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学生座談会でリアルな声を聞いてみた
「長期インターンシップ」に学生が求めるものは?

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学生にとっても、インターンシップは貴重な就業体験機会です。中でも、社会人としての自分をよりリアルに想像することのできる「長期インターンシップ」に興味を示す学生が増えてきています。

しかしながら、数週間から、長ければ数ヵ月という長期間にわたって学生を受け入れる企業側としては、どのような準備をすればよいのか悩ましいところ。
そこで今回は、とある大学生のビジネスコミュニティが開催する「長期インターンシップ」をテーマにした座談会へ同席させてもらいました。学生の皆さんからのリアルな声をお届けします。

<座談会メンバー>

座談会は、まず「学生は長期インターンシップに参加するべきか?」というテーマから始まりました。参加メンバーは全て長期インターンシップの経験者。その経験から、どのような思いを抱いているのでしょうか。
さとむ:私は大学3年生の5月ごろから学生ビジネスコミュニティでインターンシップを始めて、始める前よりも社会人とコミュニケーションを取ることや、いろんな働く経験ができたので、すごく参加して良かったと思うし、参加するべきだなと思っています。
同じインターンシップに参加されていたそうたさんはどう考えますか?

そうた:そうですね、僕も学生目線から「参加した方がいい」と思います。社会人と関わる機会を持つと将来の備えとして役に立ちますし、どうやって仕事を進めるのかを理解しておくだけでも、実際に社会人になったときにあまり戸惑わずに、ストレスなく仕事に入っていけると思います。
あとは「成果に向き合う経験」ですね。これは学生時代に経験しておくと絶対にいい。

また、企業目線から考えても開催した方がいいと思います。インターンシップが良かった企業は口コミで広がるので、採用ブランディングの観点でもメリットが大きいんじゃないでしょうか。実際に経験した人の声は広がっていくので。
あと、理解が深まって、入社の志望度が上がりますね。僕はインターンシップをしていた会社に入社するということもあって、強くそう思います。

れん:僕は、どんどんいろいろな経験をするべきだというスタンスなので、長期インターンシップは参加するべきだと思います。
自分で経験して良い勉強になったと思うし、実際、長期インターンシップに参加していない人と比べて、社会に出るための「準備」というところで大きな差が付くのではないかと思います。

さとむ:れん君はいろいろなインターンシップの経験をしていますが、それによって学生生活はどう変わったと思いますか?

れん:(インターンシップを経験していない学生と比べて)「学生生活」そのものが、社会に直結しているかどうかの違いが一番大きい気がします。
アルバイトだけだと、自分が社会にどう貢献しているのかイメージが湧かない。
でも会社という、世の中に価値提供する組織に身を置くことで、自分は社会に対してどういう立ち位置から関わっていくのかについてのイメージを持つことができるのは一番大きな違いなんじゃないかなと思います。

さとむ:私も、それがアルバイトとインターンシップの大きな違いかなと感じています。アルバイトは基本的に言われたことをただこなすだけ、自分の意見もなかなか反映してもらえないと感じていて。
一方でインターンシップは、自分の意見をそのまま採用してもらえたり、結構責任のある仕事も任せてもらえたりするというところで、社会との接点を持ちやすいととても感じたので、れん君の意見には共感しますね。

れん:長期インターンシップは自分にできることを探して、できることを磨くといったイメージがあるので、そこはアルバイトと大きな違いなんじゃないかな。

座談会に参加した皆さんは一様に、「長期インターンシップに参加して良かった」との感想をお持ちでした。短期インターンシップと異なり、その名のとおり長期間「社会人の一員」として企業や組織に身を置く経験をすることで、自分のキャリアをしっかりと考え、研鑽する機会になると考えているようです。
この記事をお読みの採用担当者の方は、そうたさんの「採用ブランディングにも有効で、志望度も上がる」というコメントには考えさせられる点があるのではないでしょうか。

座談会は続いて、読者の方々も気になるであろう「長期インターンシップによって志望意欲がどう変化するか」についての話に移ります。
最初のテーマでは、そうたさんが「入社意欲が上がった」と話していましたが、他の3名はどのように考えているのでしょうか。
さとむ:皆さん、長期インターンシップに参加することで企業への理解度が深まったり、志望度が高まったりしましたか?

私はいま、食品系スタートアップ企業でインターンシップをしているのですが、元々その企業に新卒で入りたいという気持ちが強くありました。
でも、スタートアップであるだけに研修制度が整っていなかったり、私自身がまだ大学3年生だったりという事情で、ひとまずインターンシップ生をやっています。
でも結果的に、企業や業界についてより深く理解することができて、インターンシップに参加して良かったなと感じているんです。
私と同じ24年卒のれん君には、そういった経験はありますか?

