中途採用面接で聞くべき厳選質問集[50選]|面接官の心得
- 求職者自身のコミュニケーション力や面接当日の雰囲気に影響されず、面接の質を向上させることができる
- 面接を複数人・複数拠点で実施する場合は、面接官ごとの対応力やフィードバック内容を均質化できる
- ヒアリング内容が統一されるため、求職者を相対的に比較検討することができる
- 合否判断の基準と根拠が設けられるため、現場へ説明責任を果たすことができる
戦力強化にせよ欠員補充にせよ中途採用では、社内にはないスキルや知見を持つ人材を外部から採用することがミッションとなります。しかし、久しぶりに中途採用を実施する場合や、担当者が不慣れな場合は、人材の見極め以前に面接の運用そのものに負荷を感じてしまうことも多くあります。 一見手間のようであったとしても、質問設計を事前に用意しておくことで、面接に専念できるようになります。
WEB面接(オンライン面接)の場合の準備
テレワークが普及したことで、人材採用の面接もオンラインで実施することが多くなりました。ここでは、WEB面接での準備に関して紹介します。
WEB面接のシステムを確認
「WEB面接(オンライン面接)」では、当日、システムの問題でトラブルが発生することがあります。前日までに本番と同じ環境で配信テストをしましょう。
また、面接対象者にも、安定した通信環境からアクセスをするように依頼し、利用ツールの情報やアクセスURLも合わせて、事前にメールで告知を行いましょう。
そして、万が一配信トラブルが発生し、面接ができなかった際の対応方法も事前に準備しましょう。
配信環境の確認(背景、照明、音声)
「WEB面接(オンライン面接)」を行う場所の環境にも配慮しましょう。
●音声への配慮
面接官以外の声が聞こえたり、雑音が入る環境は避ける。
●照明への配慮
照明が暗い場合、会社のイメージを損なう可能性があります。顔がはっきり見える明るい環境から配信しましょう。
●背景への配慮
背景が雑然として整理されていない場合は、会社のイメージを損なう可能性があります。また、背景のホワイトボードにグラフや会議の内容が記載されていて機密情報が漏れてしまう場合があります。背景の映り込みにも注意しましょう。
面接官の役割
面接の目的は、大きく2つあります。求職者が望む人材であるか見極めることと、内定時には、入社してもらえるように、自社の魅力を適切に伝えることです。
近年、少子高齢化による労働力不足の影響もあり従業員の確保は企業の大きな課題になっており、後者の目的を達成するために、面接時に求職者のモチベーションを高める施策の重要性が高まっています。
ここでは、この目的を達成するために必要な面接官が果たすべき4つの役割を紹介します。
フォロワー
求職者側にたって、求職者の不安や疑問、緊張をときほぐす役割を果たします。
主に、人当たりの良い人事担当者や当該部署のスタッフが担い、求職者が本来のパフォーマンスを発揮し自己表現ができるように環境をつくり、自社に良い印象を持ってもらえるようにします。
モチベーター
入社の意欲を高める役割を担います。
主に、人事担当者や現場で活躍しているマネージャーや求職者と年齢の近い人材が担当します。
自身の経験から仕事の面白さを具体的に伝え、求職者が「自分の働いている姿」のイメージを描けるように、モチベーションを高めます。
インパクター
面接の際に気づきや新たな視点を求職者に与え、自社を印象づける役割を担います。
主に、社内で活躍している人材が担当し、仕事の面白さや成功体験を伝えて、求職者が「この仕事がしたい」と憧れを抱かせることを狙います。
クローザー
最終面接などで求職者に入社の決断を促す役割を担います。役員や代表などが担当します。
この4つの役割は、1人で全ての役割を演じる場合や複数人が分担して演じる場合もあります。面接官の人数にあわせて柔軟に運用しましょう。
面接当日の進め方
- 面接官側から自己紹介を行う
- アイスブレイクからはじめ、話しやすい雰囲気を意識する
- 企業紹介・事業紹介・募集のいきさつを伝える
