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2023年卒学生に調査!企業選びの本音に迫る|学生にとっての「安心・安定」「成長環境」とは?

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売り手市場傾向の強い昨今の採用市場では、「学生に選ばれる企業」であることは安定した採用活動には欠かせません。
そして、過去の調査からZ世代(※)の学生が企業選びの軸にしているのは、「安定」と「安心」の傾向が強いことが分かっています。

とはいえ、一口に「安定」や「安心」と言っても、その意味するところはなかなか見えてきません。単に「大企業であること」や「給与が高いこと」を指しているのでしょうか。

そこで今回は、1,000名を超える2023年卒学生にアンケートを実施し、彼ら・彼女らが考える「企業選び」の価値観について本音を探りました。
今後の採用に向けてトレンドをつかみ、採用広報にお役立ていただければ幸いです。

※ Z世代:この記事では、1990年代後半から2010年の間に生まれた現在12歳〜24歳程度の世代と定義します。


<アンケート概要>

【調査概要】「2023年卒 就職活動における価値観に関するアンケート」

  • 調査期間/2022年8月4日(木)~8月11日(木)
  • 調査方法/WEB入力フォームによる回収
  • 調査対象/2023年3月卒業見込みの全国大学3年生、大学院1年生(調査開始時点)
  • 有効回答数/マイナビ2023会員 1,802名(文系1,070名 理系629名 その他・回答なし103名)
    就職活動継続率:継続中28.9%(文系65.9% 理系22.2% その他・回答なし11.8%) 就職活動終了71.0%(文系56.7% 理系40.1% その他・回答なし3.2%)

※調査結果は、端数四捨五入の都合により合計が100%にならない場合があります。

ではまず、過去の調査から、学生が何を「企業選びのポイント」としているのかを振り返ってみましょう。


マイナビ2023年卒大学生活動実態調査(3月)より


このように、15年卒以降の学生では「安定している会社」の項目が概ね上位へと上がっていき、20年卒ではトップになっています。

その「安定性」の具体的な内容も、上記のグラフと同じ調査で明らかになっており、以下のような結果となっています。


マイナビ2023年卒大学生活動実態調査(3月)より


1位が「安心して働ける環境である」、2位が「福利厚生が充実している」、そしてそれらから差を開いて3位が「業界大手である」です。

1位になった「安心して働ける環境である」は抽象的で、具体的に企業側がどのような環境をアピールすれば学生に響くのかは分かりにくいですね。

そこで、今回新たに実施したアンケートでは、実際に学生が入社を決めた会社について、「なぜ安心して働ける環境だと感じたか」と具体的な内容について尋ねてみました。結果は以下のとおりです。




自由記述の回答から、上位の項目について掘り下げてみます。

<社風が自分と合っている>
  • 会社説明会や座談会を通じて、社員の方々とお話ししていく中で、会社の雰囲気や社風を具体的に感じることができ、自身に合っていると思ったから。(理系学生)

  • 採用活動中に出会った人事が良い人。人事だけで判断しているわけではないが、会社の顔である人事すら雰囲気が良くないところはダメだと思うから。(文系学生)

  • 短期のインターンシップに参加した際、先輩・後輩関係なく雑談をしている時があったり、こちらの立場を想像した発言をしていただいたり、悪い点を指摘する際はこちらのためだということが伝わるように、言い方に気を付けて指摘していただいたりしたところ。(理系学生)

このように「実際に社員と会い、その人柄や言動から社風を感じ取ることができ、それが自分に合っていると思った」という内容が目立ちました。
入社後、自分を取り巻く人間関係に対する心理的安全性を信じることができた、と言い換えることもできそうです。

24年卒の採用活動でも、学生とのリアルな接触機会をできるだけ持つことは引き続き重要になりそうです。


<福利厚生・各種制度>
  • 座談会などで社員の方へその会社を選んだ理由を尋ねたとき、具体的な福利厚生制度の内容であったり、周囲でどんな福利厚生制度がよく活用されていて入社後にメリットがあったかを伝えてくださったため。(文系学生))

もちろん福利厚生が整っていることは学生にとってもプラスの印象になりますが、一方で「形骸化されているのではないか」と疑っているような回答もありました。


<その他>
  • 環境問題やジェンダーなどはSDGsの中でも取り上げられることが多く、それらに取り組むことは企業の活動を続ける上で重要。それに力を入れられている企業は柔軟性があり、働きやすいと考えることができるから。(文系学生)

  • 企業内のことは、働いてみないと分からないことが多いので、どのような実態なのかという口コミを自分で探してみたり、内定者面談の際に質問してみたりと、自分の理想とどれくらい現実が乖離(かいり)しているところが少ないことが安心して働けると思いました。(文系学生)

近年の重要課題となっているSDGsにまつわる問題に取り組んでいる姿勢を評価する声や、企業からの発信だけを信用せずに、自分自身で口コミを調べるといった時勢を反映した声も聞かれました。


ここまでの結果を見てみると、学生が「福利厚生」を想像以上に重視していると感じた方も多いのではないでしょうか。
もちろん、学生だけでなく、社員にとっても「あるに越したことはない」福利厚生ですが、今回のアンケートでは以下の結果が示すように、学生にとっては「最重要項目」と言っても間違いないほど、はっきりとした数字として出ています。




