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採用CX(候補者体験)を向上させることで、最高の人材を引きつけ、維持する方法

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採用担当者向けの研修や講演を行うバーバラ・ブルーノ氏は、著書の『High-Tech High-Touch Recruiting: How to Attract and Retain the Best Talent By Improving the Candidate Experience』で、採用活動の手順を見直し、採用CX(候補者体験)を向上させることで、よりよい人材を引きつけることができ、入社後も維持しやすくなると述べます。採用活動の現場でどのような見直しができるのか、そのヒントをご紹介します。

採用手順を見直すことから始めましょう

現在の採用手順を再検討する際は、採用活動が上手くいかない原因になり得る、以下の5つのことを見直してみてください。

仕事内容・業務内容を記載した募集要項

募集要項が何年も更新されていないことがあります。現在の仕事内容や業務内容ときちんと合っているか見直しましょう。また、内容に反復が多かったり、長くつまらなかったりするよりは、簡潔にまとまっていて、その仕事に必要なスキル、資格、経験、教育などがリスト化されているほうが分かりやすくなります。

福利厚生や待遇

フレックスタイム制、在宅勤務、各種手当など、候補者の意思決定に影響を与える条件がアップデートされていないことが原因で、採用活動が上手くいかないことがあります。時代や市場に合っているか確認しましょう。

募集する職種の業績目標

業績目標を事前に定めておくことで、採用活動に関わる全員が「新入社員に期待すること」を正確に把握できます。結果的に、採用試験中だけでなく、候補者の中から採用する人材を選ぶときの時間も節約できます。

採用面接の回数

本書によれば、採用面接は期間を短くすることが最も効果的です。それにより、企業が採用活動にかける平均時間が約2週間短縮され、採用担当者と候補者の面接時間が数百時間も短縮されることがわかっています。

候補者の評価

候補者の評価に複数の人が関わっている場合は、評価の手順に一貫性を持たせ、評価するときの感情やバイアスを取り除くことが大切です。

優秀な人材を見極め、転職潜在層にアプローチしましょう

本書では、優秀な人材を見つけるために、ビジネスに特化したSNSを活用し、求職をしていない人材(転職潜在層)にもアプローチして、将来の候補者を探すことを勧めています。これにより、条件を満たす候補者を検索し、自社の求める基準や職務要件に合致する候補者を、より迅速かつ容易に見つけることができます。

転職潜在層の候補者のプロフィールを集めたら、その中から自社に最適な人材を見極める必要があります。この段階では、候補者の過去の職務経験だけではなく、プロフィール全体を確認する必要があります。同業者の集まりや勉強会などに参加したり、候補者自身の専門知識を反映した記事やブログを投稿していたり、ほかの投稿にコメントしていたりといった積極的な活動をしている人は、優秀な人材である可能性があります。また、キャリアの中で表彰や賞を受けていたり、同僚や元マネージャーから推薦されていたりするかどうかも、判断基準となります。

優秀な人材を採用するために面接を見直しましょう

採用面接を成功させるために、以下の5つの視点から面接を見直しましょう。

1 求人の目的をしっかりと理解する

採用担当者は、企業や人材を必要としている部署のニーズとスキルの優先順位について理解する必要があります。

2 候補者にとって何が一番重要かを理解する

採用担当者としての成功は、熱意があり長く勤務してくれる可能性が高い候補者を見つけることです。候補者にとって最も重要なことが何であるかを理解し、候補者の目標、動機、価値観に自社が合っているかどうかを考えること。それには丁寧なコミュニケーションが必要です。

3 候補者が自社で成果を出せるかどうか判断する

売上や粗利益などの業績目標は、採用試験のなかで「候補者が入社後に企業が求めるレベルの成果を出せるかどうか」を評価するために役立ちます。業績目標をガイドとして使用し、候補者の職歴を確認しましょう。そして面接では、「候補者が今まで達成した目標と目的が、新しい職場で直面する状況に役立つかどうか」を判断できる質問をします。

4 候補者が優秀な人材かどうかを明らかにする

履歴書や面接において、真実が誇張されていることはよくあります。候補者が本当に優秀な人材かどうかを判断するには、「候補者の業績」と、「その業績が過去の勤務先にどのような影響を与えたか」について尋ねることが有効です。

5 面接プロセスから感情やバイアスを取り除く

誰もがバイアスを持っています。しかし、採用担当者がそのことに気づいていないと、バイアスや感情が面接や採用活動に影響してしまう場合があります。バイアスを回避するための努力が必要です。
面接の前に、電話でのスクリーニングを入れることは、面接におけるバイアスや感情を避ける方法の一つです。容姿によるバイアスを避けるとともに、候補者に十分な資格があり、企業文化に合っているかどうかを判断するのにも役立ちます。