- 時間内で、見極めの時間と自社により興味をもってもらうための説得の時間を設ける
面接を実施する側は、事前に履歴書に目を通しているため、既に求職者の情報を得ていますが、求職者側からすると企業名は知っているものの、面接官とは全くの初対面であることを忘れないようにしてください。 まずは面接官より求職者へ丁寧に自己紹介し、つづいて自社紹介や採用募集となった経緯を伝えると良いでしょう。その上でアイスブレイクもはさみつつ面接へ入る事で、求職者側も臆することなく実績をアピールできるよう体制が整います。
中途採用面接で大事な考え方
01:業務実績の重点確認
即戦力となる人材を採用するためには、前職での業務実績は必ず確認すべき内容です。 面接現場では、お互いのコミュニケーション能力が多分に影響するものの、実績について期待していたような回答が得られない場合や、実績内容が自社既存社員の基準とあまりに離れている場合は、即戦力としては期待できないかもしれません。
02:本選考で求めている人材像を明確に表現する
求職者に期待することについては、はっきりと伝えてください。例えば、新規顧客の獲得が得意な営業職を募集している場合は、漠然と営業スタイルを質問するのではなく、貴社が理想とする顧客の特性を提示し、その顧客と関係を築くために候補者がどのように商談をアレンジし、どのように目標達成を目指すのか具体的に聞くようにしてみてください。
03:退職理由や入社動機はマッチング精度を左右する
ビジネス経験が一定期間あれば、働くことについて独自のポリシーを持っているものです。ポリシーは、「はたらき方」を決める意思決定に大きく影響を及ぼす要素であることが多いため、面接時に把握することで、職場配属時にミスマッチが発覚するリスクを抑えることができます。 なかでも求職者のポリシーを端的に表す一例が、前職の退職理由や入社動機です。なぜ前職では、自身のポリシーに基づいた仕事ができなかったのか。入社時の動機と退職動機にギャップや目的転換の理由などがないか確認することが重要です。
04:スキル・ノウハウの確認には専門家の同席を
実力のある求職者は、必ずその裏付けとなるスキルやノウハウを要しています。その程度を見極める、あるいは偽りでないことを裏付けるためには、そのスキルを理解できる人間を面接に同席させると良いでしょう。 スキルやノウハウは、実務でどのように活かしていきたのかを確認し、自社の方向性と照らし合わせて判断することも重要です。高いスキルを要していても、社内に活かせる環境が用意できないのであれば、お互いに不幸な結果となってしまいます。
05:時には、即戦力に固執しない採用判断も必要
2022年6月末時点で、求人倍率の全国平均は「1.27」で、コロナ禍からの本格的な回復を前に、今後の人材獲得競争は厳しくなることが予想されます。
そこで、オススメしたいのが「即戦力“的”人材」の採用です。
即戦力的人材とは、100%要件定義どおりではないが、求める人材に近いスキルや経験を持っている、入社後の研修や教育しだいで戦力化できそうなポテンシャルを感じることができる人材を指します。
業務実績が、即戦力としては難しい場合であったとしても、社内教育や研修などで伸びる見込みのある人材に対しては、新卒社員同様に、育て上げる視点で採用することも時には必要になってきます。
詳しくは、「500社の中途採用を手がけてきた求人コピーライターが語る、即戦力”的”人材による採用課題を解決する方法」をご参照ください。
求職者の適性を見極める質問50選
自己分析・自己評価を促す質問
1. 自分自身をどのような人物であると考えていますか?
2. 上司や同僚の方から見て、あなたはどのような人ですか?
3. 入社時と現在とでは、自分自身がどのように成長していると思いますか?
4. 弊社があなたの友人に対して、あなたの採用合否についてアドバイスを求めたら、どのように答えると思いますか?
5. あなたの最大の強みはなんですか?
6. あなたの強みを全て上げてください。
7. あなたの一番の弱点・欠点は何ですか?
