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適性テストは「リスク排除」から「戦力獲得」へ。「SHL」による見極めと使い方のポイント

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新卒採用にあたって、エントリーシートや面接以外に共通の筆記テストや適性テストをフローの中に取り入れている企業は多いと思います。 今回は、その中でも大きなシェアを持つ日本エス・エイチ・エル株式会社(以下SHL)の担当者に話を伺ってみました。

このSHLの適性テスト、他の適性テストと何が違い、どのような特徴があるのでしょうか。 新卒採用の観点から見た、特徴と活用法を伺います。

― 竹沢さん、中島さん、今日はよろしくお願いいたします。まず伺います。採用市場で使われる適性テストは数多くありますが、その中でSHLの最大の特徴とはどのようなものでしょうか。

竹沢さん: はい、よろしくお願いします。まず、その成り立ちから違っているということを理解してもらえればと思います。

人材の適性や能力を測る適性テストはいくつもありますが、その多くが臨床心理学など臨床現場から得られた知見を基に作られています。人の持つ心理的・性格的な傾向と、そこから導き出される行動をひも付け、現場でのパフォーマンスを予測するわけです。

一方でSHLは、最初から「仕事の現場で期待できるパフォーマンスを直接的に予測する」ことを目指して作られました。パフォーマンスに直結するのは「行動」です。臨床心理学などの知見を応用するのではなく、さまざまな仕事の現場で直接、パフォーマンスに関係する為の情報=行動的要素を得ようというのが、そもそものスタート地点です。

― なるほど。とはいえ、既に体系化された学問からではなく、一から情報を収集、分析するとなると、その信頼性の根拠が気になる方もいると思いますが、いかがでしょうか。

竹沢さん: SHLの適性テストの基となるパーソナリティ検査(OPQ)は、実際に働いているビジネスパーソンの行動を徹底的に分析することで開発されました。英国SHL社にて1981年~84年の3年以上かけて開発されており、さまざまな手順を踏んでいますが、大まかにはまずセールス、エンジニア、医師、芸術家… などあらゆる職業に就いている人々が職務において実際にどのような行動をとっているのかを記録、分析しました。

物事を理論的に考える人はどんな行動をとるのか、影響力を行使して仕事を推進する人に共通する特徴は何か、迷わず決めることのできる即決力は何が源泉になっているのか…、と徹底的に観察を行いました。

その結果、「行動リスト」は無数に記録されました。それら一つひとつを分析し、類似の行動を統合・検証を重ねていき、その他の検証も経て最終的に「人との関係」「考え方」「感情」の3カテゴリ、計30の因子にまとめています。言い換えれば、30の因子を組み合わせることで、世の中のさまざまな仕事を説明できる、ということです。

―なるほど。心理学的に分析可能な「特性」から「仕事における行動・パフォーマンス」を導くのではなく、「仕事における行動・パフォーマンス」から「特性」を逆算して作られたというわけですね。


竹沢さん: そういうことです。実際の職務行動・パフォーマンスから特性を分析しているので、適性テストの結果と現場でのパフォーマンスが一致しやすいということがSHLの適性テスト(OPQ)の特徴です。

また、項目数が30というのは他の適性テストと比較して非常に多い。それだけ細分化されているので、一人ひとりの特徴がはっきりと浮かび上がります

― そこまで精緻な分析ができるとなると、扱いが難しいという場面もありそうですね。


竹沢さん: おっしゃるとおりです。30項目の中で、何が自社に必要なのか、言い換えれば、どんな特徴を持った人を採用すべきなのか。ここを明確にしておかないと、せっかくSHLの適性テストを実施しても無駄になってしまうかもしれません。

― 以前、サポネットでも特集した「人材要件」 との相性が良さそうです。


竹沢さん: はい。人材要件を定めるための基礎情報をSHLのパーソナリティ検査「OPQ」で収集し、さらに選考にもSHLの適性テストを導入することで、求める人材像を明確にした上で合致する人材を見落とすことなく選考を進めていくことが可能になります。
中島: その効果を最大限に発揮するため、まずは社内の人材にSHLの適性テストを受検してもらうことをお勧めすることが多いですね。

SHLの適性テストは「この人はどの会社でも活躍できるかどうか」といった汎用性のある指針を示すものではなく、一人ひとりの特性を浮かび上がらせ、「向き/不向き」から受検者の適性、パフォーマンスを予測するものです。

つまり、一つひとつの会社でビジネスの戦略や人事評価制度が異なれば、それぞれの会社で求められる人材も違ってくるわけですね。

まずは自社の人材が受検したSHLの適性テストの結果から現状を知り、会社の将来あるべき姿に向けてどんな人材を採用すべきなのかを考えていただければと思います。

― 実際にSHLの適性テストを利用している企業から寄せられる質問や、抱えやすい問題についてもう少し教えて下さい。


中島: 起こりがちなのは「採用広報の内容と、人材要件、選考プロセスに分断がある」という状況ですね。

社員にSHLの適性テストもやった、人材要件も作った。でも、その内容が採用広報の制作チームとうまく共有できず、選考母集団の特性が人材要件とかい離してしまうことがあるんです。
求めるべき人材像がはっきりしているのに、その像が採用広報のクリエイティブに反映されていないということですね。

また、選考に進んだ際にも面接官との間で見極めの基準が的確に共有されず、結果としてSHLの適性テストが生かされないこともあります。

そういったお悩みに対しても、SHLのコンサルタントとマイナビの担当者が対応できるので、ぜひ相談していただきたいと思います。

― どういったサポートが得られるのでしょうか?