れん:就職先を選ぶ理由として、「人」「カルチャー」といったことが決め手になる人って、すごく多いと思うんです。
その点で、業務の進め方とかビジネスモデルとかは、多くの企業である程度、共通するところがあると思っているので、人やカルチャーに関する実感をちゃんとくみ取るためにも、インターンシップに参加するのは大事だなと思っていますね。

実際、自分もインターンシップの中で関わった社員さんやメンターの方、オフィスを実際に見て感じた雰囲気をもとにして入社を決めるといったところもありました。
その企業が持っているカルチャーや人、雰囲気を知ることができたことで、(入社意欲に)少なからず影響したんじゃないかなと思います。
あと、一緒に参加する学生に対して、「この人たちいいな」と思えたりするのも、志望意欲に影響するんじゃないかと思います。

長期インターンシップが、企業・業界理解の助けになるだけでなく、カルチャーや人柄の理解にも大きく影響しているという意見です。
確かに学生アンケートの結果を見ると、「行きたくない会社」の条件として「暗い雰囲気の会社」は根強く、最新版でも「ノルマのきつそうな会社」に次ぐ2位となっています(※)。
(※)出典:マイナビ2023年卒大学生就職意識調査

会社のカルチャーや雰囲気は、実際に入社するまで分からないものですが、その時点で合わないと感じて早期離職につながるのは企業・学生双方にとって大きなデメリットです。
志望意欲の醸成もさることながら、早い段階で自社のことを深く知ってもらうという点でも、長期インターンシップには価値がありそうです。

続いて、座談会は長期インターンシップを通じた自身の成長についての話題になります。
ここまでの話でも、ビジネス感覚の習得など成長を感じている参加者が多いようですが、もう一歩踏み込んだエピソードも聞かれました。

さとむ:まなそんさんにお伺いしたいのですが、複数の長期インターンシップに参加されていていると思いますが、その中で何か自分自身に変化ってありましたか?

まなそん:そうですね。今自分がやっている業務はもちろん、相手がしている業務まで含めて「自分ごと」として捉えることができるようになりました。

具体的に言うと、私が参加している通信制高校のインターンシップでは、勤務時間の最後20分で「同僚にフィードバックをする時間」が設けられています。同僚に対して「こういうことが良かったですね」っていうフィードバックをする時間ですね。
最初はすごく表面的なフィードバックしかできなくて、「~~で助かりました、マル」みたいな。ただ、それが続いてしまうとマンネリ化して、こんな表面的なフィードバックを与えても絶対うれしくないだろうなって、どんどん気づき始めるんですよね。

そこで、フィードバックについての本を図書館から借りて、より具体的なフィードバックをできる人になろう、と思いました。
これって「自分ごと」として周りの状況を捉えているから取れた行動だと思うんです。それがインターンシップに参加するメリットだと思います。

さとむ:なるほど。ありがとうございます。
私もインターンシップに参加して、よりインプットとアウトプットが増えたなって思っていて、それもまなそんさんと同じように、「自分ごと化」ができるようになったことの一つかなあと思いました。

例えば今、インターンシップでSNSの運用をさせてもらってるんですけど、投稿のデザイン性を結構重視するようになってきて、すると、これまでなんとなく見ていただけだった広告にも、「このデザインいいな」「自分が運用する時にこのデザイン使えるな」って思えるようになったりします。そういう意味での「自分ごと化」は私も増えたので、共感できます。

インターンシップにおける「フィードバック」の重要性は広くいわれることですが、実際に参加した学生から出た「他人の業務も含めた自分ごと化」というメリットは、実際にやってみるまで気付くことができないのではないでしょうか。 このような視点を持った学生が新入社員として入社してくれたら、頼もしいですよね。

座談会は最後のテーマに入りました。学生目線から見た長期インターンシップのメリットを語るパートですが、実際に聞いてみると企業目線からも参考になる意見が続々と出てきます。

さとむ:コロナ禍でサークルもアルバイトも満足にできなくて、「ガクチカ」もないし、とりあえずインターンシップに参加しなきゃ、といった学生も多いという話を聞きます。
そこで、実際にインターンシップでの経験が就職活動に役立ったのかどうかを伺いたいです。

そうた:僕は内定者期間のインターンシップの方が長いので、個人の経験としてはどう就職活動に役立ったのかは明確に言えないんですが、そうかなと思えることが2つあります。

