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今や少数派となったインターンシップに参加しない学生

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インターンシップに参加する学生は右肩上がりで増えてきました。14年卒では学生が10人いたらそのうち3人ほどしか参加しておらず、参加する学生のほうが少数派でした。ところが年々参加率は上昇し、22年卒では84.5%もの学生が参加しており、参加しない学生のほうが少数派となっています(図1)。本コラムでは、インターンシップに参加しない学生について、その心理や置かれている状況を、調査データをもとに考察していきます。
まず、インターンシップに参加しない学生は参加意思の有無で二分できます。参加意思がない学生の具体例としては、卒業後の職業が決まっているパターンで、例えば医学部生、看護学部生、教員志望者などが挙げられます。彼らはインターンシップではなく“実習”で働く体験をします。では、インターンシップへの参加意思があるものの参加しない(できない)学生について、その背景になにがあるのかを見ていきます。
こちらの調査は23年卒の学生を対象としたもので、「応募したが参加できなかった」が9.1%、「応募しなかった」が11.4%いました。それぞれに理由を聞いた結果は以下の通りです(図2)。
応募したが参加できなかった人の理由の上位2つからは、参加人数の枠に限りがある、ある程度倍率の高いコースに応募していることが推察できます。申し込めば全員参加ができるコースがたくさんあるなか(図3)、いつまでも人気企業にしか目を向けられずにいる学生がここに当てはまるように思われます。また、参加の意思がそれほど高くなく、「選考に通ったら行きたいけれど、通らなかったらいいや」という場合もこちらに当てはまりそうです。コロナ前の場合は通える範囲に選択肢が限られてしまうということもありましたが、今ではオンラインで開催されるインターンシップの方が多くなりました。全国どこでも(ネット回線があれば海外からでも)参加ができるため、「選択肢が少ない」というよりは選り好みの強さの問題なのではないかと感じます。
続いて応募しなかった人の理由ですが、半数以上が「他のことで忙しく、時間が取れなかった」と回答しています。他のこととは、例えば授業、課題、実験などの学業、アルバイト、部活・サークル活動などでしょう。その合間でインターンシップを探し、選ぶ時間も必要です。インターンシップに応募する作業にどれくらい時間がかかるかは人によりますが、応募先を即決できるタイプとじっくり検討して決めたいタイプとでは必要な時間も異なります。「忙しい」の裏側に「本来はもっと時間をかけて応募先を探したい」という気持ちが見え隠れします。
先ほど紹介した調査に「参加するにあたって困っていること」を聞いた設問があります。インターンシップ参加経験のない学生に限定して回答を上から見ていくと、「参加する時間の余裕がない(38.9%)」の次にきているのは「自分に合うプログラムが分からない(37.3%)」「プログラムのレベルについていけるか不安(30.4%)」です(図4)。世の中には想像以上にたくさんの仕事があり、インターンシップを開催する企業も数千社にのぼります。筆者自身もインターンシップの応募情報を見ると、毎回知らない仕事の情報が飛び込んできて驚かされます。その中から1社、あるいは数社を選ぶのはなかなか難しいものです。
また、多くの選択肢と対峙する「自分」についても未知数で、案外分かっているようで分からないものです。だからこそ自己分析で、自分の長所や短所は何か、大切にしたい価値観がどのようなものであるか、毎年多くの学生が頭を悩ませるのです。インターンシップへの応募が始まるのは学部3年・修士1年の6月で、この時期にはまだまだ自己分析が十分でない学生も多くいます。まずは就職活動の両輪である「仕事研究」を自分でできる範囲でしつつ、インターンシップに参加することで理解をより深めるというのが理想なのではないかと思いますが、「プログラムのレベルについていけるか不安」という要素も相まって、立ち止まってしまうようです。
ここまで不参加学生について考察してきましたが、そのような学生に響きそうな言葉・キーワードを考えてみました。
今回は不参加の学生が抱える悩みや置かれている状況について考察しましたが、インターンシップ参加経験者のなかにも同じ悩みを持つ学生は存在するように思われます。冒頭で述べたように、大学生活という時間の中でインターンシップに参加するようになったのはここ何年かの話です。学生の本業である授業・研究に集中したい、学生時代にしかできないことに時間を費やしたい、学費を稼ぐためにアルバイトをしなければならないなど、インターンシップに参加しない理由を探せばキリがありません。しかしながら、時間を作ってインターンシップに参加することに価値があることが明らかだからこそ、年々参加率は上昇してきたのです。
学生が感じる参加への「懸念材料」に対して、それを解決する言葉を掲げる、写真や動画などの手法を駆使するなどして、「参加して得られそうなメリット」が勝るよう検討してみてください。
  • 人材採用・育成 更新日:2021/11/15
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