経営と人材をつなげるビジネスメディア

MENU CLOSE
1 s_saiyo_s01_s02_sg02_s20220816104537 column_saiyo c_dlcontsc_globaljinzaic_knowhowc_shinsotsusaiyoauthor_organization_saponet

【2023年卒採用にも】外国人留学生採用成功のポイントは? 企業・学生動向と併せて解説-採用事例集付き

/news/news_file/file/thumbnail_s-column-114.png 1
長期化し、脱却の兆しも見えにくい「人材不足」時代の日本。採用担当者としては苦難の時代といえるかもしれません。
また、経営的な視点から見ると長期的に国内需要が減少していくことは間違いなく、足元で進む人材不足と将来にわたっての事業の成長を図るために「グローバル企業」を志向する企業も増えています。

そんな中、注目を集めているのが「外国人留学生」の採用です。

日本国内には高いポテンシャルを持った外国人留学生が多くの大学・大学院に在籍しており、企業の成長に欠かせない「定期採用」を支える存在として注目が集まっています。

そこで今回は、マイナビで外国人留学生の就職支援と企業の採用支援を行っているグローバル事業推進部より鷲崎(すざき)信広、福田謙一の2名に外国人留学生採用の最前線と、採用に当たっての留意点などの話を聞きました。

この記事には、実際に外国人留学生の採用に成功した企業の事例集もご用意しております。具体的な事例と併せて、就労ビザやそのほか外国人留学生を採用する際に知っておきたい事柄についてもまとめておりますので、ぜひご活用ください。

― 鷲﨑さん、福田さん。今日はよろしくお願いします。まずは、今回のテーマである「外国人留学生」について、彼ら・彼女らが持っているポテンシャルについてお聞かせください。

福田: はい。まず多くの方が気になる日本語力についてですが、日本の大学で学んでいるだけあって、多くの方は高い水準にあります。特に、中国・韓国・台湾などの漢字文化がある国の留学生はJLPT(※1)でN1(※2)を持っている方も少なくありません。
欧米出身の方ではN2やN3(※3)くらいが平均ですが、会話が全くできないという方は少ないですし、何より日本語と母国語に加えて、別の言語が使えるマルチリンガルの方が多いのも特徴です。

※1 JLPT:Japanese Language Proficiency Testの略。日本語名称は「日本語能力試験」。日本語を母語としない人の日本語能力を認定する試験のこと。

※2.3 N1, N2, N3:JLPTで認定を受けられる日本語レベルは最上級のN1(幅広い場面で使われる日本語を理解することができる)から、N5(基本的な日本語をある程度理解することができる)に分けられている。N2からを「ビジネスレベル」と考える場合が多い。

― なるほど。日本語で大学の授業を受けられている方が多いわけですから、基本的には高いんですね。他に、特筆すべきポテンシャルはありますか?


福田: モチベーションの高さは挙げられると思います。外国の大学に進学して、その国で就職しようという方々ですので目的意識がはっきりしていたり、行動力が優れていたりするというのは大きなポイントです。

― ではここからは、データを見ながら外国人留学生採用にまつわる現状をお聞かせいただきたいと思います。


福田: はい。まずはこちらの図を見てください。

福田: 2008年に当時の政府が「20年をめどに外国人留学生30万人受け入れを目指す」という目標を打ち出してからその数は大きく伸びて、19年に目標の30万人を前倒しで達成しています。
20年からはコロナ禍の影響で落ち込んでいますが、グラフを細かく見ると大きく減っているのは「日本語教育機関」で、大学や大学院の留学生数には大きな影響がないことが分かります。

― コロナ禍でも大学や大学院に通う外国人留学生は日本に数多くいるということですね。


福田: はい、おっしゃるとおりです。しかし一方で、外国人留学生を採用している企業は多いとはいえません。
過去に採用実績のある企業は全体の30%程度で、22年卒では採用した、または採用意欲のある企業は40%ほど※4でした。ライバルが少ないということは、狙い目と言えるのではないでしょうか。
留学生側は、数少ない企業の中から就職活動をしなくてはいけないので、エントリー社数も日本の大学生と比較すると半分以下の14社※5が平均となっています。

鷲﨑: 外国人留学生のエントリー社数が少ない理由は「採用している企業が少ない」という理由以外にも、もう1つあります。職種が限られているのです。
多くの企業は「採用予定人数の充足」を目的に外国人留学生の採用を行いますので、自然と「日本人の採用が難しい業種・職種」での募集が多くなります。具体的には、サービス業界や建築・土木業界などが顕著です。職種によっても異なりますが、このような業界は外国人留学生も積極的に目指そうとする方が少ないため、企業のニーズと外国人留学生のニーズが一致しないという課題があります。
福田: つまり、大学や大学院など高度な教育機関に在籍する外国人留学生が多いという話をしましたが、そういった人材のニーズと実際の募集職種に不一致があるパターンが多いんです。 そのため、実質的な内々定率は14.9%※6にとどまっています。日本での就職を希望しているスキルのある人材が多くいるのに、ニーズの不一致で就職・採用ができずにいる。非常にもったいないと思います。

※5,6 マイナビ国際派就職 2022年卒外国人留学生就職モニター調査 6月の活動状況

― いまお話いただいたような現状、特に「採用している企業が少ない」原因としては、外国人留学生の採用を「どのように進めればいいのかが分からない」という採用側の事情もあると思います。特に、日本語能力については見極め方に不安を感じている方も多いと思いますが、いかがでしょうか?