1つは、会社や業界だけでなく、「職種」に対する理解が深まるっていうのはすごくいいと思っています。
志望理由で、「こういうことをやりたくて、御社のこういうのが合っています」まで言える学生は、たぶん多いんです。でも「自分の力をこうやってこの営業職に生かせます」と具体的に言える人はあまりいないのではないでしょうか。

例えば、「営業職」はモノやサービスを売るからコミュニケーション能力がすごく必要なんじゃないかと思いがちなんです。
もちろん必要ではありますが、いかにクライアント企業のキーマンをつかむか、社内の誰を巻き込んでアプローチするか、みたいな戦略性も大事だったりする。業種によっては、コミュニケーション力よりも調整力が大事とか。多分いろいろあるんです。

そういう解像度が上がった状態で自分をアピールできるっていうのは、役立ったのかなと思っています。

もう1つは、「目標志向」を学べたことです。僕は大学で「よさこいサークル」をやっていて、一応目標を掲げてはいたけど、思考の深さが本当に学生レベルだったなと今感じているんです。
社会に出て働いている人って、成果を出さないといけない。すごく高い目標に対して、逆算してどうやっていくかという思考法は本当に勉強になるし、知っているだけで武器になると思うんです。
たぶんそういうのを分かっている学生の方が入社後すぐ活躍できたりすると思いますし、面接で出てくる言葉とか、考え方に明らかな違いが出てくるはず。
そういった大学生活では触れることができない経験ができたのは大きかったです。

さとむ:ありがとうございます。両方すごく共感したのですが、特に「職種理解」は、腑に落ちる部分がありました。
というのも今、学生ビジネスコミュニティで広報担当としてインターンシップをさせてもらっているんですが、広報に求められる力って、「発信力」より「関係性づくり」なんだな、とインターンシップを通して知ったんです。職種・仕事内容は、実際にそういう経験をしないと理解できないところがあったなというのが、私の実感としても確かにあります。

続いて、れん君は長期インターンシップが就活に役立ったなということはありましたか?

れん:そうですね。インターンシップでの経験もそうですし、インターンシップで付いた実力も役立ったなと。重要な選考の場面で生きたと思います。面接の内容とかじゃなく、グループディスカッションとかワークの仕事の進め方といったところで、すごく生きました。

長期インターンシップで経験することって、社員の皆さんがやっている業務に入らせていただけるじゃないですか。だから、仕事や議論の進め方を近くで見てるんです。
それをグループディスカッションの場に応用すれば、「次に何が起こるのか」「どんな議論をすればいいのか」というのを予測を立てて立ち回れる。これってすごくメリットだと思っています。

あと、グループディスカッションの中で「この人に任せられるな」と思ってもらうための「しゃべり方」とか「見せ方」みたいなところは、普段一緒に働かせていただいている社会人の方々の喋り方から学ぶとか。そういうところで、実力面と、見せ方の面、どっちにおいても経験がすごく生きたなと思いますね。

さとむ:れん君がまねしている「見せ方」のコツを教えていただいてもいいですか?

れん:感覚的なところが多いと思うんですが、特徴で言うと、やっぱりみんなハキハキしゃべってるし、1回「間」をつくる。
「~だと思うんですよ………で、」という感じ。
あとはちょっと2~3秒ぐらいのジョークを挟むとか、場を和ませるテクニックは共通していろんな人がやってると思ったので、まねしてみたりしました。

さとむ:なるほど。確かにそういう話し方のようなテクニックでも、単にまねするのではなくて、実際の現場で見たもの、学んだことを再現することで有利になるなと感じました。ありがとうございます。
まさに「背中を見て育つ」という諺を体現したようなエピソードが最後に出ました。学生にとって最初の「社会人体験」の場であるとも言えるインターンシップにおいて、私たち社会人側は、想像よりも「見られている」ということは肝に銘じておいた方がいいのかもしれません。

冒頭にブランディングの話もありましたが、まずはしっかりと学生と向き合い、同時に背中を見られていることも意識して、真摯にインターンシップに取り組むことが重要そうです。そうして彼ら・彼女らのキャリア形成支援に寄与しながら、自社の人・カルチャー・仕事理解を通じた志望意欲の醸成を図るのが、目指すべき姿と言えるかもしれません。

改めて、さとむさん、そうたさん、まなそんさん、れんさん、ありがとうございました!
  • Organization HUMAN CAPITALサポネット編集部

    HUMAN CAPITALサポネット編集部

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  • 人材採用・育成 更新日:2023/04/14
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