若手社員の採用に効果。ジョブカフェの活用法
平成15年当時、日本の雇用情勢は、完全失業率が低下傾向で推移し、雇用者数も増加傾向を見せていましたが、若年層の失業率は高く、フリーターの増加などが課題になっていました。
この課題に取り組むべく、政府は、平成15年4月に、文部科学大臣、厚生労働大臣、経済産業大臣及び経済財政政策担当大臣の関係4閣僚による「若者自立・挑戦戦略会議」を発足。議論の結果、平成16年12月24日に「若者の自立・挑戦のためのアクションプラン 」が発表されました。
このプランには、若年層の自立・就業支援を目的として、学生段階でのキャリア教育や専門人材の育成、能力の向上、フリーターや無業者の働く意欲の向上、若者が挑戦し活躍できる市場・就業機会の創出、若年層への啓蒙活動の実施が盛り込まれました。
提言を元に、若年層へのキャリア教育やカウンセリング、地域の産業界・教育機関との連携を通じて、雇用環境改善や、就職促進、雇用のミスマッチを防ぐことを目的に「若年者のためのワンストップサービスセンター」として「ジョブカフェ」の設立が決定しました。
ジョブカフェは地域性を活かした独自の運営が行われている
ジョブカフェの正式名称は「若年者のためのワンストップサービスセンター」ですが、運営は各都道府県にゆだねられ、2021年7月現在、46の都道府県が設置しています。中には、ハローワークと併設しているジョブカフェもあります。
各施設は、地域の特性を活かすために、サービス内容や、利用年齢の範囲、そして呼称まで異なり独自性のある支援を実施しています。
ジョブカフェの一覧(ホームページを有するジョブカフェ)
エリア | 都道府県 | 施設名 |
---|---|---|
北海道 | 北海道 | 北海道若年者就職支援センター(ジョブカフェ北海道) |
青森県 | ジョブカフェあおもり | |
岩手県 | ジョブカフェいわて | |
宮城県 | みやぎジョブカフェ | |
秋田県 | あきた就職活動支援センター | |
山形県 | 山形県若者就職支援センター | |
福島県 | ふるさと福島就職情報センター | |
関東地方 | 茨城県 | いばらき就職・生活総合支援センター |
栃木県 | とちぎジョブモール | |
群馬県 | 群馬県若者就職支援センター | |
埼玉県 | ヤングキャリアセンター埼玉 | |
千葉県 | ちば若者キャリアセンター | |
東京都 | 東京しごとセンター | |
神奈川県 | かながわ若者就職支援センター | |
中部地方 | 新潟県 | 若者しごと館 |
富山県 | 富山県若者就業支援センター(ヤングジョブとやま) | |
石川県 | いしかわ就職・定住総合サポートセンター(ジョブカフェ石川) | |
福井県 | ふくい Job cafe | |
山梨県 | ジョブカフェやまなし | |
長野県 | ジョブカフェ信州 | |
岐阜県 | 岐阜県総合人材チャレンジセンター | |
静岡県 | しずおかジョブステーション | |
愛知県 | ヤング・ジョブ・あいち(通称:Y.J.A) | |
近畿地方 | 三重県 | おしごと広場みえ |
滋賀県 | しがジョブパーク | |
京都府 | 京都ジョブパーク 若年者コーナー(ジョブカフェ京都) | |
大阪府 | JOBカフェコーナー(OSAKAしごとフィールド) | |
兵庫県 | ひょうご・しごと情報広場 | |
奈良県 | ならジョブカフェ(ヤングコーナー) | |
和歌山県 | 和歌山若年者就職支援センター(ジョブカフェ・わかやま) | |
中国地方 | 鳥取県 | 鳥取県立ハローワーク |
島根県 | ジョブカフェしまね | |
岡山県 | おかやま若者就職支援センター | |
広島県 | ひろしましごと館 | |
山口県 | 山口しごとセンター | |
四国地方 | 徳島県 | 徳島県若年者就職サポートセンター(ジョブカフェとくしま) |
愛媛県 | 愛媛県若年者就職支援センター(愛work) | |
高知県 | 就職支援相談センター(ジョブカフェこうち) | |
九州・沖縄地方 | 福岡県 | 福岡県若者就職支援センター |
佐賀県 | 若年者就職支援センター(ジョブカフェSAGA) | |
長崎県 | フレッシュワーク長崎 | |
熊本県 | ジョブカフェくまもと | |
大分県 | ジョブカフェおおいた | |
宮崎県 | 宮崎県就職相談支援センター(ヤングJOBサポートみやざき) | |
鹿児島県 | 鹿児島県若者就職サポートセンター(キャッチワークかごしま) | |