8. 現職において、あなたの最大の成果(失敗)は何ですか?
9. 弊社があなたを雇う決め手はどのような点にあるとお考えですか?
求職者からのプレゼンは「アピール」に偏ってしまうことが多く、実際の役割分担や貢献度が把握しづらいケースが出てきます。その場合は、上司や同僚の視点で「自身」を説明してもらうことで、客観的な情報を得ることができるでしょう。
対人能力やチームでの働きかたを知るための質問
10. 業務上、上司と意見が合わなかった経験はありますか?
11. これまでの最高の上司と最低の上司はどのような方でしたか?
12. 上司には、どのような業務関与をして欲しいですか?
13. チームで業務に取り組んだ際のエピソードを押してください。
14. 入社後、どのくらいの期間でフィットできると思いますか?
15. 個人とチーム、どちらで業務を進めるほうが得意ですか?
上司や同僚との関係性や業務上の立ち振る舞い方は、求職者の対人能力の推察にも役立つでしょう。特に上長に当たる人物との関係性は、どのような職場においても成果に直結する要因となります。
マネージメントスキルを把握するための質問
16. 社内のチームワークを良くするにはどうしたら良いと思いますか?
17. 現職では、どのような責務を負っていますか?
18. 部下をどのような方針で育成してきましたか?
19. リーダーとなって業務を推進したエピソードを教えてください。
20. 前職の気に入っている点、改善が必要な点はどのようなところですか?
マネージメントスキルの適性は、どのような職種の採用であっても把握しておきたい内容です。折衝力や目標達成力も重要ですが、周囲を俯瞰して見守る力や状況を把握する力を持ち合わせた人材ならば、新しい環境下での適応・成長性も期待できることでしょう。
ストレス耐性や問題解決力をはかる質問
21. 現在の職場で抱えている課題を教えてください。
22. これまでに直面した難題について教えてください。また、どのように解決しましたか?
23. 業務負荷の高い仕事や責任の重責を果たしたとき、どのような事を心がけましたか?
24. 業務中に「怒り」を感じた経験はありますか?それはどのようなシーンで起こったことですか?
25. 上司から受けた印象的なフィードバックはどのような内容でしたか?
求職者が経験してきた対人関係での衝突や解決の難しい業務課題に対しての取り組みを具体的に聞く事で、ビジネス成熟度の把握に役立つでしょう。 求職者と貴社内での同等ポジションの社員とで相対比較することで、よりイメージが鮮明となります。
志望度や成長性をみるための質問
26. なぜ弊社で働きたいと思ったのか教えてください。
27. どのような視点で志望企業を選んでいますか?
28. 具体的に弊社のどういった点に興味がありますか?
29. 入社後、30日後、60日後、90日後にどのような働き方をイメージしているのか教えてください。
30. 5年後の目標を教えてください。
31. 転職先を見つけるためにどんな取り組みをしていますか?
企業が最善の人材を求めるように、求職者も最適な企業を求めています。 マッチング不足のまま入社となってしまった場合は、お互いに不幸な結果となります。貴社からの一方的なラブコールとなってしまわないように、求職者がどの程度貴社に興味があり、長期的な視点で判断しているか把握することが重要なポイントとなります。
32. 弊社ではどのような役割が求められていると思いますか?
33. 実績をもとに、どのような貢献ができると考えていますか?
34. 弊社はどのような企業だとお考えですか?印象を教えてください。
35. 今回の求人募集に、あなたが適任である理由を教えてください。
36. 配属予定の上司や同僚について質問はありますか?
ビジネススキルや志向性に加え、求職者の地頭力や柔軟性の把握にも役立つ質問です。 同じ職種やポジションであったとしても、職場環境は会社ごとに大きく異なるものです。求職者の実績や事前に開示されていた情報を基に、どのような貢献ができるかイメージできているのか確認してください。
ワークライフや価値観を知るための質問
37. どのような職場環境で働きたいですか?
