経営と人材をつなげるビジネスメディア

MENU CLOSE
0 ty_saiyo_t03_similarity-bias_220830 column_saiyo c_knowhowc_shitenc_senkou

類似性バイアスとは、採用選考や人材評価のエラーを防ぐポイントを解説

/news/news_file/file/t-20220830132359_top.png 1

採用選考や人材評価のときに、評価者が、適正でない評価をしてしまう「評価エラー」。その「評価エラー」の要因のひとつに「類似性バイアス」と呼ばれる心理現象があります。当記事では、「類似性バイアス」について解説し、「類似性バイアス」で起きる「評価エラー」の防止策を紹介します。

類似性バイアスが人材評価にもたらす影響

「類似性バイアス」は、「あの人とは馬があう」「あの人は、あまり近づきたくない」など、誰もが持つ感性的なことで、排除が難しい心理状態です。
しかし、客観性や公平性が求められる人材評価では、対象の評価を歪めてしまう「評価エラー」の要因になります。結果、人材の採用や育成に大きく影響し企業の成長を阻害してしまう可能性があります。
ここでは、人材評価のときの「類似性バイアス」が及ぼす影響を紹介します。

類似性バイアスがもたらす採用面接への影響

新卒採用、中途採用に関わらず、「面接官との相性」という形で、「類似性バイアス」は影響を与えます。
評価者と近い人材は高評価を受ける一方、自分に似ていない人材は、低く評価してしまい、結果、本当に優秀な人材を見逃してしまいます。また、似たような人材ばかりを採用してしまうことで、多様性を失い変化に弱い組織になってしまう可能性があります。

類似性バイアスがもたらす人材評価への影響

従業員の評価面談を行う際も、評価者が持つ「類似性バイアス」が影響します。評価者が「類似性バイアス」によって、従業員に公平な評価を下すことができない場合、低く評価された従業員が不満を持ち、パフォーマンスの低下や、離職、また、適材適所が阻害され会社の成長に影響を及ぼす可能性があります。

類似性バイアスとは

親近感や、過去の経験、直感に影響を受けて、思い込んでしまい、物事の認識や判断が、非合理的になる「認知バイアス」という心理現象があります。
「類似性バイアス」は、その「認知バイアス」の一種で、ある対象(人や物)を評価するときに、自分と属性が似ている、例えば、出身地、学歴、部活、趣味、容姿、得意分野、性格などに影響されて、好意的に感じ、本来の適正な判断ができなくなる状態を指します。
自分に似た人物に好意を抱くことは、心理学では「類似性効果」。「類似性の法則」と呼ばれています。

類似性バイアスが起きる理由

社会心理学者のニューカムは、大学寮に入った17名の学生の友人に関して調査しました。初対面で入居して1週間後は部屋が近いなどの物理的に接触回数が多い友人と付き合っていた学生が、14週間後の調査では、性格や態度の近い学生と付き合うようになりました。
これは、自分と似た、性格・態度・行動・趣味を観察し、相手を鏡に写っている自分の行動として認識し、そのことによって「自分の行動や態度は間違っていなかった」という肯定感が生まれ、心理的安定性に繋がることが原因と考えられました。
もちろん、考え方が似ていれば、意見の衝突も少なく、お互い居心地が良いということもあります。

類似性バイアスと自己肯定感

「類似性バイアス」は、肯定感に大きく関係しています。そして、自己肯定感は、個々人によって強い人もいれば、弱い人もいます。
つまり、自己肯定感の低い人は、より安心感を求めるために、自分の写し鏡である友人に、より強い類似性を求める傾向があります。
一方で、自己肯定感が強く、自信のある人は、類似していることにこだわりがなく、意見の衝突もいといません。逆に、自分と似ていないところに価値を求め、自尊心を満たすことさえあります。

類似性バイアスと同族嫌悪

「類似性バイアス」は、自分と似ている人を好意的に感じる心理状態ですが、真逆の言葉に「同族嫌悪」があります。
「同族嫌悪」は、自分と似ている人に対して、嫌悪感を抱く心理状態です。これも、「類似性バイアス」と同じく、相手を鏡に写っている自分の行動として認識することから生まれます。つまり、自分に似た嫌なところを発見してしまい、自分の嫌な所を客観視したくない心理状態から生まれます。

採用選考や人材評価で「類似性バイアス」を防止する方法

「類似性バイアス」による「評価エラー」を防止するためには、「評価者」が「類似性バイアス」を意識することです。そのためには、教育・研修は重要です。
しかし、「類似性バイアス」による「評価エラー」は意識していても、人間の相性に依存するため完全に排除をすることは不可能です。制度や仕組みも組み合わせて、対策していきましょう。
まず、最初に行うことは「類似性バイアス」を含めた「認知バイアス」を経営層、評価者や従業員が知ることです。教育や研修を行い意識付けしましょう。

認知バイアス防止への取り組み

Googleでは、偏見排除に向けた全社レベルでの教育活動を実施しています。また、 味の素グループでは、2018年度より「アンコンシャス・バイアス」をテーマとした「ダイバーシティ研修」をスタートし、当初は経営層からはじめ、現在は全社員を対象とした研修を実施しています。

教育研修以外の対処法

評価制度の見直しも大切です。認知バイアスの影響を抑える方法として以下の仕組みや制度があります。

  • 定量評価を軸にする
  • 360度評価の導入
  • 評価AI(人口知能)の導入
  • ブラインド採用の導入

採用選考・人材評価で、注意すべき「認知バイアス」

「類似性バイアス」以外にも、採用選考、人材評価で注意するべき「認知バイアス」があります。ここでは、そのいくつかを紹介します。

確証バイアス 「確証バイアス」は、自分の経験から生まれた仮説を元に、その仮説に合致した情報を集め、都合の悪い情報は無視してしまう心理状態です。
類似性バイアス 「類似性バイアス」とは、自分に属性が似ている、例えば、出身地、学歴、部活、趣味、容姿、得意分野、性格などに影響されて、好意的に感じてしまう心理状態です。
寛大化傾向 「寛大化傾向」は、部下から良くみられたいために評価を甘くつけてしまう心理状態です。
情実誤差 「情実誤差」は、個人的な付き合いや、好き嫌いなどの、業務に関連しない主観が入り込んでしまう心理状態です。
中心化傾向 「中心化傾向」は、被評価者のバランスを配慮して、個々人の業績に関係なく、平均値を付けてしまう心理状態です。
逆算化傾向 「逆算化傾向」は、昇給や昇格が先に決まっていて、その結果に沿うように逆算して評価点をつけてしまう心理状態です。
近隣誤差 「近隣誤差」は、直近での評価が良かった、もしくは、悪かったことで、評価期間全体の評価が左右されてしまう心理状態です。
対比誤差 「対比誤差」は、自分(評価者)の得意や苦手を基準として評価をしてしまう心理状態です。

「類似性バイアス」は、「あの人と馬があう」「あの人とはそりがあわない」などの人間の基本的な感情で、完全に排除することが困難な「認知バイアス」です。
「評価エラー」が起こりにくい制度を取り入れることはもちろんのこと、評価者員の教育を徹底し、客観的に評価できる能力も高めていきましょう。

  • 人材採用・育成 更新日:2022/09/07
  • いま注目のテーマ

RECOMMENDED

  • ログイン

    ログインすると、採用に便利な資料をご覧いただけます。

    ログイン
  • 新規会員登録

    会員登録がまだの方はこちら。

    新規会員登録

関連記事