新卒採用の母集団形成の課題は?「4F分析」で戦略を立てよう
ここで、昨今の新卒採用の傾向をご紹介します。 2021年卒新卒採用の予定について調査した結果(出典、同上)によると、新卒採用活動のスケジュールは2020年卒と比較して、さらに前倒しとなる傾向が見られます。2019年6~8月にはインターンシップが増加、2020年3月には面接がピークに、3~4月の内々定出しも前年より増加する見込みです。
近年、インターンシップ市場の活性化により、プレ期間中に学生の志望業種・職種や応募する企業の選定が進んでいます。結果、3月以降のエントリー数は減少傾向にあり、企業としては少ない母集団の中で、より良い人材になるべく早く接触したいという想いから、説明会・選考の前倒しが進むという状況が生まれています。今年は新型コロナウイルスの影響をうけて企業の採用活動のWEB化を導入する企業が増加しています。
前述したように、新卒採用における母集団形成は、ただ単に学生の人数を多く集めればいいわけではありません。近年ではソーシャルリクルーティングやユニーク採用など、さまざまな新しい採用手法が存在し、母集団形成の手法も多様化しています。しかし、流行の手法や他社がやっている施策が自社の採用方針に合っているとは限りません。
母集団形成がうまくいかないと感じている企業にとってもっとも大切なのは、まずその原因を正しく分析すること。「ターゲットとなる学生にリーチできているのか」「ターゲット学生は何に魅力に感じるのか?」「ターゲット学生はどうやって企業を探しているのか?」など、基本的なターゲット分析を徹底し、浮かび上がった課題を適切な採用施策に活かすことが重要です。
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●Fan(好感)
少しでも「好き」という感情の持てない会社に学生はそもそも興味を持ちません。
採用広報活動でのアピールポイントを検討する際は、まずターゲット学生が好感を持つ会社、つまり「入社しても良いかも」「一緒に働いてみようかな」と思う会社とはどのような会社かを考えましょう。内定者に自社のどこに魅力を感じたかヒアリングするのもひとつの方法です。
●Future(将来性)
自社が発信する求人情報がターゲット学生にとって「自分が働いている未来が想像できる」ようになっているかをチェックしましょう。将来の姿を具体的にイメージさせることは、入社意欲を高めることにもつながります。単に一消費者として好きということではなく、従業員の一員として働くビジョンを持っている学生を集めるためにも、キャリアプランや給与面も含め、ターゲット学生にとって働く未来が見えることが重要です。
●Find(認知)
どんなにターゲット学生の心を動かす情報を公開したとしても、学生がその情報を見てくれなければ意味がありません。就職情報媒体を活用する場合は、ターゲット学生がどんな媒体で企業を探すのか、その媒体内できちんと検索されるか、他社と差別化を図るなど目に留まる工夫はしているか。またイベントに出展する場合は、ターゲット学生が多く来場するイベントに出展しているかなど、ターゲット学生に認知される条件を正しく分析しましょう。
●Free(選考の受けやすさ)
意外と見落としがちなのが、この「選考の受けやすさ」です。エントリーシートの提出締切日はターゲット学生の状況を考慮したものになっているか、会社説明会や面接はターゲット学生にとって参加しやすい日程や場所で開催しているかなどを確認しましょう。実際、志望度の高い企業にも関わらず、エントリーシートの締め切りに間に合わなかったためにあきらめた経験のある学生も多くいます。例えばエントリーシートや説明会、面接をWEB化するなど、郵送の手間や移動時間、交通費などを学生の負担を削減できる手法を取り入れることも、離脱防止という点で母集団の形成に効果的です。
このように、4つのFの観点から新卒採用の戦略を見直すことで、母集団を形成するうえで、自社のどこが弱いのかを見つけることができます。
これらの課題に対してできる解決策は多岐に渡りますが、働き方改革も進むなか、人事担当者もすべてを完璧に網羅することはできません。そのため自社の課題を踏まえたうえで、学生への広報戦略ややるべきことの優先順位を考え、戦略的に実行していくことが重要です。
- 人材採用・育成 更新日:2020/06/11
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