38. 業務上、最も報われた(報われなかった)経験を教えてください。
39. 印象に残っている、特に力を発揮した、業務はどのようなことでしたか?
40. 成功(理想の仕事)とはどのようなものですか?
41. 新しい職場や仕事で達成したいことはありますか?
42. キャリア(人生)での目標を教えてください。
43. これまでとキャリアプランを変更する理由を教えてください。
キャリア上の最終目標や人生観といった、長期的な視点における価値観を聞く事で、アピール要素だけではわからない求職者の人物像の把握に役立つことでしょう。事前に配属先のメンバーの志向性も把握しておくことでチームビルディングの判断にも役立てることができます。
+α 求職者の質問を深く理解するための質問
44. 具体的なエピソードはありますか?
45. どのような問題が発生しましたか?
46. どのように問題点を発見したのですか?
47. どのように対処しましたか?
48. どのような改善を実施しましたか?
49. どのようなことを学びましたか?
50. 上司や同僚からはどのようなフィードバックがありましたか?
求職者は面接前に回答を用意し、輝かしい実績を振り返った上で臨んでくることでしょう。面接官として自社の課題解決を担う人材を見極め「採用成功」につなげるためには、質問の切り口や言い回しを変えただけでは効果はほとんどないでしょう。 そこで重要となるのが、面接官や同席した責任者独自の視点で気になるポイントをより深く理解するために質問を加えていくことです。一般的には「なぜなぜ分析」と呼ばれる手法が有名です。
面接時にするべきでない質問
厚生労働省は、採用選考にあたって、以下2つの基本的な考え方を明示しています。
- 応募者の基本的人権を尊重すること
- 応募者の適正・能力に基づいて行うこと
つまり、この基準に沿わない「求職者の適性・能力とは関係ない事柄」の質問は不適切な質問としています。具体的な配慮すべき事項として、以下が挙げられます。
「本人に責任のない事柄」への質問
「国籍」や「本籍・出生地」、「家族にかかわること」、「家庭環境にかかわること」など
「本来自由であるべき事項(思想信条にかかわること)」への質問
「宗教」や「支持政党」、「人生観や思想」、「社会活動」、「尊敬する人物」、「購読新聞」、「愛読書」、「愛読している雑誌」に関することなど
詳細は、厚生労働省「公正な採用の基本的な考え方」へ
面接で評価するポイント
面接で評価する項目は、求める人材要件に応じて、全く異なります。
ここでは、典型的な評価ポイントを例として明示します。項目の追加や削除、重視する項目を設定し、柔軟に運用していきましょう。
就労意欲
自社のことをどの程度、調べて理解しているのか、自社でどのような仕事をしたいのか、質疑応答の中で、自社への志望の意欲を評価します。
知識、スキル
面接の応答の中で、履歴書や職務経歴書に書かれているスキルに虚偽はないか確認しつつ、専門知識のレベルを評価します。
コミュニケーション能力、表現力
質問に適切に答えているか、分かりやすい表現で相手に説明できているか、対人折衝能力を評価します。
思考力
論理的な話ができているか、ストーリーに矛盾はないか、発想力や着目点などを評価します。
行動力
過去の経験の質問から、仕事に対する積極性や姿勢、リーダーシップを評価します。
人となり
責任感や素直さ、失敗やストレスへの対処、チーム内でどのような役割を果たすタイプなのか、その人となりを評価します。
面接の精度向上のためにも、採用要件をしっかり検討しましょう
このように面接における「質問」は求職者の質やスキルを把握するための手法ですが、リストアップしたシートの枠を埋めていくだけでは採用成功と呼べる結果とすることは難しいでしょう。
「自社の求めるペルソナ」を設定し、「ペルソナの見極めにつながる質問」を準備した上で面接を行い、回答の裏側に隠れた「本当の能力」を発見することが、面接担当者としての役割といえます。
- 人材採用・育成 更新日:2022/11/09
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