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採用マネージャーが予測する2022年の中途採用市場

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こんにちは、若林です。2021年は、下期上期で大きく採用市場が変化したと実感する1年でした。コロナ感染者が減少してきた9月以降、多くの会社が一斉に“大量未経験採用”に乗り出し、若年層の母集団の取り合いが激化していたように思います。

私自身も、多くの未経験から始めるITエンジニアを採用しましたが、2021年10月から年末にかけての採用活動は、非常に困難を極めました。

また、未経験者向けエンジニア求人の年収レンジも、業界全体であがっている印象で、今までの年収レンジのままで採用できる層が変化していくように感じています。

今回の記事では、私が肌で感じている実感値を、実際の求人倍率などと照らし合わせながらお伝えしていきたいと思います。来年の採用戦略に向けて考える下地作りにお役立てていただけますと幸いです。

2021年の求人倍率の変化

2021年の年末にかけて求人倍率がじわじわとあがってきています。2021年1月は、1.10倍でしたが、2021年10月時点では1.15倍と上昇してきました。

有効求人件数も増加しており、2021年1月は2,112,352件だったところから、10月時点で2,278,366件と、7.9%増加となっています。

業界ごとにみると、建設業界が最も好調で求人を積極的に行っています。また、コンサル業界、IT業界、不動産業界、医療福祉業界も求人が活発化してきています。

職種ごとの求人件数でみると、全体的に増加傾向にありますが、そのうち特に営業職・専門職(コンサルタント・金融・不動産)、事務職、販売サービス、運輸物流系、クリエイティブ職、IT技術職の求人件数が伸びてきており、業界ごとの求人倍率にほぼ近い形になっているようです。

このデータから、2020年・2021年に採用を控えてきた企業が、コロナ禍においての組織戦略を建て直し、未経験人材を受け入れて育てていく準備が整い、2022年に向けて続々と未経験採用に乗り出している状況だと伺えます。今後の採用競争を勝ち抜くために、我々採用部隊としてどのような準備をすべきか、考えなければいけません。

2022年に予測される求職者層の変化

ここからは、2021年の求人倍率の変化から、2022年の求職者の動向を予測していきます。今後激化すると予想される採用競争を勝ち抜くために、採用部門としてどのような準備を進めていけばよいのかもお伝えします。

既卒・新卒の動向

未経験採用のうち、特に第二新卒層の母集団は増加すると予測されます。子供の数が徐々に減ってきている中でも、大学進学率は年々増加しており、学位取得者は国内で増加傾向にあります。一方で、卒業生の受け皿となる新卒採用については、2022年は2021年卒業者と比較すると採用数が高止まりしていたここ数年の傾向が落ち着きをみせ始めました。

採用部門ができること

既卒新卒をターゲットにするうえでは、大学への進学部門比率を知っておくとよいでしょう。機械電気電子などの知識を学ぶ学科より、国際関係の関連学科、人間科学や健康科学、スポーツ科学などの人間関係科学、心理学や社会学関係の学科などの専攻が増加している傾向があることが分かります。

そのため採用部門は、応募者が学んできたことと自社の募集職種との関連性を考え、それらをどのように紐づけて動機形成するかなど、様々な訴求方法を検討して対策をとる必要があると思います。

既卒以外の若年層の動向

私の実感としては、若年層の応募者においては、インセンティブ制を導入していた販売・営業職に従事されていた方が、転職市場に増加しているという印象を持っています。「コロナ前と比べて給与額の減少が顕著となり、回復見込みを待っても難しいことが明確化したこのタイミングで、ようやく転職を決意した」と話してくださる求職者も増えています。

コロナ流行直後の2020年は飲食業界からの求職者が多く出てきていましたが、そこから徐々に応募者層が変化しており、2021年後半からは“コロナ以前から変わらぬインセンティブ比率の高い成果主義方式”で営業職などに従事している求職者が増加していくのではないかと感じています。

特に、アパレル業界やウェディング、旅行・航空業界からの転職者が流入していると肌で実感しています。求職者が転職に求めている要素として、「自己成長」や「給与アップ」はもちろんですが、「業界の成長性」の比重がコロナ以前と比較して高まっているように感じています。

そのため、選考を行う際は、業界の成長性・安定性・個人のキャリアアップに比重を置いて説明していただくのがよいと思います。

一方で、社員の退職が増加している上記を含めた業界においては、新たに募集をかける際に、「V字回復させるための募集背景」があることを打ち出していただくことが効果的だと思います。「自社が元々持っていた強みを発展させ、新規事業に取り組んでいく。だからこそ新たな人材が必要だ」という打ち出しを明確に行ってみましょう。