「福利厚生制度の充実度によって志望度は変わりますか」の質問では「大きく変わる・少し変わる」の合計が90%以上、「福利厚生の充実度に惹かれて入社を検討した企業はありますか」の質問には約70%が「ある」と回答しています。

具体的に「重視した制度」を見てみると、以下のような結果です。





個別の回答では「バースデー休暇」、家族の記念日に休暇を取ることのできる「アニバーサリー休暇」「ペット休暇・ペット手当」「帰省手当」などプライベートを充実させることのできる福利厚生制度に人気が集まっている一方、「レクリエーションに関する補助」のような、社内イベントを奨励するような福利厚生は少数派でした。
プライベート重視のワークライフバランスを実現したい学生の思いが反映された結果と見ることができるでしょう。

また「子育て支援制度」に関しては、個別回答で「男性の育児休暇」にも注目が集まりました。22年10月の法改正で義務化される予定の「出生時育児休業(産後パパ育休)取得の促進」に先立って制度を整えている企業姿勢が評価されています。
社員のことを第一に考えた柔軟性の高い企業であることが、学生にとって魅力的に映っているのでしょう。

その他では、住宅に関する補助(住宅手当、社員寮・社宅制度)も上位にランクイン。暮らしに大きな影響を及ぼす住宅費用への支援が高く支持されました。個別の回答でも「スタッドレスタイヤ補助」のような地域性のある支援策や、「奨学金返済支援」など、給与以外で暮らしの助けとなる制度は高評価です。

また、特徴的な福利厚生制度として、社員一人ひとりに割り振られた「ポイント」を使って自分好みに福利厚生プランを組み合わせることのできる「カフェテリアプラン制度」や、就業時間や場所を自ら選択できる「フレックス制度」「リモートワーク制度」の人気が高かった点からも、働き方の多様性を求める学生が多い傾向が見られます。

このような「学生人気の高い福利厚生制度」を実はすでに持っている……という企業の方も多いのではないでしょうか。
一度、自社が持つ福利厚生制度を棚卸しして、学生に対して有効なアピールができるものを重点的に採用広報で打ち出すと良いでしょう。


働くことへの安心感を高めてくれる「社風とのマッチング」や「福利厚生制度の充実」だけでなく、学生が強く求めているものがもうひとつあります。それが、「成長環境」です。

「企業選択において自身が成長できる環境かどうかを重視していますか」という質問には、以下のような結果が出ています。




ほとんどの学生が企業選択で、「成長環境」を重視していることが分かります。これは入社する企業に限らず、インターンシップに求める内容を尋ねても同じ傾向となっており、現代の学生の多くが持つ基礎的な欲求であると理解してよいでしょう。

では、具体的にどのような「環境」が成長できる環境だと学生は考えているのでしょうか。その結果がこちらです。




内容を見てみると、大きく2つに分類できることがわかります。
1つが、会社が用意する「研修・資格取得支援」、そしてもう1つが社風や社員の人柄が生み出す「若手の挑戦環境」です。

それぞれについて、個別の回答を見てみましょう。


<研修・資格取得支援>
  • メンター制度やブラザー制度があり、分からないことはすぐに先輩に質問できる。(理系学生)

  • 資格取得のための試験料を補助してくれたり、研修をしっかりと行ってくれる企業は成長できそうだと感じる。「1人で学び、成長しなさい」と言われるよりも、理解できた方が効率よく行っていけると考える。(理系学生)


<若手の挑戦環境>
  • 若手が成果を出していたり、年功序列制ではなく、実力成果制の給与実態を見ると、若いうちからやる気が出る。(理系学生)

  • 若い時から積極的に意見を言える環境で、仕事を任せてもらえる。また、先輩のサポートを受けながら挑戦することができることが成長できそうだと感じた。(文系学生)


研修や資格取得支援に関する声からは、人に対する投資をしっかりと行える企業姿勢に対する評価と、その環境そのものに感じる安心感を読み取ることができます。
また、若手の挑戦環境を希望する声の中にも、しっかりとしたサポート環境があることを望む堅実な意見もありました。

また、「成長できそう」と感じたタイミングに関しては、「実際に話を聞いた社員の姿から感じた」という声が多く上がっています。

  • 実際に若手の社員の方々がどんな事業に関わり、どのように業務を進めているのかを聞くことで成長できそうと感じる。(文系学生)

  • 若手の裁量権が大きく、入社2、3年目から大きな金額を動かした実績があることを聞いた時。(文系学生)

柔軟な休暇制度や具体的な生活支援策を持っている、実際に社内で若手が活躍している……社内にいると「当たり前」と捉えてしまうような制度や風土が実は採用広報における「財産」であることはよくあります。

また、そうでなくても若手社員の早期離職を防ぎ定着を促進するためにも、柔軟な働き方と若手の活躍環境を整えるのは大切なことです。
簡単なことではありませんが、新卒に限らず、働き方や人的資本の「多様性」が叫ばれるいま、トレンドとして受け入れて、今後の姿勢を見つめ直してみてもいいかもしれません。
  • Organization HUMAN CAPITALサポネット編集部

    HUMAN CAPITALサポネット編集部

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  • 人材採用・育成 更新日:2022/10/17
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