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【ヒアリングシート付き】新卒採用担当者のための
「社会人基礎力」を活用した現場ヒアリングのススメ

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面接での印象が良かったので採用してみたら、配属先から不満の声が…… という経験は多かれ少なかれ、多くの採用担当者の皆さまにおありだと思います。

原因のひとつとして、人事・採用担当は経営層との対話で欲しい人物像の話をしていても、実際に配属される現場の要望を拾えていないことが挙げられるのではないでしょうか。

とはいえ、採用した人材が実際に働く場、つまり現場の声を聞くことは採用業務において重要な仕事のひとつであるはずです。

そこで今回は、「現場が求める人材像」を採用担当者が知るためのヒアリングの効率的な方法を皆さんにお伝えします。
今回ご紹介するヒアリング方法は、経済産業省が提案している「社会人基礎力」をベースとしたものです。
「社会人基礎力」とは、経済産業省が2006年に提唱した3つの能力・12の能力要素に分けられた「職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な力」のこと。
17年には、「人生100年時代の社会人基礎力」として新たにライフステージごとに振り返りと学習を繰り返すことを盛り込んだ内容に刷新されています。
「人生100年時代の社会人基礎力」でも変わらずにベースとなっている社会人基礎力の3つの能力を分解すると、以下のような内容です。
いかがでしょうか。はっきりと言語化はしていなくても、皆さんの会社でも重視されている項目ばかりだと思います。

この「社会人基礎力」をもとに、効率的なヒアリングを実現する最大のポイントは、「明確に言語化されている」ということ。
「なんとなく、こんな人が欲しいんだよね」という曖昧なコミュニケーションではなく、「働き掛け力と創造力が最優先で、加えて規律性とストレスコントロール力もあれば言うことなし」というような、誤解が生まれないコミュニケーションを取ることが可能になります。
では、実際にヒアリングをしてみましょう。こちらが、この記事でダウンロード(会員限定・無料)していただけるヒアリングシートの記入サンプルです。

社員数50名ほどの中堅広告制作会社の、クリエイティブ部門を想定した内容になっています。
ヒアリングをスムーズに進めるための依頼の仕方とポイントをお伝えします。

1.ヒアリングの対象者を選定しよう
ヒアリングの対象者はチームリーダーや課長など、現場の仕事も理解しつつ俯瞰的な立場で見られる人が理想です。部門の責任者に適した人選について相談してみましょう。

2.趣旨をしっかりと伝えよう
まずは「現場で必要な人材を知りたい」というヒアリングの趣旨を明確に伝えながら、社として考えている経営の方向性と、そのために必要な人材像についても事前に話しておきましょう。
そうすることで、ヒアリングを通じてお互いの考えをすり合わせる有意義な場にすることができます。

3.できれば事前に記入してもらおう
A4用紙1枚分のヒアリングシートですが、項目数が多いため、事前に渡しておき可能な範囲で記入しておいてもらうと、ヒアリング当日がスムーズに進みます。

4.「少し先の未来」を見据えたヒアリングにしよう
ヒアリングの場は「今、すぐに必要な人材」の話に終始してしまいがちです。そうならないためにも「5年後、10年後を見据えてどんな人材が欲しいのか」と具体的に聞いていくことで、ヒアリングの場をより実りのあるものにすることができます。
では具体的に、ヒアリングシートの使い方を解説します。

1.事前に記入しておいてもらう箇所
上段部分にある「(1)ヒアリング対象情報」と「(2)ヒアリング対象部門のミッション」は前提条件として聞いておく必要のある項目です。

2.「業務に求められる能力」の整理
このヒアリングシートの中心となるのが「(3)業務に求められる能力について」の項目です。

注意していただきたいのは、「社会人基礎力」の12要素は全てが社会で働いていくために必要な能力であるため、「全て10点」という回答になってしまいやすいことです。

そこで、まずは社会人基礎力に基づく各能力について、「必要とされるシーン」から聞いていきましょう。
そうすることで、現場担当者の頭の中で「具体的な仕事のシーン」から「その能力の重要性」を導くことができ、実情に基づいた整理された配点をしやすいというメリットもあります。
さらに、現場での活用シーンは採用担当者ではなかなか把握しにくい現場の実情を理解できるため、一石二鳥です。

また、丁寧にヒアリングをしていくと、社内の教育で育成可能な項目も見つかるかもしれません。そういった情報は「採用担当者メモ」の欄に記入していきます。
こうしてヒアリングを実施して完成したヒアリングシートは、どのように活用できるのでしょうか。

1.選考時の参考にする
社内のさまざまな部門に横断的にヒアリングをしてみると、多くの場合は共通して求められる能力が浮かび上がってきますが、それは「社として最重要視すべき項目」なので、選考の初期で見極めるべき項目となります。
逆に部門ごとに異なる項目は、それぞれの部門の担当者を面接官に任命するなどして個別に見極めてもらう必要のある項目です。

こういった情報をもとに、現在の選考フローや面接での質問項目を見直すと、より良い採用・選考活動ができるでしょう。

2.採用広報活動に活用する
それぞれの能力についてヒアリングするとき、「例えば○○さんのような」というような例となる社員がいれば、名前を聞いておくと、具体的にイメージしやすいだけでなく、会社説明会の登壇者候補にもなり、一挙両得です。

3.経営層へ現場の声として挙げる
そして最後に、現場からヒアリングして得た声を人事部内にとどめるのではなく、経営層へも伝えることでより大きなメリットを得ることができます。
人事は、社内のどの部門よりも経営に近く、また現場にも近いという貴重なポジションです。その特性を生かして、ぜひ経営と現場の架け橋として積極的に現場の声を経営層に届けましょう。

経営層からは見えにくい現場の実情を知ることは、会社全体の利益にもつながるはずです。
会社の規模によっては、ひとつひとつの部門にヒアリングするのも一苦労……ということがあるかもしれません。逆に小さな会社では、わざわざヒアリングするまでもないと考える方もいるでしょう。

しかし、本記事にもあるように、ヒアリングには「経営と現場のすり合わせの場」、そして「経営と現場の架け橋」という面もあります。
人事は現場のことを知り、現場は会社という視点で必要な人材像について考える貴重な機会です。
こうした場を設けることで、人事と現場とのリレーションが高まり、今後の採用活動において協力体制を築きやすいというメリットもあります。

ヒアリングシートを活用して、現場とのリレーションを高めた円滑で質の高い採用・選考活動を進めてみましょう!
  • Organization HUMAN CAPITALサポネット編集部

    HUMAN CAPITALサポネット編集部

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  • 人材採用・育成 更新日:2022/01/12
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