2018年度 マイナビ就職活動に対する保護者の意識調査
■子供の就職活動への関わり方・支援
7割の保護者が、子供の就職活動に関心を示す。「気を遣わないような雰囲気や環境づくり」という見守り型の支援が4割強。
保護者が、子供と将来の仕事について話し始めた時期は、高校時代(21.3%)と大学3年生(14.2%)に集中している。高校時代は、大学受験に向け文理選択に始まり、志望校、志望学部学科の選択など将来に関わる選択をする時期であり、将来の仕事について現実的な話をし始めているのだろう。カテゴリー別にみると「母親・娘」や親の就職活動時期が「不景気」において、高校時代以前から話をしていた割合が高い。
子供の就職活動に対する関心度をみると、「関心(高い関心+関心)があった」は全体では72.2%であった。父親の68.6%に比べ母親は76.0%と7.4pt高い。特に息子を持つ母親の関心度は78.8%で父母と息子娘のクロス項目の属性の中で最も高い。就職活動について子供と最も会話をしたのも母親(69.3%)で、母親の子供の就職活動に対する関心度の高さを物語っている。それについては、就職活動中のやりとりに関する質問で「(よく+時々)あった」の割合が母親の方がすべての項目で高いことからも推察される。やりとりの中で唯一母親の回答が5割を切ったのが、「どの企業や業界に就職して欲しいか話す」で、子供の自主性を尊重しサポートしようとしている様子がうかがえる。
子供の就職活動へ「高い+関心があった」(父母と息子娘のクロス集計)
子供への就職支援として行ったことを金銭的支援以外で聞いたところ、父親母親どちらにおいても、「あまり気を遣わないような雰囲気や環境作り」がトップとなり、心配をしているが、そっと子供を見守る保護者が多かった。2位は父親では「企業選びへのアドバイス」(26.0%)であるのに対し、母親では、「(靴磨き、アイロン掛け等)身だしなみを整える手伝い」が41.3%で、サポートの違いがみえる。行った支援について79.7%の保護者が「丁度よかった」と回答しており、保護者としての就職活動へのサポートに満足しているようだ。「支援し過ぎた」と思う保護者は1.4%と少ない。
親の居住エリアと子供の同居非同居における交通費(宿泊費含む)支援平均額
6割の保護者が子供の就職活動に「不安になったことがある」と回答している。父親では57.4%が「不安になったことがある」と回答しているのに対し、母親は、64.3%と父親と比べ6.9pt高い。息子を持つ母親では、67.6%と娘を持つ母親の60.4%より7.2pt高かった。母親は父親より就職活動に関するやりとりが多いため、子供とのコミュニケーションの中で不安が生じることも多かったと考えられる。
不安になった理由を全体でみると、「子供が志望企業から内定がもらえるのか」(48.4%)がトップで、「子供が1社でも内定がもらえるのか」(40.5%)、「就職した後、子供はきちんと務まるか」(39.0%)が続いている。内定の有無よりも、志望企業からの内定についての不安が多いことは、子供の就職環境が売り手市場だという認識が保護者に浸透しているからだと推察できる。
子供の就職先に望むこと、働いてほしい業界・企業
子供の就職先企業の特徴として、望むのは「経営が安定している」こと。
子供が入社する企業の特徴として望むのは「経営が安定している」(46.2%)が突出していた。子供に働いてほしい業界を上位3つあげてもらいポイント付けし算出すると、1位「官公庁・公社・団体」、2位に「医療・調剤薬局」、3位「総合商社」、4位「薬品・化粧品」「教育」が続いた。子供に働いてほしい企業では(各省庁、地方自治体は「公務員」としてまとめた)では、「公務員」が圧倒的に多く票を集め、「トヨタ自動車」「NTT」「日本航空(JAL)」「パナソニック」といった保護者世代には馴染み深い企業が名を連ねていた。「経営が安定している」=「公務員」、「大企業」というイメージがランキングに現われているようだ。
子供の大学入学時の選択基準
5割強が、大学選択の際に就職実績を重視。
大学を選択する際に、重視したことを複数回答で聞いたところ、受験の際に基準となる「大学の難易度や偏差値」がトップ(27.4%)ではあったが、「子供の興味や関心にあうかどうか」(27.3%)と僅差であった。
大学を選択する上で、就職実績を「(かなり+ある程度)重視した」と回答した53.5%の保護者が就職実績に関して最も重視したことは、「学部ごとの就職率」(40.5%)であった。「キャリアセンターの就職支援の充実度」が5.7%と少ないのは、大学選択時点で「キャリアセンター」の存在、役割、支援内容、実績等を知る機会が少ないからではないだろうか。基本的に高校の進路相談で個々の大学のキャリアセンターの支援実績にまで、話は及びようもない。
バブル世代の就職活動の思い出やエピソード
どちらも売り手市場である2019年卒大学生(子供)と、バブル世代の保護者で内定保有社数(平均)を比較すると、全体では2.3社で変わらない。 カテゴリー別でみると文系男子と理系女子で差がみられた。理系女子の内定保有社数(平均)が少ないのは、当時理系の就職活動で自由応募はほとんどなく、推薦でほぼ内定が出ていたため何社も受けられなかったことや男女雇用機会均等法が施行されていたとはいえ、下宿の女子は取らないとする企業もあり、女子には厳しい時代であったからと考えられる。文系男子が多いのは、現在と同様人手不足で内定が出やすかったことや、男子を中心に採用が行われていたからだと推察できる。
内定保有社数平均(バブル世代保護者/2019年卒大学生)
就職活動を行った保護者全員に自身の就職活動と比べて子供の就職活動をどう思うかを聞いたところ、「大変+すごく大変だと思う」が67.2%と、「すごく楽+楽だと思う」の11.7%を50pt近く上回った。その理由として、「エントリーシートの負担が大きい」(48.8%)、「面接が多い・大変」(46.2%)が5割近かった。会社四季報、就職情報誌、企業のパンフレット等で企業情報を集めていた頃よりも情報を得やすくなった反面「情報が多すぎて翻弄されやすい」(41.0%)と4割の保護者が大変だと思う理由に挙げている。現在の就職活動環境は、内定率が過去最高で当時より内定状況は良いのだが、自分の子供の活動を目の当たりにすると、就職活動における「負担」が自身の頃よりも大きいようにみえると推察される。
- 調査・データ 更新日:2018/12/18
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