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内定式直前!23年卒の新卒採用の振り返りと24年卒の展望

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10月、今年も内定式の季節がやってきました。2022年の10月1日は土曜日ということもあり、月曜日の3日に内定式を予定している企業も多いかと思います。ひとつの区切りとなりますので、このタイミングで23年卒の新卒採用を振り返り、24年卒の展望 をお伝えいたします。

※本コラム内では「内定」と統一していますが、10月より前に実施された調査内では「内々定」という表現を利用していました。一部、グラフの表記と文章表記が異なる点がありますがご了承ください。
23年卒の新卒採用を実施した企業に対して、採用予定数を聞いたところ、「(前年よりも)増やした」が前年より6.1pt増の22.1%となりました【図1】。この採用意欲の高まりはコロナ禍前に匹敵するほどだといえます。
【図1】採用予定数、前年の「採用予定数」との比較/「マイナビ 2023年卒企業新卒採用活動調査」
そもそも、新卒採用は、将来にわたって存在していく組織を形成するために、約3~5年後を見越して実施されることが多く、景況感の影響を直接的に受けづらい雇用形態です。そのため、コロナ禍においても継続する企業が多かったのですが、今後、日本の若者人口が減少傾向にあることも、新卒採用を重視する理由になっているかもしれません。これらのことからわかるように、23年卒の新卒採用においては、企業側の競争は激しく、他社より少しでも先に内定を出したい企業の多くは、「広報活動開始時期」である3月から採用選考を開始していました。
学生の内定率の進捗を見ると、各月とも前年を約5.0pt程度、上回って推移していることがわかります。採用選考開始時期といわれる6月よりも前の段階(5月末時点)で内定率は65.5%とコロナ禍前の20年卒よりも高い値になっていました【図2】。また、23年卒を語るうえでポイントとなるのは「複数内定」保有者の増加です。6月末時点で「2社以上」の内定を保有している人の割合は59.6%(前年比5.8pt増) となっており、こちらもコロナ禍前よりも高い割合になっています【図3】。
【図2】内々定率の進捗/「マイナビ2023年卒大学生活動実態調査(2022年3月~8月)」
【図3】<6月末時点> 内々定保有社数/「マイナビ2023年卒内定者意識調査(2022年6~7月)」
では、「学生が複数内定を持つ」ということは何を意味しているのでしょうか。

