学生の認識は「インターンシップ選考落ち=採用選考落ち」!? 志望度を下げない関係持続の秘訣(ひけつ)とは
羽田さん: はい。大きく分けて2つですね。ひとつは、採用活動の動き出しが早い外資系やメガベンチャーを志望している層です。こちらは、インターンシップを完全に「選考の一部」と解釈して本気で取り組んでいます。
もうひとつは「なんとなく、インターンシップというものに行った方がいいらしい」くらいの温度感で参加している学生で、こちらの方が圧倒的多数です。
羽田さん: 就職活動の開始時期がどんどん早期化する中で、何かしないといけない、今の時期はインターンシップというものに参加する人が多いらしい……そのくらいの気持ちです。
なので、参加する企業も限られます。自分が社名を知っていて、就職情報サイトにバナーが出ている企業に、なんとなく応募する。自分のキャリアについて考えていたり、自己分析をしていたりする前の段階にありますので、そうなってしまいます。
もうひとつは「なんとなく、インターンシップというものに行った方がいいらしい」くらいの温度感で参加している学生で、こちらの方が圧倒的多数です。
― 前者がインターンシップに参加する動機や、そこに懸けている思いは「選考と同等」というように理解できますが、後者はどうなのでしょうか?
羽田さん: 就職活動の開始時期がどんどん早期化する中で、何かしないといけない、今の時期はインターンシップというものに参加する人が多いらしい……そのくらいの気持ちです。
なので、参加する企業も限られます。自分が社名を知っていて、就職情報サイトにバナーが出ている企業に、なんとなく応募する。自分のキャリアについて考えていたり、自己分析をしていたりする前の段階にありますので、そうなってしまいます。
羽田さん: 学生は就職活動の中でいろいろな矛盾にぶつかりますよね。よくある話だと、就活解禁といわれる3月より前で既に内定をもらう学生がいる、などでしょうか。
そういったものの積み重ねで「企業が学生を試そうとしている」と受け取れる体験を重ねてしまう学生が非常に多いんです。
ただでさえ、学生にとって就職活動は暗中模索の連続。表に出ている情報と裏の情報が違うと「対等な立場ではない」「裏切られた」という思いを抱いてしまいます。
なので、インターンシップ落ちの理由を「抽選ですよ」と言っても、難関校の学生以外はそれを信じられず、「学歴フィルターで落とされた」と感じます。自分の学歴ではこの企業には入れないのだ、と考えてしまうのです。それが、「インターンシップ落ち=選考落ち」と捉えてしまう理由です。
そういったものの積み重ねで「企業が学生を試そうとしている」と受け取れる体験を重ねてしまう学生が非常に多いんです。
ただでさえ、学生にとって就職活動は暗中模索の連続。表に出ている情報と裏の情報が違うと「対等な立場ではない」「裏切られた」という思いを抱いてしまいます。
なので、インターンシップ落ちの理由を「抽選ですよ」と言っても、難関校の学生以外はそれを信じられず、「学歴フィルターで落とされた」と感じます。自分の学歴ではこの企業には入れないのだ、と考えてしまうのです。それが、「インターンシップ落ち=選考落ち」と捉えてしまう理由です。
― 具体的にはどのようなものでしょうか?
羽田さん: インターンシップに参加する学生を選ぶとき、完全なランダム抽選以外だと、いくつかの基準があると思います。
例えば「業界理解・企業理解の深度」や「自身のキャリアに対する考え方」などですね。一定以上の理解や知識を持った学生が参加することを前提にした方が有効なインターンシップのコンテンツ設計ができますので、そのような基準を設けている企業は多いでしょう。合理的な理由です。
その上で、例えば「企業理解の深度」が足りずにインターンシップの参加を見送った学生には「今回のインターンシップにご参加いただくには企業理解がまだ足りないようでしたので、企業理解の助けとなるコンテンツを用意しました」と、動画コンテンツを案内するような方法です。
―「学生は企業を疑っている」こと、そして解決のために「具体的なコミュニケーションを心掛けるべき」ことは理解できました。インターンシップ以外の場面ではどのように気を付ければいいのでしょうか。
羽田さん: 例えば、就活イベントで参加企業が一覧になっているとき、採用コピーって似たものが並んでしまう傾向にありますよね。
自社にあるたくさんの魅力を短い言葉の中にできるだけ詰め込もうとすると、高度に抽象的な言葉を使いがちで、どうしても似てくるのは仕方のないことだと思います。
でも、その言葉の裏にあるさまざまな魅力は、まず興味を持って接触機会を持たないと伝えられませんが、学生はなかなかそこまで到達できないんです。
ひとつ例を挙げてみましょう。私が講師を務めているある大学は、グローバル志向の高い学生が多く、特にCA(キャビンアテンダント)を志す学生が多くいます。
しかし、航空業界はまだまだ採用を絞っていますので、就職が難しい。そうなったとき、次の一手を打てないという学生が多くいます。でも実は、グローバル志向という点で言えば、他にも適した業界はたくさんあります。例えば、半導体メーカーは国際的な取引が日常的に発生する非常にグローバルな環境ですが、それを学生は知りません。
知らない理由として、一面には学生の業界研究、キャリアの深堀りが足りないということもあるでしょう。しかし、もう一面には企業の情報発信が抽象的で伝わっていないということもあると思います。だから、「具体的な発信」が鉄則なんです。
― 企業にとって採用ターゲットはさまざまで、その全てに向けたメッセージを発しようとすると抽象的になってしまう、そしてそれを理解してもらえない…… そういうことでしょうか。
羽田さん: そのとおりです。「理系学生」とか「女子学生」とか、そういう解像度ではなく、学生が持っているさまざまな志望動機、将来の希望などを細かく分析して、それぞれに対して手を打っていく、というのが理想でしょう。
疑われていると思いながら学生とコミュニケーションを取ることは、決して楽しいことではないでしょう。
しかし、近年の社会情勢や就職活動の中で直面する社会の「理不尽な側面」に触れた学生たちの中には、そうした気持ちがあることは、羽田さんの目からは明らかなようです。
その解決の策は「具体的なコミュニケーション」。単純なようですが、具体的なメッセージを発するには自社をきちんと知り、学生のことも知り、その上で効果的でうそのない情報を精査していく必要があります。
その結果、メッセージに「誠実さ」を学生が感じ取ることができれば、採用力が向上していくのだと思います。
「インターンシップ落ち」のコミュニケーションから、想像以上に普遍的で大きな話になってしまいましたが、採用担当者の皆さまにとって大切なことを羽田さんから教えていただきました。
しかし、近年の社会情勢や就職活動の中で直面する社会の「理不尽な側面」に触れた学生たちの中には、そうした気持ちがあることは、羽田さんの目からは明らかなようです。
その解決の策は「具体的なコミュニケーション」。単純なようですが、具体的なメッセージを発するには自社をきちんと知り、学生のことも知り、その上で効果的でうそのない情報を精査していく必要があります。
その結果、メッセージに「誠実さ」を学生が感じ取ることができれば、採用力が向上していくのだと思います。
「インターンシップ落ち」のコミュニケーションから、想像以上に普遍的で大きな話になってしまいましたが、採用担当者の皆さまにとって大切なことを羽田さんから教えていただきました。
- 人材採用・育成 更新日:2022/08/03
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