予期せぬ出来事に対応できるよう準備をしましょう

採用活動における大きな課題の一つは、採用担当者が企業と候補者の両方に気を配る必要があることです。誰の人生においても予期せぬ出来事はしばしば起こり、優秀な候補者がいてもタイミングが悪いと採用できません。また、予期せぬスケジュール変更は、採用活動に大きな影響を与えるだけでなく、採用担当者個人の生活に影響を与えることもあり、モチベーション低下の原因となります。
まず、採用試験の手順を短縮してスケジュール変更による影響を少なくするとよいでしょう。また、ハプニングに柔軟に対応できるよう以下のような準備をします。

  • 会いたい候補者の優先順位をつける
  • 採用担当者が急に来られなくなった場合の代理を立てておく
  • 優秀な人材を採用するために採用担当者の勤務時間を自由にする など

ミスコミュニケーションから生まれるハプニングに備えましょう

スケジュールだけでなく、ミスコミュニケーションもハプニングの原因となります。採用活動中に起こるハプニングが、採用担当者にとって有利に働くことはめったにありません。採用活動や採用試験の間には、ミスコミュニケーションから生まれるハプニングを避けるために、次のようなことに注意しましょう。

  • 「候補者が現職と同じ仕事を自社でもやりたいだろう」と思いこまず、必ず希望を確認します。
  • 候補者と信頼関係を築くことでハプニングを減らすことができます。
  • 透明性のあるコミュニケーションを心掛け、候補者から要望があれば具体的に聞きます。
  • 相手に言われたことを繰り返すことによって、誤解を防げます。
  • 部署のマネージャーに人材の条件が変化したかどうかを定期的に確認します。

内定辞退を避けるため3つのことを確認しましょう

採用試験後、候補者に内定を出しても断られてしまうことがあります。給与の条件などは採用担当者が簡単には変えられませんが、次の3つのことを確認・準備しておくことで、受け入れられやすい条件を提示したり、候補者と交渉したりすることができるようになります。

  • 候補者が他社でも面接を受けているか知る
  • 競合がどのような条件を出しているか知る
  • 競合に対抗できる条件を準備しておく

新入社員の受け入れ期間(入社日前後)に力を入れましょう

採用担当者の仕事は、内定を出したところで終わりではありません。そこから入社日の前後に向けて、受け入れ準備が始まります。この期間に、新入社員を支え、励まし、新しい業務のために必要な情報を提供することがとても大切です。
採用通知を受けてから入社日までの間は、候補者にとって不安な時期です。こまめに丁寧なコミュニケーションを心掛けましょう。

入社後には、先輩社員が新入社員の相談役となる「メンター制度」が有効です。メンター(新入社員側)とメンティー(先輩社員側)の関係は、新入社員が経験豊富な先輩社員から学ぶのを助けると同時に、経験豊富な社員は新入社員の視点で会社の目標やアプローチを見直すことができ、双方の役に立ちます。できれば昼食や休憩時間など、メンターとメンティーが業務時間外でもコミュニケーションをとれる機会を設けると、関係が良くなります。
受け入れ期間に力を入れ、新入社員を丁寧にフォローすることで、その人たちが新たな才能を持った人材を紹介してくれる可能性もあります。

バランスの取れた採用活動をしましょう

採用担当者としての最も難しい仕事は、企業側のスケジュールと、候補者のスケジュールの両方を管理することです。自分のせいでなくても遅れによってフラストレーションを感じることがあるかもしれません。しかし、採用担当者の仕事は、そんなときでも前向きでいなければできません。
モチベーションを維持し、ワーク・ライフ・バランスを保ちながら仕事の目標を達成するために、以下のポイントを意識するとよいでしょう。

  • 前向きな姿勢を維持することは、採用担当者としての成功に不可欠です。
  • 時間を管理するには計画が必要です。
  • 自分の仕事に優先順位をつけましょう。
  • 計画を立てるのが初めての場合、21日間で6つの最優先事項を達成するようにしましょう。
  • メールは3日以上放置せず、なんらかのアプローチをしましょう。
  • 優秀な人材を獲得するためには、最も企業側の条件に合っていそうな候補者(採用したいと思う候補者)に合わせて面接をセッティングするとよいでしょう。

優秀な人材を獲得するために採用活動を見直しましょう

採用活動の手順を見直すことによって、採用CX(候補者体験)が向上し最高の人材を採用しやすくなります。本書に書かれているアドバイスの一つひとつは、それほど難しくはありません。しかし、難しくないからこそ見逃され、アップデートされないままになっていることが多いかもしれません。
採用活動の手順を丁寧に見直し、採用担当者への時間的な負担を減らしつつ効果的な採用活動をしましょう。

出展

  • Tom Popomaronis“Here’s How Many Google Interviews It Takes to Hire a Googler”

High-Tech High-Touch Recruiting: How to Attract and Retain the Best Talent By Improving the Candidate Experience
著者 Barbara Bruno
出版社Kogan Page  (初版2020/9/10)
ISBN-10 : 1789665159
ISBN-13 : 978-1789665154

  • 人材採用・育成 更新日:2022/09/14
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