実施した企業では75.3%、実施しなかった企業では60.6%と、実施した企業の方が14.7pt採用充足率が高い結果となっています。【図5】
これは単に母集団形成の問題だけではないでしょう。インターンシップ等を通じて、学生は仕事理解を深め、企業側も学生の価値観や強みをより具体的に把握できます。相互理解が進んだうえでの選考は、結果的にミスマッチの低減や内定承諾率の向上につながりやすいのです。
特に、ピンポイント就活の傾向が強まる状況下では、「知られていない企業」は選択肢にすら入らなくなるリスクを抱えています。インターンシップや仕事体験は、その企業が学生の“視野に入る”ための、極めて重要な接点と言えるでしょう。

27年卒の動きから見る、28年卒のインターンシップ動向


では、28年卒の学生はインターンシップに対してどのような姿勢で臨むのでしょうか。27年卒の動向を踏まえると、いくつかの特徴が予測されます。 第一に、インターンシップ等のプログラム参加率は引き続き高水準で推移すると考えられます。27年卒5月時点の調査結果を見ても、98.0%の学生がインターンシップ・仕事体験に参加したいと回答しており、この取り組みは「一部の意欲的な学生のもの」ではなく、就職活動に向けた準備として、標準的なプロセスとなっていることがわかります。
第二に、インターンシップ等は学生に「適職を見つけるための機会」と捉えられている点です。インターンシップ・仕事体験に参加する目的を聞いた結果を見ると、特に回答が多かったのは、「どの業界を志望するか明確にするため(70.3%)」、次いで「どの職種を志望するか明確にするため(59.1%)」「特定の企業のことをよく知るため(51.4%)」「視野を広げるため(51.3%)」などでした。【図6】
結果からも分かるように、この時点では学生の志望はまだ具体的に定まっているわけではなく、業界・職種・企業について幅広く探索している段階にあると言えます。企業にとって見れば、インターンシップ等のプログラムは、すでに志望度が固まった学生を選抜する場というよりも、学生が自らの進路を考える過程に入り込み、選択肢の一つとして認知・理解してもらうための重要な機会であると言えるでしょう。
第三に、複数社のインターンシップに積極的に参加しようとする姿勢です。27年卒の広報活動開始の直前、2月の調査結果をみると、これまでに応募や申し込みをした平均社数は、「インターンシップ1.6社」「仕事体験5.8社」「オープンカンパニー、キャリア教育7.3社」と、計14.7社に応募していたことがわかりました。一社で結論を出すのではなく、異なる業界・職種・規模の企業を比較しながら、自身の志向を整理していく。こうした動きは、ピンポイント就活の「前段階」としての探索行動とも言えるでしょう。

「選択肢を絞る前」の今こそ、企業が果たすべき役割


重要なのは、学生が最終的な選択肢を絞り込む“前”のタイミングです。多くの学生がインターンシップ等を積極的に探し始めるこの時期は、学生がまだ視野を広げようとし、自身の適性や可能性を模索しているフェーズにあります。 こうした段階において企業に求められるのは、学生の意思決定を急がせることではなく、インターンシップ等を通じて学生の学びや成長を後押しすることだと言えるでしょう。実際、キャリアデザインプログラムアワードの調査結果からも、企業への志望度を高める要因として、「インターンシップの満足感」や「事前・事後学習の充実」、「就業体験の充実」、「社会人基礎力の向上」といった要素が重要であることが示されています。【図7】
インターンシップ等に参加したことで、スキルや能力が向上した、成長を実感できたという知覚・認知が学生の中に生まれると、それが間接的にも直接的にもその企業への志望度の向上につながっていくことがわかっています。つまり、学生の学びや成長に真摯に向き合い、それを支援する姿勢そのものが、結果として企業の評価や選択につながっていく構造があるのです。
インターンシップ等は、単に企業理解を醸成する場でも、早期に結論を求める場でもなく、学生の成長プロセスを支援する場として設計されることが重要だと言えるでしょう。

「ピンポイント就活」時代におけるインターンシップの役割


ピンポイント就活は、決して否定されるべきものではありません。むしろ、情報過多の時代における合理的な意思決定の形とも言えます。だからこそ重要なのは、学生がその選択に至るまでの前段階で、十分に試行錯誤し、自身の適性や選択肢を見極める機会を持てているかどうかです。
インターンシップは、まさにその前段階を支える役割を担います。学生にとっては、業界・職種・企業に対する理解を深めながら視野を広げ、納得感のある選択へと至るための重要なプロセスとなります。一方、企業にとっても、自社の仕事や価値観を丁寧に伝え、学生との相互理解を積み重ねていくことで、「数ある選択肢の中から最終的に選ばれる存在」となる可能性を高める機会と言えるでしょう。そうしたプロセスを経た結果としてのピンポイントな選択は、学生・企業双方にとって望ましいマッチングにつながるはずです。
28年卒採用に向けて、インターンシップを単なるイベントや広報施策として捉えるのではなく、学生のキャリア形成に寄り添いながら、丁寧なマッチングを積み重ねていく機会として位置づけ直すことが、今、企業に求められています。
  • Organization 株式会社マイナビ 社長室 キャリアリサーチ統括部

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  • 調査・データ 更新日:2026/04/30
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