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個人情報流出やハラスメント対策にはコンプライアンスの徹底を

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コンプライアンス対応は、すべての企業に求められています。人と人が接触するところには、コンプライアンスの問題が少なからずあると考えてよいでしょう。

例えば、ストレス解消のために開催した飲み会でも、愚痴の内容によっては第三者に個人情報が漏れてしまうことがあります。また、昔だったらやる気を試すためといって、就職面接の際に厳しい質問を投げかける企業もあったかもしれません。しかし、今ではハラスメント行為として認定されてしまう恐れがあります。男女雇用機会均等法への対応も見逃せません。

今回は、特に社外で気をつけたいコンプライアンスについて、違反事例を検討しつつ対策を紹介します。

個人情報の社外への流出

個人情報が流出すると、企業には民事上の損害賠償責任が発生します。

個人情報保護法については、個人情報保護委員会からの改善命令に従わない場合について6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金という刑事罰が適用されることがあります。

データの持ち去りによる流出リスク

再委託先の社員が顧客データを持ち出して売却

個人情報の流出に関連して、企業にとって脅威なのは、損害賠償責任でしょう。一件あたりは少ない金額であったとしても、顧客数が多ければ多いほど賠償金額の総額は跳ね上がります。

ある企業で、顧客データを再委託先の社員が持ち出して売却してしまったという事例がありました。システム面の管理はグループ企業へ委託され、管理業務は他社に再委託されていました。再委託先の社員は顧客データをスマートフォン経由で持ち出せることに気がつき、売却目的でデータを持ち出し、販売していました。

この事件はコンプライアンス違反の事例であるとともに、セキュリティインシデント事例でもあります。作業量・情報量が多く、関わる人や会社が増えるほど、コンプライアンスを徹底する必要があるということです。本社では徹底できていたとしても、作業を委託する先となると、どんどん意識が薄まっていってしまうのではないでしょうか。

事件の発端となった企業は、直接情報漏洩したわけではなくても情報漏洩した会社というイメージがついてしまい、社会からの信頼を失ったり、顧客が減少したりするなどのリスクがあります。漏洩した当事者である企業についてはもちろん、コンプライアンスを徹底できない会社というレッテルが貼られてしまうでしょう。情報漏洩は当事者だけでなく委託元の企業やその顧客まで被害が拡大していくことが特徴です。

顧客情報を家にもちかえって仕事をしてよいのか

不正使用するつもりはないとしても、顧客情報を家に持ち帰って仕事をするケースもあるかもしれません。顧客情報を持ち出す場合、それが流出しないよう細心の注意が必要になります。また、無断で持ち出すことのないようにしましょう。持ち出したことを本人以外の人(上司など)が把握できるようにしておくと安心です。

例えば、作業をする時に個人の端末にデータが残ってしまう場合、将来的に何らかのハッキングなどの被害を受けたとき、データが流出してしまうかもしれません。情報の置き場所も大事ですが、作業中に自動で保存される設定になっている場合はその一時ファイルにも気を使うべきです。個々の端末で作業をするのではなく、クラウド上の仮想デスクトップで作業をするという対策を取ることも可能です。

ただし、ネット環境によっては仮想空間での作業に向いていないこともあります。家に持ち帰って仕事をする場合は、作業のルールを整備すること、作業先の環境をよく見極めることが重要です。

会話の中に取り上げることによる流出リスク

顧客についての情報を第三者に聞かれる可能性のあるところで話す

一概に顧客といってもいろいろな方がおられます。例えば、ある社員が困った顧客がきたことを別の社員に話したかったとしましょう。会社の中の話であれば問題ないのですが、勤務時間が終わった後に飲食店に行って、その場で話している場合はどうでしょうか?

