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「サンドイッチフィードバック」で学びを促す 高評価インターンシップとは

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企業が学生に就業体験を中心とした学びの機会を提供するインターンシップ。
人生のほとんどを「学生」として過ごしてきた参加者にとって、社会に出る前に実践的な学びを得る貴重な機会となっています。

企業側も実施するのであれば学生に満足してもらう内容を提供したいと考えていますが、そのポイントが「成長環境」にあることは過去の記事からも明らかになっています。
そして、その「成長環境」を形作る具体的な企業側のアクションが今回のテーマでもある「フィードバック」です。

今回は、多くの学生からの支持を獲得し、マイナビが実行委員を務める「学生が選ぶインターンシップアワード2022」で優秀賞を受賞した株式会社ミルボンの山口久美子さん、益子淳さんにお話を伺いました。


<話し手>

― このたびは「インターンシップアワード2022」優秀賞のご受賞、おめでとうございます。まず、受賞されたインターンシップの内容について教えてください。

山口さん: ありがとうございます。
弊社が実施するインターンシップは「超成長する3日間」と言いまして、3日間の実践的なインターンシッププログラムと2日間のアフターフォローで構成されています。

「知る」「実践する」「創造する」というテーマの下、1日目に「自分自身」と「ミルボン」を知ってもらい、2日目には訪問した美容室で課題を聞き出して課題解決を提案する「営業実践ワーク」、3日目には弊社の経営戦略部の部長による「未来構築の方法」をレクチャーし、ワークを通して未来を創造してもらいました。
この実践プログラムの中で細かくフィードバックをしつつ、さらにその後2日間かけて、人事1on1面談で個別フィードバック・質疑応答や、現場社員座談会などのアフターフォローを行っています。

― かなり手厚い内容ですね。その根底にはどのようなお考えがあるのでしょうか?


山口さん: ミルボンらしさを表現できるインターンシップにしよう、と思い設計しました。弊社には「徹底的な顧客主義」という全社員が共有している行動基準がありまして、顧客の声を徹底的に聴くということ大切にしています。だからこそ、これまでのインターンシップに参加した学生から集めた声をインターンシップ内容に反映させました。

― どのような声でしょうか。


山口さん: 実にさまざまな意見があったのですが、私たちでそれらを分析した結果、求められているのは「段階的な学び」でした。
基礎だけを学ぶのでも、いきなり現場を見るのでもなく、まずは自己分析・他己分析と企業研究という「知る」ことから始まり、現場を実際に体験する「実践する」ワーク、そして学びの集大成として、これからの未来を「創造する」という流れです。段階的なプログラムにより、学生の不安を取り除きながら、成長を促進する内容を作成しました。

― 基礎、実践、そして未来と段階を踏んでいるのですね。早速、今回のテーマである「フィードバック」について詳しく伺わせてください。御社では特に何に注意してフィードバックを行っていますか?


山口さん: 1日目の「自分とミルボンを知る」のステップでは、相手の価値観を知るインタビューを通じて自己・他己分析を行うのですが、大きく分けて2つの方向性でフィードバックを行いました。
一つ目は「こういう価値観で話を聞いてみると、こういう広がり方があるかもしれないよ」という、話の聞き方、価値観に関するアドバイスです。
二つ目は「こういう言い方・聞き方をしていたら相手からもっと深く聞き取れたかもしれないよ」というコミュニケーションの手法に関するもので、どちらも弊社が顧客と向き合う際に大切にしている「傾聴」のスキルを育てることを目的としています。

― 傾聴はどのような仕事であっても大切なことですね。


山口さん: そうなんです。自己分析や企業分析で自分自身とミルボンのことを発見しながら、さらに社会人にとって重要なスキルである「傾聴力」を身に付けられるようにフィードバックの方向性をそろえています。

― 2日目、3日目についてはどのようにフィードバックを行いましたか?


山口さん: 2日目は実践的な営業ロールプレイですので、現場社員が付いて社会人としてのマナーから、提案の中身についてまでの営業に関する具体的なフィードバックを行うほか、学生同士でのフィードバックも行っています。
実践的な内容だけに、どのような企業でも役に立つ具体的なフィードバックを学生が受け取れるように心掛けていますね。

3日目は「ミルボンの未来を考える」ということで、先ほどもお話ししたように、弊社の経営戦略部長の話を受けて学生が実際にミルボンの未来について提案を行うというものです。
アウトプットに対する具体的かつ「伸びしろ」を大切にしたフィードバックはもちろん、議論の合間にも経営戦略部の社員が細かくアドバイスを行っています。

― 「伸びしろ」を大切にするフィードバックという視点は、成長環境を望む学生に求められているものだと思います。しかし半面、それは学生のアウトプットを否定する言葉とも受け止められかねないのではないでしょうか。


