経営と人材をつなげるビジネスメディア

MENU CLOSE
0 s_saiyo_s02_s20211208110301 column_saiyo c_knowhowc_shinsotsusaiyoauthor_organization_saponet

【社会貢献×新卒採用】SDGsを意識した採用広報について聞いてみた

/news/news_file/file/thumbnail_s-column-067.png 1
近年、豪雨や台風といった災害が激甚化しています。また、コロナ禍によって多くの人々が制限のある暮らしを強いられているのも事実です。また、過去のインタビューではこのような社会不安が増大する環境下においては、学生が企業探しをする際に「社会貢献性」を重視する傾向があるという考察も示されました。
コロナ禍真っただ中での就職活動となった2022年卒ではついに、就活の軸として重視する項目の中で「自己成長」を抜き、「人の役に立つ」に次ぐ2位にまで浮上しました。学生にとってどれほど重要な事柄なのかが伝わってきます。

そんな中、全社を挙げて取り組んでいるCSR活動(※)が採用活動に好影響を与えている企業があります。福岡県を拠点に地元で愛されるうどん店を展開する株式会社資さんです。

学生に対してどのようにCSR活動を伝えているのか、その方法と成果を伺ってみました。

※CSR活動:CSRは「Corporate Social Responsibility(企業の社会的責任)」の略。企業として社会の中で事業を行う上で、環境、消費者、従業員などに対して責任ある意思決定をし、実際に行動に移すこと。

― 今日はよろしくお願いします。御社ではさまざまな方面からSDGsを意識したCSR活動を積極的に行っていると伺っていますが、そのきっかけは何でしょうか。

石川さん: きっかけということで言えば、創業者が「地元に愛され、信頼され、尊敬されるうどん屋さんを造りたい」と突き詰めてつくり上げてきた企業文化ということになるのではないでしょうか。
当社はSDGsという言葉が世に出る前から、お客さまはもちろん、従業員にとっても「愛され、信頼され、尊敬される」企業であろうとさまざまな形で努力を重ねてきました。

そして今、経営者が変わって「第2創業期」となり、これまでの活動をまとめ、新たにSDGs宣言という形でわれわれが実現したいこと、やるべきことをまとめているというところです。

河村さん: 具体的には、まず「地域の宝」である子どもの支援のため、児童養護施設へのキッチンカー派遣やこども食堂への支援、そして店頭での募金活動などを通じた「資さんこども基金」も設立しました。他にも、NGOを通じて古くなった制服を発展途上国に寄付する活動も行っています。
河村さん: これらの情報はマイナビの企業ページにも掲載しており、多くの学生に興味を持っていただいているようです。

石川さん: この他にも、環境への取り組みとして、環境負荷の小さな資材で店舗を運営したり、実質自然エネルギー100%の電力を活用して、さらにその電気代のうち1%は「資さんこども基金」に寄付しています。

― 先ほど石川さんが「従業員にとっても」とおっしゃいましたが、地域の方々向けの活動だけでなく、従業員にも何か行っているのでしょうか。

河村さん: 具体的に何か支援をしているというものではなく、こうした活動の根底にある経営理念、SDGs宣言をしっかりと浸透させることで「資さんで働くこと」が誇りに思えるよう、働き掛けています。

石川さん: 社員の間でもこうした活動の認知は高まっています。2020年、店長面談を行った際、こうしたSDGsの活動を自分の会社がやっているということを誇りに思って働けているという声も多く聞かれました。

― 学生は社会貢献を重視しつつも、その活動を見る目は厳しく、社会貢献を採用広報に取り入れるのに苦慮されている企業も多いように感じます。学生に対する伝え方は非常に重要だと思いますが、御社ではどのように社会貢献活動を伝えていらっしゃるのでしょうか。


河村さん: はい。弊社の経営理念である「幸せを一杯に。」というメッセージを大きく打ち出して、その理念に基づいた行動として何をやっているか、という順番で分かりやすく伝える方法をとっています。説明会でも、この理念を大きく掲げたポスターを掲出していますし、SDGsと理念のつながりを視覚化した図も活用しています。
河村さん: マイナビのように媒体でもこうした活動は伝えていますが、説明会で直接学生に対して話りかけるうちに、学生自身も自分がキッチンカーでさまざまな場所に行って支援活動ができるかもしれない、と想像を膨らませてくれているようです。
石川さん: SDGs宣言として「今までやってきたこと」と「これから新しくやるべきこと」を整理し、創業者の「地元貢献」の理念を礎として言語化して整理しなおしたところ、ブレなく一致しました。
そのことを素直に伝えることで、当社の社会貢献活動が実感と実行を伴うものであることを理解してもらえているのだと思います。

― 実際に内定受諾に至る学生に特徴はありますか?


石川さん: やはり一つには、こうした取り組みを含めたわれわれの経営理念をきちんと理解して共感してくれる学生、そして食に興味のある学生ですね。
大切なのは、単に「飲食の世界で働いてみたい」と考えているだけでなく、経営理念を理解した学生が入社してくれることだと思っています。
これからの第2創業期を支えてくれる人材になることを期待しています。
河村さん: そうですね。農学を学んでいたり、栄養学に興味があったり、といった多様性のある、多くの才能を持った学生が集まってくれていると思います。
一人ひとりが自分の興味や能力を生かして、経営理念の下で一緒に働けることが楽しみですね。
冒頭でも書いたように、近年の学生は社会貢献性を重視した企業探しをしており、その流れをくんで自社のCSR活動を採用活動においてアピールされている企業の方は多いと思います。

一方で、リサーチ力の高い今の学生は、そのアピールされている内容を吟味し「本当の意味で社会貢献につながっているのか?」というところまで見ているのも事実です。

その点、株式会社資さんの活動には強い一貫性があり、なおかつ活動内容のアピール方法が魅力的である点が多くの学生を集めているのでしょう。
取材の中では、福岡を拠点とする企業であるにもかかわらず、昨年度は北海道からのエントリーが最も多かったというお話もありました。

それだけ学生を引きつける活動は、当然ながら一朝一夕ではかないません。まずは足元から、自社の置かれた状況、経営理念、そして今実際に行っている活動を整理した上で、今後どのような活動をしていくべきか考えることが大切なのでしょう。
  • Organization HUMAN CAPITALサポネット編集部

    HUMAN CAPITALサポネット編集部

    新卒・中途採用ご担当者さま、経営者さま、さらには面接や育成に関わるすべてのビジネスパーソンに向けた、採用・育成・組織戦略のヒントが満載の情報メディアです。HR領域に強いマイナビだからこそお伝えできるお役立ち情報を発信しています。

  • 人材採用・育成 更新日:2021/12/10
  • いま注目のテーマ

RECOMMENDED

  • ログイン

    ログインすると、採用に便利な資料をご覧いただけます。

    ログイン
  • 新規会員登録

    会員登録がまだの方はこちら。

    新規会員登録

関連記事