そうすることで、「業界としては今苦しい時期かもしれないが、だからこそ発想力と実行力が求められる」、「業界・企業の変革期を実体験として経験できるチャンスだ」、「自身のキャリアアップにつながる」など、前向きに捉えてくれる優秀な人材層の獲得に繋げていただけたらと思います。

採用部門ができること

採用部門としては、評価制度について詳細を説明できるように準備しておき、いかに安定的な収入を確保でき、就業3年後5年後のキャリアアップや給与アップが見込めるかを説明できる状態にしておくことが重要となるでしょう。

2022年の予測を踏まえた4つの対策

2022年はさらに求人倍率があがり、給与水準の高い業界の未経験採用が活発化する動きがあるため、2021年は好調に採用できていた企業であっても、選考辞退率が現時点の数値より厳しくなる可能性があります。

辞退率増加が課題になることが予測される状況下で、採用部門としては、以下4つのポイントについて見直してみてはいかがでしょうか。

①自社の雇用条件の見直し

同業他社の採用が活発化している中、給与水準や成果報酬制度、雇用形態含めて他社との条件を比較して、自社が他社の水準に適合しているかどうか確認しましょう。

契約社員スタートが一般的だった職種でも、正社員スタートで雇用することを強みにして採用活動し始める会社も出てきています。そういった業界内での動向に気づかず、従来のまま採用活動をしていると、いつの間にか苦しい状況になってしまうかもしれません。

雇用条件・給与水準・報酬制度は、変えようと思っても、すぐには実行できない部分になるため、常に同業他社の動向をチェックし、早め早めの対策が必要になっていきます。

前述したように、コロナ以前のインセンティブ制度によって、給与水準が著しく下がったという求職者が多いため、各企業の人事部においては、採用という観点からも、離職防止という観点からも、できるだけ早い段階で成果主義の形を見直す必要が出てきているように思います。

②選考リードタイムを短縮する方法の模索

特に若手採用においては、選考リードタイムが延びれば延びるほど、辞退率は高まっていきます。「次の面接に呼んでいるにもかかわらず、日程調整の間に離脱してしまった」というケースも、来年はさらに増加していくと考えられます。

二次面接を実施している場合は、二次面接の短縮基準を設けることや、一次面接の中で二次面接の日程調整を行うなどして、リードタイムの短縮方法を見直していく必要があるでしょう。

二次面接を、内定を打診した後の「オファー面談」に切り替えるなど、あらゆる可能性を模索していただければと思います。

③魅力づけの再検討

Z世代が主に動画で情報収集している姿をみて、動画の活用は今後ますます重要視されていくと感じています。動画を活用した会社説明に切り替えたり、面接前に見ていただく資料をPDFから動画に変えたりと、動画に慣れ親しんだ世代に向けての情報発信方法が重要になってくるでしょう。

選考フローにおけるタッチポイントを動画もうまく活用しながら、オンラインとオフラインを柔軟に選定しながら対応し、いかに魅力づけをしていくかが重要です。

例えば、「応募⇒動画による会社説明⇒オンライン面接⇒内定打診⇒オフライン条件提示面談」といったフローで緩急をつける方法も考えられます。

④転職顕在層をいかに早く獲得しにいくかを模索する

応募者に辞退されるということは、他社の選考が先に終わってしまうということでもあります。他社の選考を受ける前にいかに自社に応募を集めるかという点において、応募ルートの確保を行う必要があると感じています。

例えば、大学との新卒採用のパイプを活用して、既卒新卒向けの説明会を4月に企画する、SNS広告を活用した応募者層の獲得によって転職潜在層と顕在層の間位を狙いにいくなど、様々な方法が考えられます。「動き出したばかりの人材をいかに早く集客させるか」という視点で、応募経路の確保を検討しましょう。

まとめ

新型コロナ対策やコロナ禍における売上確保の方程式を確立した状態で、各企業が採用活動に乗り出す2022年は、求人倍率が増加していくのではないかと感じています。

各企業が、人材獲得競争の激化に向けた対策を取る必要性は高まっており、その準備を早い段階でできているかどうかが、2022年の採用成功を左右するのではないかと思います。

今回お伝えしたポイントを踏まえて、皆様の会社で対策を立てていただけますと幸いです。

  • Person 若林 聖子
    若林 聖子

    若林 聖子 大手エンジニア派遣会社 採用マネージャー/国家資格キャリアコンサルタント

    求人広告代理店で営業職、エンジニア派遣会社で人事労務事務を経て現職。二児の母。自社の採用組織のマネジメントを経て、子会社の採用組織立ち上げを経験し、在籍9年間で採用した人数は中途新卒併せ2000名を超える。育児をする傍らグループ会社の採用アドバイザーとして従事し。数十名から数千名まで様々な会社規模の採用部隊に対してフォローを行う経験を持つ。

  • 人材採用・育成 更新日:2022/04/28
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