竹沢さん: SHLの適性テストを基準とした人材要件の定義、そこを出発点とした広報や見極めなど採用フローの最適化の過程全体をご支援できます。

マイナビと協業しているからこその強みと言えるでしょうね。

SHLの適性テストによる統計的な戦力性分析を基礎にした採用フロー全体の設計が当たり前のことになると、企業・学生双方にとってマッチング精度が高まるため、日本の採用市場はより良くなるでしょう。

― では続いて、もう少し具体的なことを聞かせてください。実際、SHLの適性テストを導入して社員や学生に受検してもらうとなると、どのような手順が必要で、何に注意すべきなのでしょうか?


竹沢さん: まず受検方法ですが、「マークシート受検」「Web受検」「テストセンター受検」という大きく3つの方法があります。テストセンター受検については、基本的には会場に来ていただいての受検となります。

が、最近は「オンライン会場におけるWebでの受検」が可能になりました。コロナ禍で学生を会場に向かわせることが難しくなり、そのニーズに応えた形です。

安定した通信環境で、パソコンのマイクとカメラを使い、周りに人がいないこと、受検結果に影響しそうなものがないことを証明した上で、自宅で受検することができます。これは国内で受検できる適性テストとしてはSHLだけが対応しているものです。

また、試験内容の面からも事前の対策やカンニングが影響しにくくなっています。

― どういうことでしょうか?


竹沢さん: これまでの適性テストは、受検者側が対策することで「良い結果」と見えるよう、回答することが可能なテストも存在していました。なので、実際の本人の面接での言動・印象と適性テスト結果にかい離が生じやすかったものもありました。

例えば、採用場面で「自分は時間にルーズな方だ」という問いに対して「はい」と答える人はいないわけなので(笑)。
中島: 私も受けたことがありますが、SHLの適性テストは、質問内容は全てポジティブなもので、4つの組み合わせから最も近いものと遠いものを1つずつ選択する方式なので、「明らかに結果に影響しそう」と分かる質問がありません。

そもそも事前準備やカンニングの意味がないと言った方が正確かもしれませんね。

― では最後に。サポネットの取材を通じて企業の採用担当者の方とお話をすると、よく聞かれるのが「会えば分かるので適性テストは不要」といった声です。この点について、どのようにお考えですか?


竹沢さん: 私が言うべきことではないかもしれませんが、「一理ある」とも思います。その理由は「同化性と戦力性は根本から異なるもの」だからです。

SHLの適性テストは、仕事でのパフォーマンスを予測する適性テストですから、「戦力性」を科学的な裏付けをもって予測することができます。 一方で、「うちの会社らしいか?」「部下として一緒に働きたいか?」といった「同化性」は適性テストで見極めることはできません。その同化性の点で、「会えば分かる」というのは理に適っています。

学歴主義で、学校の勉強の成績と戦力性を同一視する傾向が日本の採用現場には根強く残っていますが、技術職など一部を除き、多くの仕事は実際には7〜8割はパーソナリティの影響を受けているという研究があります。

だからこそ、同化性だけでなく自社でパフォーマンスを発揮できるポテンシャルがあるかどうかを適性テストも活用しながら分析・把握する事は大切なわけです。
一方で、戦力性が高いからといって自社に定着するとも限りません。組織になじむ「同化性」は、採用側の企業が目で見て、話してみないと分からないものです。

「一理ある」と申し上げたのは、SHLの適性テストだけで思い描いたとおりの採用が100%実現できるというわけではないから、ですね。

中島: 「会えば分かる」だけを信じ、科学的、客観的な視点が抜けると、同化はするが戦力にならない人材を採用しかねませんし、逆にSHLの適性テストだけに頼ると戦力性はあるが自社に定着しない人材を採用しかねません。

ここは上手に使い分けていただけるよう、マイナビとしてもお客さまにお勧めしています。

― 今日はありがとうございました!

科学的な採用活動と、情緒的な採用活動。 日本式の新卒採用市場で長く支持されてきた後者の方法論と、SHLの適性テストをはじめ新たに注目され始めた前者の方法論は、相反するものと考えている方も多いのではないでしょうか。

実はこの取材を担当した私自身、どこかそんなふうに考えていたところがあったように思います。

だからこそ、最後に伺った話からも分かるように「科学的に分析した戦力性」と「会って話して分かる同化性」をバランス良く採用フローに取り込むことが重要という指摘は、新鮮に感じました。

導入までのハードルが高く感じるSHLの適性テストですが、マイナビでは導入前からのサポートも行っていますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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  • 人材採用・育成 更新日:2021/05/24

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