介護離職を防ぐために、人事が必ず知っておくべき3つのこと
平成29年1月、厚生労働省が発表した「育児・介護休業法」。有給休暇では対処できないような事例が発生したとき、社員が離職してしまうのは大きな痛手となります。そうならないために、企業の柱となる中堅社員に向け、仕事と介護の両立支援を行うための法律です。
ここで問題です。
従業員が介護休業を申し出てきたが、同居はしていないとのこと。人事担当としてこの申請にどのように対処すべきでしょうか?
A.
この場合、同居の有無は要件にあてはまらないため、企業はその申し出を断ることができません。
共働き世帯が急増したことにより、企業側にも介護を行う従業員に対しての柔軟な対応が求められるようになってきています。
制度の有無や理解・周知の問題で、企業と社員の間に壁ができてしまうのはとても残念なことですので、人事としても腰を入れて対応する必要があります。いずれにせよ、企業が従業員を「守っていく」という意識が大切です。
また、企業の介護支援に関しては、厚生労働省が「介護離職防止助成金」の取り組みを推奨しています。手続きや実施条件は「厚生労働省 | 介護離職防止助成金」のページをご覧ください。
「時間的制約があること」を前提とした働き方の企業は、介護を必要とする社員が働きやすい職場とされています。このため長時間労働に対する「働き方の見直し」はもちろん、社員の生活を尊重した風土づくりを率先しておく必要があります。
前述の介護休暇申請者を例に挙げますと、下記いずれかの適切な措置をとらなければなりません。
- フレックスタイム制度
- 短時間労働制度
- 時差出勤制度
- もしくは、介護サービスの費用の助成
上記の介護制度対象者には、”少なくとも”年間で93日間の期間は利用することが義務付けられています。
その他にも、大企業を中心に導入が進んでいる、リモートワーク制度など「自宅にいながらも安心して業務に取り組める制度」の検討が重要になってきます。
特に、無形商材を扱うIT企業は「育児・介護」の問題発生に備え、こうした制度を取り入れる企業も増えています。
福利厚生の整備と同様に、就業方法も人材の多様化に合わせて制度を整える必要があるでしょう。ただし、深夜業(午後10時から午前5時までの時間帯の労働)は禁止されているので、ご注意ください。
最後は、育児・介護離職に向けた雇用形態について考えてみます。
この取り組みの先行事例としては、株式会社ファーストリテイリングやヤフー株式会社が導入をはじめた「週休三日社員制度」が挙げられます。
2社に共通していることは、「管理職クラスが現場をよく見ている」もしくは、「経営層と管理職が現場に向けて強くメッセージを発信できる企業」という点です。これにより、現場感の問題がすぐに浮き彫りになり、迅速な措置が取れているのではないでしょうか。
雇用制度は、ライフスタイルの変化の影響を最も与える制度のため、導入のタイミングが遅れてしまうと、離職者が増加し、組織として機能しなくなることもあります。労務・人事担当者は、常日頃から社内の変化に目を向け、問題が発見された場合には、当事者本人とよく話し合うことが大切です。
- 労務・制度 更新日:2017/09/05
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