退職理由を組織改善のヒントに!退職面談の目的と実施のポイント
過去最高の求人難と言われるなか、採用について頭を悩ませている人事担当者は多いかと思います。しかし、採用市場がこうした極端な売り手市場にある状況では、必然的に退職者も増える傾向にあります。人事は採用と人材確保、つまり攻めと守りを同時にこなさなければならないのです。
では、退職率を低減するために有効な対策をどこから見つけ出すべきかと言うと、今まさに退職しようとしている退職者から問題の本質をヒアリングすることが、実は一番確実なのです。
退職者に対して時間をかけたくない、と考えてしまう方もいるかもしれませんが、退職の事務手続きと合わせてしっかり「退職面談」をすることには大きな意味があります。ここで退職者から最後の金言を引き出せるかどうかが、結果的には将来の採用強化・退職率低下につながるカギとなるのです。
今回は、将来の採用強化・組織改善につなげるために「退職面談」をどのように進めていけばいいのか、そのコツをお話ししましょう。
そもそも何のために退職面談をする必要があるかと言うと、退職者の意見の中から、会社組織を改善するヒントを得るためです。
そこには直接的に退職率などに結びつく問題点や、働きやすい環境作りのために長期スパンで取り組むべき事柄、経営にまつわる疑問まで、さまざまなものが含まれている可能性があります。そしてそれは、現在進行形で会社のために働いている社員には意識し得なかったことかもしれません。
退職には必ず理由があるものです。ほとんどの場合は、何らかの不満や働きにくさを感じていたり、よりメリットの多い職場があったりするために退職していくことでしょう。
しかし、それを仕方ないことと思って単に見送っているだけでは不利益ばかり。退職面談ではそういった、退職していく身だからこそ見える部分、退職するからこそ言えることなどを素直に話してもらい、組織改善のための貴重な情報として活用していくことが求められるのです。
退職面談では「本音を語ってもらえる環境」作りが最も重要になります。「何を聞き出すか」という質問内容を考えることは、実はそれほど難しくありません。
転職などで会社を去っていく退職者は、警戒心が強くなり、総じて口が固くなるもの。余計なことを話して、退職手続きがこじれることを嫌がったり、そもそも会社に貢献したいという気持ちが薄れていたりいる場合が多くあります。
逆に、しっかりと本音を語ってもらえる環境を作れていれば、退職者側から自然に「不満点」や「疑問点」を話してくれる可能性が高くなります。なぜなら、退職者は基本的に会社の現状に不満を持っているからこそ、会社を去っていくからです。話したいことは必ずあるのです。
それでは、退職面談で心がけるべき4つのポイントを紹介します。
退職面談で聞くべきことはそれほど多くありませんが、基本的な質問事項を押さえつつ、退職者ごとにヒアリングの要点を変える必要があります。以下の3点に絞ってヒアリングを進めつつ、後半は退職者の話したい内容を掘り下げるとよいでしょう。
<ヒアリングで必ず聞いておきたいポイント>
・退職を決意した本当の理由
・会社の改善点、問題点
・会社の良い点、伸ばすべき点
必ず聞き出したい最大のポイントは、「表向きではない、本当の退職理由」です。無理強いはできませんが、雰囲気作りと丁寧に聞き出す姿勢を保つことで、8割以上の退職者は本当の退職理由を打ち明けてくれます。
また、退職者に寄り添って傾聴することで、それ以外の大切なポイントは退職者側からその都度自然にこぼれ落ちてきます。それをしっかり聞き取ってまとめ上げるだけで、十分に有意義な退職面談となるはずです。
退職面談で得られた結果は、課長→部長→本部長→役員→社長といった通常のエスカレーションプロセスではなく、人事担当が直接取りまとめて社長・役員に渡し、そこから下へと落とし込む仕組みを作るようにします。
なぜなら、問題点は退職者の周囲の人間関係や部署にある場合が多いからです。つまりエスカレーションプロセスでは、もし不都合な面談結果があった場合、社長や役員まで報告が上がりきる前に得られた情報が隠蔽・改ざんされることがあるのです。
そして、直接経営トップ層に届けた情報を経営会議などで討議し、早期に対策を打てるような仕組みも合わせて構築していきましょう。時間はかかるかもしれませんが、退職面談で得られた情報を適切に処理することが組織の改善につながりますので、確実な仕組み作りを進めていってください。
- 労務・制度 更新日:2018/08/14
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