山口さん: そこでポイントになるのが「サンドイッチフィードバック」です。
実はマイナビの企業向けセミナーに参加して知った方法なのですが、「肯定」で「否定(伸びしろの指摘)」を挟む、サンドイッチ状になったフィードバックの順番のことを指します。

それによって、たとえ真ん中の「否定(伸びしろの指摘)」が学生にとって厳しい受け止めになるものだとしても、最後に「肯定」で終わりますので、モチベーションが下がることなく、その後の就職活動に活かしてもらえると考えました。

実際、今回のように賞を頂くことができたように学生からの評価も高く、このフィードバックの方法は功を奏したのではないかと思っています。

― ここまでお話を伺って、御社のインターンシップが多くの社員によって支えられていると感じました。それだけの協力を仰ぐのは苦労されたのではないでしょうか?


山口さん: ご評価いただいている手厚いフィードバックができる体制は、インターンシップのために作り上げたものではなく、弊社の社風から自然に生まれたものとも言えると思います。
弊社ではこのようなインターンシップを実施する以前から、何か学びにつなげられるようにと選考の途中でも細かなフィードバックを行ったり、社員との面談も行っているんです。基本的にほとんどの社員がそれを経験して入社していますので、当たり前の文化として受け止めてくれているものと思います。

益子さん: あとは、弊社の持つ「チャレンジシップ」を大切にする社風も良い影響をもたらしているのかもしれません。
初めてインターンシップする際などに、その重要性を説明するために上層部へのプレゼンテーションをする機会もありましたが、アドバイスをいただくことはあっても、丸ごと否定をされることはないですね。

― 素晴らしい社風ですね。社員の皆さまへの「フィードバックの精度」を高めるような取り組みについても教えていただけますでしょうか。


山口さん: はい。社員へはフィードバックに関する基本的な考え方のレクチャーから、フィードバックシートの提供によるサポート、そして学生一人ひとりの特性を踏まえたフィードバック方針の調整なども行っています。

― 一人ひとりにフィードバックをカスタマイズしているということですか?


山口さん: そうなんです。センシティブな情報ですので一般社員には公開しませんが、インターンシップ参加選考の過程で行う性格診断の結果をもとに、「結論から伝えるべき」や「共感しながら話を広げていく方がいい」など、学生一人ひとりをソーシャルタイプ別で4つに分けて、人事側で把握しています。

― 実際に耳にした学生からの評判はどのようなものがあるのでしょうか?


山口さん: インターンシップに参加した学生が後輩に「ミルボンのインターンシップは行った方がいいよ」「入社するしないにかかわらず、ミルボンのインターンシップはためになるよ」と口コミで広めてくれていて、その評判を聞いて参加してくれる学生がいるのが、本当にうれしいですね。

また、インターンシップを通じてミルボンに興味を持ち、選考に参加して入社する学生もいるため、弊社のフィードバックを大切にする文化の浸透がますます進んでいるとも思います。
このインタビューでは、どの企業でもすぐに実践できそうなフィードバックのポイントを得られただけでなく、社風に根差したプログラムのインターンシップがいかに大切なのかも教えていただきました。

実際、インターンシップを契機に企業に興味を持ち、選考に参加する学生は多くいます。そういった学生は入社時に企業文化に共感している可能性が高く、良い社風がさらに深く企業に根付くサイクルが生まれるのでしょう。

ぜひ良いフィードバックを通して学生満足度の高いインターンシップを行い、自社の良い文化をより深め、採用力の強化へとつなげていただければと思います。
学生の社会的・職業的自立に貢献したインターンシッププログラムを表彰するアワードです。学生の職業観を教養する効果的なインターンシッププログラムを周知することで、プログラムの質的向上、および実施企業数の増加を実現し、学生と企業のより精度の高いマッチングを目指します。また結果として、「学生がインターンシップに参加する目的に合致し、1年次から卒業前までの在学中に自らの専攻や将来のキャリアに関連した就業体験をより積極的に行う環境」の構築を目指しています。第5回の開催より新たに「地方創生賞」を創設し、地方公共団体の皆さまからのご応募も受け付けました。教育効果が高く、地方創生にも寄与するインターンシッププログラムを表彰し、より多彩なインターンシッププログラムを発信してまいります。

<主催>
「学生が選ぶ インターンシップアワード」実行委員会

<後援>
経済産業省、厚生労働省、内閣府、文部科学省、日本経済新聞社、マイナビ(順不同)

<特設サイト>
https://internship-award.jp/
  • Organization HUMAN CAPITALサポネット編集部

    HUMAN CAPITALサポネット編集部

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  • 人材採用・育成 更新日:2022/09/06
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