採用過程に適性テストを導入するメリットと事前に押さえておきたい適性検査の基礎知識
短期間で応募者に関する多くの情報を集められる適性検査は、今や採用過程で欠かせないものとなっています。そうはいっても、適性検査にはさまざまな商品、サービスがあり、どんな基準で選べばよいのか迷っている担当者も多いのではないでしょうか。
適性検査とはそもそも何なのかといった基礎知識を踏まえ、適性検査を選ぶ際にチェックしておきたいポイントを解説します。
適性テストには、大きく分けて2つのカテゴリーがあります。1つは、数的処理や論理的思考など知的能力を測る「能力テスト」。もう1つは、計画的行動力、リーダーシップといったような性格的な特徴や行動特性を測る「パーソナリティテスト」です。
パーソナリティテストには、意識に上ってこないけれども行動を決定する特性(=コンピテンシー)をあぶりだす、コンピテンシー診断も含まれます。また、どのような職場環境、人間関係にストレスを感じるかといった「ストレス要因」を探り、ストレス耐性を測るテストもあります。
商品のなかには、能力テストとパーソナリティテストを組み合わせ、単に応募者の選考基準とするだけでなく、職業適性やストレス耐性などを考えあわせて採用後の配置や育成に活かせるものも多いようです。
さらに、営業職やSE、プログラマーなど、専門職に特化したものや、複数の言語に対応しているものもあります。
Webサイト経由で新卒採用や中途採用の実施が一般的になり、適性検査はその選考負担を軽減するツールとして多くの企業で利用されるようになっています。
採用にかけられる手間や時間が限られるなか、適性検査を実施すれば、応募者に関する情報が短時間で集まります。さらに、得られた情報は一定の基準に基づく客観的なもの。社内での選考基準を明確にしやすいうえ、複数の面接官が関わることによる評定のずれも是正できるなど、さまざまなメリットがあります。
一方で、適性検査では測れない能力があることも確かです。創造性やコミュニケーション能力、機転が利くかどうかといった能力はマークシートの回答ではわからないものです。適性検査のこうした限界を理解したうえで、選考過程での位置づけを明確にしておきましょう。
「初期段階でのスクリーニングに使いたい」「面接の参考資料にしたい」など、適性検査の位置づけに基づいた商品を選ぶことになりますが、多くの商品、サービスのなかから、どのような基準で選べばよいのでしょうか。
また、適性検査が確かな品質を備えているかどうかも重要なポイント。適性検査の品質は「信頼性」「標準性」「妥当性」という3つの代表的な指標で検証しておく必要があります。
信頼性とは、テストを複数回受けても誤差の小さい結果が出るかどうかを示す指標です。商品によっては、測定の精度・安定性を0~1.0の係数で表した「信頼性係数」を開示しているものもあります。一般的に能力検査であれば0.7~0.8、パーソナリティテストであれば0.6~0.7が目安と考えられていますので、チェックしておくとよいでしょう。
標準性とは、そのテストの受検者データが、社会人全体・大卒就職希望者全体といった母集団と比較して偏りのないものであるかどうかを示す指標です。偏差値のもととなる受検者全体のデータが標準的であればあるほど、自社の受検者のレベルを正確に把握できます。業界や企業規模など、テストの受検者に偏りがないかどうかを見ておくこともポイントです。
妥当性とは、受検者の能力を正確に測ることができるかどうかという指標です。商品のなかには、利用した企業の協力を得て、受検結果と人事評価との関係性を検証しているものもあります。当たり前の品質ともいえますが、このような検証データがあればより安心です。
適性検査は、選考時の基準となるだけでなく、企業側が各選考過程で何を重視したのかといった採用活動の振り返りや入社後の人材育成など、使い方しだいで幅広く使えるツールです。最近では、各自がWeb上で受検できるため会場を用意しなくてよいものもあり、効率的に応募者を審査できるしくみが整ってきています。
適性検査をうまく活用すれば、客観的な指標で優秀な人材を選別することが、ある程度可能になります。人事担当としては、採用過程における適性検査の位置づけを定めたうえで、適切かつ質の高い商品を選ぶように心がけましょう。
- 人材採用・育成 更新日:2022/11/17
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