福田: はい。日本語力についてはJLPTのスコアにとらわれすぎないでほしいと思います。実際に外国人留学生の採用で成功している企業では、JLPTのスコアを採用基準に入れていないという話をよく聞きます。
福田: また、採用の見極めで日本語能力の基準を下げていると回答した企業も増えています。
仕事の中でコミュニケーションを取りながら日本語力を伸ばしていくくらいのつもりで、伸びしろを見て見極めていただけるといいと思います。

― なるほど。留学生側も日本語力に不安を持っていることは多いのでしょうか?


鷲﨑: はい。就職活動で不安に思うことを外国人留学生に尋ねると、日本語能力に関する項目は必ず上位に入ってきます。
鷲﨑: 採用をうまく進めるには、こういった不安に対応していくことも重要ですね。例えば日本語力にについて言うと、「JLPTのランクだけでは判断しない」という趣旨を伝えておくといいでしょう。

― 続いて、アプローチする時期はどうでしょうか? 日本人の学生と比べて早い・遅いなど違いはありますか?


鷲﨑: 外国人留学生の就職活動は「遅い」というのが通説で、実際に秋冬にも一定数の採用が可能です。
ただ、ここ数年は日本人の学生とほぼ変わらないスケジュールで動く層も大きくなってきました。
鷲﨑: 特に理系人材などはインターンシップで企業と接触したり、3月の広報解禁と同時にエントリーするなど、行動も非常に早いので、企業側の採用活動も日本人と同じようなスケジュール感で動くことをおすすめしております。

ただ、理系人材に関しては研究に時間を費やしていて就職活動をする時間がなかった……という方も一定数おりますので、秋冬以降でも十分にポテンシャルの高い人材にも出会えると思います。

― いま、アプローチする時期のお話がありましたが、アプローチする際に具体的に気を付けるべきポイントはありますでしょうか。


福田: 難しい漢字にはルビを振る、難解な言葉はできるだけ用いないなど基本的な気遣いのほかに、「日本人にとって当たり前」な情報も一度は見直してみるという姿勢が重要です。
例えば「勤務地は〇〇市です」と伝えたとき、日本人なら地理・立地や気候、現地の文化もなんとなく理解できますが、外国人留学生には困難です。

これを外国人留学生向けにするとすれば、「勤務地は、〇〇地方の××県にある都市、〇〇市です。東京や大阪と比べるとコンパクトな街ですが、社員は会社から15分圏内くらいに住んでいて、近くにショッピングモールがあり、住む場所としては十分快適ですよ!方言がありますので最初は言葉の理解に時間がかかるかもしれません」のようになります。

― それはなかなか、気を付けていないとできないことですね。次に、外国人留学生にとって魅力的に映るメッセージなどはありますか?


福田: すでに入社している外国人社員がいるなら、そういった方々がどう活躍しているのかを伝えると効果的です。
鷲﨑: これらはあくまで一般的な話で、外国人留学生も個々人に宗教や文化的な事情を持っていることも多くあります。
一人ひとりにヒアリングするのもいいですが、なかなか現実的ではないので、エージェントサービスを使うのもひとつの手だと思いますよ。キャリアアドバイザーが聞き取りをしていますので、一対一のきめ細かいケアが可能です。

― 今日はありがとうございました!


外国人留学生が入社後に活躍できているかどうかを企業に訪ねた調査でも、過半数の企業では「予想以上に活躍している」「十分に活躍している」との回答※7があり、ポテンシャルの高い人材であることは間違いありません。

しかし、高度な教育を受けた外国人留学生が、それを活かせる職場が少ないという日本の現状。その理由の一端は「採用の方法が分からない」という現場の事情もあると思います。

今回の記事にあったように、一定の配慮は必要ながらも、日本語力の「伸びしろ」を重視するなどの方法で外国人留学生の採用はどの企業でも進められるはずです。

今回の記事と併せて、ダウンロード資料では企業の外国人留学生採用事例や就労ビザの類型、受け入れ時のチェックリストなど、より詳細なデータとノウハウをご紹介しています。
ぜひ、外国人留学生をより活かせる採用活動にお役立てください!

※7 マイナビ国際派就職  2022年卒 企業外国人留学生採用状況調査より

  • Organization HUMAN CAPITALサポネット編集部

    HUMAN CAPITALサポネット編集部

    新卒・中途採用ご担当者さま、経営者さま、さらには面接や育成に関わるすべてのビジネスパーソンに向けた、採用・育成・組織戦略のヒントが満載の情報メディアです。HR領域に強いマイナビだからこそお伝えできるお役立ち情報を発信しています。

  • 人材採用・育成 更新日:2022/08/24
  • いま注目のテーマ

RECOMMENDED

  • ログイン

    ログインすると、採用に便利な資料をご覧いただけます。

    ログイン
  • 新規会員登録

    会員登録がまだの方はこちら。

    新規会員登録

関連記事