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増えるキャリアセンターへの相談と学生不安の原因を考える

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2022年2月に行った「マイナビ2023年卒 大学生広報活動開始前の活動調査」において、「就職活動の準備として、インターンシップ・ワンデー仕事体験以外に行った活動」で、最も多かったのは前年に引き続き「友人や知り合いと就活や仕事の話をする」で62.4%でしたが、「大学のキャリアセンターに相談する」が40.2%と前年比2.6pt増加していました。【図1】

【図1】「インターンシップ・ワンデー仕事体験以外に行った活動」2023年卒大学生広報活動開始前の活動調査

また、2021年9月に実施の全国の大学就職支援担当部署・窓口を対象にした<2022年卒>キャリア・就職支援への取り組み調査における「キャリアセンターの負荷の増減」では、2021年卒と比べて「増えた」が49.6%(前年比12.3pt増)と大幅に増加し、逆に「減った」は4.5%(前年比8.1pt減)と、大きな変化がみられました。【図2】

【図2】「キャリアセンターの負荷の増減」<2022年卒>キャリア・就職支援への取り組み調査
負荷増の理由では、「WEB・対面でのハイブリッド対応」はコロナ禍ということもあり多かったのですが、同様に「学生からの相談の増加」という理由も比較的多かった印象です。 コロナ禍で学生が不安になり、キャリアセンターにへの相談が増えるという構図は想像しやすいのですが、23年卒においてはコロナ禍の影響を受けた新卒採用も3年目となり、なんでもコロナが原因ともは言い切れないとも思われます。そんなちょっとした疑問から本稿ではコロナ以外の相談増の要因、学生の悩みを少し探っていきたいと思います。
2022年2月に実施した「マイナビ2023年卒 企業新卒採用予定調査」では、企業側の23年卒の採用意欲は回復傾向で、採用予定数を「増やす」割合が増加しています。【図3】

【図3】「採用予定数(3カ年比較)」2023年卒企業新卒採用予定調査
学生側から見れば一部業界の業績不振などの報道によって採用人数減の印象を持つ可能性は引き続きありますが、21年卒や22年卒でよく聞かれた採用減による不安や悩みは減る傾向になると思われます。
むしろ採用側は、コロナ後に向けた組織強化や、大卒年齢に相当する22歳人口が今後減少していくことなどを踏まえ、現時点から若手人材を確保する必要性を感じています。また「新卒採用のゴールとして重視していること」を見ると、もっとも重視されているのは「自社の職務適性が高い人を多く採用すること」(38.8%)であり、「採用予定人数を達成すること」の19.6%よりも高くなっていることから、採用人数の確保は行いつつ、より精度の高いマッチングを目指し課題意識を持つということが顕著になるであろうと思います。しかし精度の高いマッチングはもちろんお互いにとって望ましく良いことであるのですが、実現するための新たな問題や課題、そして学生の新たな不安や悩みもコロナとは関係なく出てくるのではないかと想像します。
職務適性が高い人を採用するという流れから昨今注目の集まる「ジョブ型採用」「職種別採用」「コース別採用」の導入や、マイナビ2023で、職種別やエリア別で募集ができる「コース別採用掲載」が始まるなど、形式はともかく学生が納得できる就活を行ってもらうために、より詳細な情報を提供し、企業と学生のマッチングを高め、ミスマッチを減らすための企業側の施策としては望ましい方向性になっていると思います。
ただし、学生側から見た場合に情報が増えることは望ましい一方で、採用が複雑化するという側面も出てくると危惧します。入社しないとどんな仕事をするのかわからないという総合職採用の従来からある不安が払拭される可能性がある一方で、まだ導入が進んでいる段階と言える「ジョブ型採用」「職種別採用」「コース別採用」は企業間の温度差もありますし、捉え方も異なってきます。学生が得られる情報が多くなることによって、その分悩みや不安も増えるのではないかということです。
ただこの悩みや不安はより良い結果を得るための検討材料でもあるので一概に悪いこととは言えないのですが、情報量は多い方が良い、「総合職採用」は良くない、「ジョブ型採用」の方が良い、と一律で思い込むことには疑問を感じます。
採用手法や形式を変えることの本来の目的は企業と学生の納得感やマッチング精度の向上にあって、変えること自体にあるわけではありません。
学生のためにおこなった施策が単に複雑になり、混乱と不安が増すことになれば、再びキャリアセンターへの相談が増えるという結果につながってしまうのではないかと考えます。ジョブディスクリプションのような詳細な情報を求められるニーズもあれば、どんな同期や先輩がいるのか?どんな雰囲気の職場なのか?入社して具体的にどんなことをやるのか?それはやっていけそうなことなのか?など企業にとっては些細に思われるようなことでも、学生にとっては納得感を得るための情報が欲しいというニーズも多々あるかと思います。
新卒一括採用においての情報発信は企業から学生への一方通行になりやすい傾向にあると思いますし、情報量も少ないよりは多い方が良いというのも間違いではなく難しいところではありますが、情報過多や消化不良にならないよう学生が求める内容をタイミングよく双方向でコミュニケーションするように労力をかけることが、高い精度のマッチングを生み出す原動力になっていくと考えます。
  • 人材採用・育成 更新日:2022/03/04
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