飲食店は第三者が多数出入りする場所です。顧客の個人情報に関わるような話をするべき場所ではありません。昨今普及しつつあるオンライン飲み会でも同様でしょう。オンラインでのやりとりは、どこから漏れるかわからないと思った方が無難です。どこかで録音されている可能性もありますし、ハッキングなどの可能性も否定できません。

有名人の私生活を公表してしまう

これは有名人に関しても同じです。有名人も私人としての一面があるのは当たり前で、一般人が有名人の私生活に偶然関わってしまう場面は多々あるかと思います。

お店にきた顧客が偶然有名人だったので、勝手に写真を撮影してメールで送ってしまったり、S N Sで共有したりすることは、個人情報の漏洩にあたる可能性があります。誰しも、平穏に私生活を営む権利があることはいうまでもありません。顧客が誰であったとしても、個人情報は絶対に漏洩しないことを徹底すべきなのです。

企業秘密情報の他社への流出

企業秘密が流出すると、新規開発事業などにダメージとなる場合があります。

昨今は在宅勤務やリモート勤務が増えていますが、勤務環境によっては回線を傍受されたり、社員以外がパソコンを見てしまったりということが起こり得ます。うっかり普段の会話で話題に出してしまうこともあるかもしれません。飲み会など、気が緩みそうな場面では企業秘密に関わる話題をしないようにしてください。もし、誰かがしそうになった時は、話題を変えるなどの対策を取りましょう。

また、スマートフォンの通知画面では、メールの表題や概要がポップアップされるようになっていることも多く、そこから情報漏洩にならないとも限りません。特に業務用と私用の端末が一緒になっている場合は、注意が必要です。

社外に対するハラスメントの概要

社内でのハラスメントは、意識啓発がかなりなされてきています。注意したいのは就職面接などの社外の人と接する場面においてのハラスメントです。ハラスメントというと、役職の上下関係で起こるものがイメージされがちですが、近年、就活生などの社外の人間に対してのハラスメントについても注意喚起がなされています。

圧迫面接と質問がハラスメントになることもある

口は災いのもと、と昔からいわれていますが、様々な価値観が存在する現代では発言に十分に気をつける必要があります。

圧迫面接は、わざと受験者を精神的に追い込んで反応を見る手法です。

試験者が圧迫した雰囲気を作ることもありますし、実際に机を叩くなどの威圧的な態度をとることもあります。受験者の人格を否定することや、わざと答えにくい質問をすることも含め場合によってはハラスメントになり得ます。

ハラスメントを通じて、やる気を試すというのはこの時節柄に合わない採用手法ですので、やめましょう。圧迫面接をしているつもりがなくても、受験者の側から圧迫面接だと思われてしまうこともあるので面接の場での言動には十分な注意と検討が必要です。

就職面接の場で行う質問や採用試験の際にも、以下の2点については作文を書かせるなどしてはいけません。

  • 本人に責任のないこと(出生地や家族のことなど)
  • 本人の自由に任せられるべきこと(宗教や人生観、労働組合での活動歴など)

これらは就職差別に繋がる可能性がありますので、尋ねてはいけません。

さらに、企業としては長く働いてほしいという希望から出産の予定を聞きたいところもあるでしょう。出産に関する質問は、女性限定のため、セクシャルハラスメント、男女雇用機会均等法に抵触する可能性があります。

詳しくは、厚生労働省が発表している「採用選考自主点検資料」に掲載されていますので、一読することをおすすめします。

社外へのハラスメント対策

コンプライアンスを徹底するためには、事前のリスク予測が不可欠です。

社内・社外問わず、人と人との接触があるところには情報流出やハラスメントなどのリスクがあります。リスクをゼロにすることはできませんが、事前にどのようなリスクがあり、万が一事件・事故となってしまった場合にはどのような被害があるのかを見積もっておくことが重要です。社員にも、コンプライアンス違反が起きた場合の悲惨さを共有しましょう。

また、コンプライアンス違反が疑われる事例についてきちんと通報・把握するための部署を設置することも重要です。個人のやる気や意識だけに頼らず、仕組みとしてコンプライアンス違反を見逃さないことが日常的にコンプライアンス違反を予防する鍵となります。

まとめ

コンプライアンス違反は、様々な場所で起こり得るものです。今回紹介した以外の事例についてもコンプライアンス違反は考えられます。起こり得るケースを予測し、適切な予防策を取った上で、万が一違反が起こった場合の対応を十分に検討しましょう。

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  • 行政書士/井手 清香

    滋賀大学経済学部ファイナンス学科卒業。大手システム会社に勤務後、退職。ライターとして各種記事を執筆。2014年、ライター事務所「ライティングスタジオ一清」を開設。2018年度行政書士試験合格、2019年、滋賀県大津市に「かずきよ行政書士事務所」を開業。法律関連のライター兼現役の行政書士として活躍中。楽しく、分かりやすい法律の記事をお届けするために、日々奮闘中。

  • 労務・制度 更新日:2022/05/12
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