採用選考を実施している間は企業が学生を選ぶ立場にあります。しかし、学生が複数の内定を持っているということは、企業が内定を出したあと、今度は学生が「入社する1社を選ぶ」フェーズに入ります。「内定者フォロー」と聞くと、なんとなく内定出しから入社までのつなぎ止めというような、守りの姿勢に感じられるかもしれませんが、実際にはそうではありません。入社予定先として選ばれるために、積極的に採りに行く施策が求められます。
学生に「内定者フォローを通じてどのようになりたいか」について自由記入で回答してもらった結果を見ると、「最後の『入社する1社』を決めるための自信と覚悟が持てる状態」を求めていることがわかります【表1】。
【表1】内定者フォローを通じてどういう状態になりたいか(学生の声)/「マイナビ2023年卒内定者意識調査(2022年6~7月)」
企業側で実施されている施策としては「内定者懇親会」や「内定式」となりますが、特に「内定者懇親会」は、「22年卒の内定者に対して実施して効果があったと感じたこと」としての回答割合が43.0%と最多になっています【図4】。社員だけでなく内定者同士を交流させることにより、将来の同期との人間関係を構築し、先述したような「自信と覚悟を持つ」機会を創出できていると思われます。 【図4】
【図4】内定者辞退対策 22年卒で実施して効果があったと感じるものと23年卒実施予定のこと/「マイナビ 2023年卒企業新卒採用活動調査」
しかしながら、採用担当者の方は、「内定を出してから内定者フォローをする」というよりも、インターンシップや採用選考期間も含めて、長い時間をかけて人間関係を形成している感覚をお持ちだと思います。大勢の応募者から内定者を選抜する、というよりは学生個人と企業との個別の関係性を築いていく、そんな採用活動が求められるようになっていると感じています。
では24年卒の新卒採用はどのようになるのでしょうか。23年卒の新卒採用を実施した企業に対して24年卒の新卒採用の実施予定を聞いたところ、全体で89.3%が実施すると回答しており、「採用数を前年より増やす」のは11.0%(前年比3.8pt増)でした。特に、上場企業の採用意欲は高く、継続して実施する割合は98.2%、「前年より増やす」のは15.7%となっています。これらの結果より、24年卒の新卒採用はさらに競争が激しくなっていくことが予想されます【図5】。
【図5】新卒採用 採用計画/「マイナビ 2023年卒企業新卒採用活動調査」
現状、インターンシップ・ワンデー仕事体験の参加割合は前年を上回る水準で推移しており、学生が積極的に参加している様子がわかります【図6】。23年卒の振り返りの際、このインターンシップ・ワンデー仕事体験の参加割合の高さが、企業の採用選考ならびに内々定出しの早さに影響しているのではないかとお伝えしましたが、同様に考えると、24年卒においても、広報活動開始時期である3月から、やはり多くの企業で採用選考が実施されることが予想され、内々定率についても、23年卒と同様に高い水準で推移することが予想されます。
【図6】インターンシップ・ワンデー仕事体験に参加した割合(今月・これまでに)/「マイナビ2024年卒大学生インターンシップ・就職活動準備実態調査(2022年8月)」
次に、採用手法について聞いたところ、「現在実施していないが今後してみたいこと」としてあげられたのは対象者の拡大(既卒者、U・Iターン学生の採用)や、手法の拡大(逆求人型、リファラル採用等)でした。すでに実施率が高い「WEB面接」「職種別採用」なども導入が検討されています【図7】。
【図7】採用手法(「今後してみたいこと」で降順・上位抜粋)/「マイナビ2023年卒企業採用活動調査(2022年6月)」
このなかで特に注目しているのは「職種別採用」です。コロナ禍で広がった「WEB面接」に次いで、「23年卒で実施したこと」「23年卒で初めて実施したこと」で回答割合が2番目に高くなっています。先ほど、「学生個人と企業との個別の関係性を築いていく」とお伝えしましたが、こうした個別の関係性を形成するために、さらに踏み込んで「学生個人と仕事内容」まで落としこんでいこうという動きが見られます。職務経験のない学生を採用する新卒採用においてはジョブ型雇用の導入までは難しいケースが多いと思われますが、入社後の異動がある可能性を含んだうえで、初職配属先を確約するような「職種別採用」の導入が広がっているようです。「入社後、自分が何をするかクリアにイメージできない」ことが原因となる内定ブルーを防ぎ、より具体的な内定者フォローが可能となるため、このような 「職種別採用」の導入が広がっているようです。
旧来の日本型雇用に対する批判からジョブ型雇用の導入が叫ばれるなか、新卒採用においても「職種別採用」が広がりつつあることは自然な流れだと思いますし、これまで言われていたように「就社でなく就職」という考え方も、個人がよりクリアに自分のキャリアに対して働きかける意味でも歓迎すべき潮流のように感じます。
ただ、新卒採用においては懸念事項もあります。それは、学生には職務経験がないという点です。転職活動の場合、求職者には職務経験があるので、自分の能力・スキルの把握や求人企業側の仕事内容への理解、自分と仕事内容とのマッチング度合いなど、ある程度、前提知識を持って臨むことができます。しかし、学生は職務経験のない中で、自己分析や業界・仕事・企業研究を通じて、それらの情報を構築していくことになるので、自分ひとりでそれを成し遂げる困難さは想像に難くありません。ここに、大学1,2年生に実施した調査結果がありますが、「現時点において、大学卒業後に自分が就きたい仕事・キャリアの方向性が定まっていますか」の問いに対して、「決まっていない(全く+どちらかといえば)」と回答したのは57.4%でした【図8】。半数以上の学生は大学3年生になってから、キャリアの方向性を決めていることがわかります。
【図7】現時点において、大学卒業後に自分が就きたい仕事・キャリアの方向性が定まっていますか/「マイナビ大学生低学年のキャリア意識調査(2021年12月) 」
仕事軸で就職先を選ぶ際に、学生が企業だけでなく、仕事内容の見極めを行い、さらに自分とのマッチング度合いを判断できるようにするためにも、できるだけ早い段階からキャリア観、職業観を涵養するためのキャリア教育が求められると思います。そのためにも「インターンシップ・ワンデー仕事体験」は有用な手段だといえます。

少し先の話になりますが、25年卒以降は、一定の条件を満たせば、“インターンシップ” に参加した際の情報を採用選考に利用してもよいというように方針が変更されています。そうなると、低学年時のキャリア教育の重要性がさらに増すでしょう。これまで見てきたような様々な観点から、ここ数年は 新卒採用においても大きな転換点になると言えるでしょう。
  • 人材採用・育成 更新日:2022/09/29
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