沖縄県 | 沖縄県キャリアセンター |
ジョブカフェと他の就業支援施設との違い
ジョブカフェの類似施設として、ジョブサロン、わかものハローワーク、地域若者サポートステーションなどがあります。各施設の違いや特色を解説していきます。
ジョブサロン
ジョブサロンは、原則35歳以上の中高年者を対象とした就業支援施設です。
ジョブカフェと同様に、地域の特性に合わせた運営で、求職者への就職相談やキャリアプラン作成、情報の提供、スキルアップの支援を行っています。
ジョブステーション
年齢に制限はなく、就労相談、カウンセリング、職場体験講習の実施、就職支援セミナーの開催、技能講習の実施などを実施し、支援対象者の自立を支援しています。
地域によってサービスの差異があります。例えば、東京ジョブステーションは、失業や不安定な就労状態により、住居を失くされた経験のある方、または失くすおそれのある方を対象にしています。
わかものハローワーク
厚生労働省が運営する施設で、正社員就職を目指す35歳未満の若者を対象に、若者の就職支援を専門とする職業相談員が、支援を行います。求職者に対して担当者制を採用し、一人ひとりの状況に合わせて、二人三脚による丁寧な支援を行うのが特徴です。
地域若者サポートステーション
地域若者サポートステーション、通称サポステは、15歳~49歳の現在、就業、修学中でない方を対象として、「働き出す力」を引き出し「職場定着するまで」を支援する機関で、 厚生労働省が委託した団体が運営しています。
本来は15~39歳を対象としていましたが、内閣府主導の就職氷河期世代支援プログラムにより49歳以下までに対象年齢が引き上げられました。
ハローワーク
ハローワークとは正式名称を公共職業安定所と言い「国民に安定した雇用機会を確保すること」を目的として国(厚生労働省)が設置する行政機関です。年齢制限はなく、求職者に仕事を紹介する機能を担っています。
また、雇用保険制度の窓口もしており、失業給付や認定。助成金、企業の雇用保険の手続きを行っています。
企業がジョブカフェを活用するメリット
企業は、無料求人掲載や、採用のサポートを受けることができます。また、採用ターゲットを若年層に絞り込むこともできます。なお、運営する都道府県により、サービス内容は異なります。ここでは。その一例を記載します。
求人票を無料で掲載
ジョブカフェに無料で求人情報を掲載・公開できます。求人票の掲載を申し込むと、ジョブカフェのスタッフが企業を訪問し、求人内容や採用条件を確認、よりよい人材採用のためのアドバイスも受けることができます。
若年層の求職者と接触できるイベントの開催
ジョブカフェが主体となって合同説明会や求職者との交流会・職場体験などのイベントを開催しています。多くの求職者と交流し、自社とマッチする人材を探すことができます。
採用戦略の支援
「応募者が少ない」、「離職者や内定辞退者が多く定着率が低い」、「求職者にとって魅力的な職場環境を作りたい」「採用トラブルの回避」「若年層へのアピールを強化したい」など、若年層採用にまつわる各種課題に対して、若年求職者のニーズを把握しているスタッフがノウハウを提供、各種相談ができます。
人材定着の支援
人材教育の支援
従業員のための社員研修やビジネスマナー、モチベーションの向上などのセミナーを行い社員教育のサポートを行います。
ジョブカフェの活用フロー
申し込み方法や、掲載条件は、各ジョブカフェによって異なります。
- まず、最初に、ジョブカフェのホームページにアクセスし、掲載条件や各種注意事項を確認しましょう。
- ホームページに企業登録のフォームを用意しています。内容を記載し申請しましょう。
- ジョブカフェのスタッフ が、求人内容について確認するため企業を訪問し、求める人物像や、企業の情報や魅力をヒアリングします。
- 求人票を公開します。
- 求人情報に興味を持った求職者に対して、ジョブカフェのスタッフが当該企業の説明を行います。
- ジョブカフェスタッフ の説明を受けた求職者は、各自で直接、当該企業に応募します。
ジョブカフェは、若年層が自分にあった仕事を見つけられるように支援するサービスです。
求職者の支援はもちろんのこと、企業側も、無料での求人票の掲載や、合同説明会や交流会、就業体験の実施、採用戦略の支援、人材定着の支援を受けることができます。若手社員の採用に課題を持つ人事・採用担当者は、活用を検討しましょう。
- 人材採用・育成 更新日:2021/12/14
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