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オンライン選考時代の採用広報を学ぶ~3回連載シリーズ3編目~

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新型コロナウイルスの流行によって、採用手法を見直した企業も多かったのではないでしょうか?

オンラインを活用した母集団形成や選考が主流となる中で、どうしたらターゲットからのエントリーを獲得できるのか、入社後のミスマッチが防げるのか、情報の精度が問われる時代となりました。

求職者がオンラインであらゆる情報を取得できる中、中途採用における「採用広報」は、いまや採用成功のための欠かせない戦略です。

今回は、「オンライン選考時代の採用広報を学ぶ」3回シリーズの最終回として、「社内広報を採用広報に活かす」をお届けします

1、2回目では、採用広報の基礎について解説し、社外にどんな情報を公開するかについて解説をしました。

3回目の最終回については、採用広報において重要な側面をもつ、社内に対してどう発信(インターナル・コミュニケーション)をするか、また、どうやって社外の採用広報に活かすのかについてお伝えしていきます。更には、媒体別の採用広報手法について触れ、どのように採用広報の媒体戦略を立てるのかを深めます。

採用広報における社内広報の重要性

社内広報と採用広報は表裏一体

転職顕在層または潜在層にどんな志望動機を描いてほしいかによって、採用広報のコンテンツを決める必要があります。しかし、採用広報のコンテンツは、社内で保有していない情報以外で、コンテンツ化はできません。すべて、自社が保有しているモノやコトからコンテンツは生まれます。ですので、社内でのエンゲージメントの状況、優秀とされるスター社員の存在、自社ならではの制度や取り組みを社員がどう感じているのかなど、社内での評判や満足度がとても重要となってきます。

社内広報のメリット

社内広報は、インターナル・コミュニケーションやインナーコミュニケーションと呼ばれ、経営戦略の1つとして注目されています。企業理念や経営方針など社内の重要事項を共有し、その結果、社員に気付きを与え、社内外に向けたより良い行動を促すことを目的としています。では、社内広報のメリットはどんな点なのかを見ていきましょう。

経営理念やビジョンの理解

企業が継続的に成長していくためには、社員一人ひとりが共通の認識をもち、行動することが重要です。より団結力を持って仕事に取り組むために、社内広報における情報伝達は重要な役割を果たします。自社のビジネスはどこに向かっているのか、何のためにやるのか等、日々アップデートされる経営情報を定期的に発信することが大切です。

社員間の相互理解&コミュニケーション機会の向上

企業内で組織化され、部署ごとや事業部ごとでのビジネスが成り立つ仕組みが前提にあると、おのずと本業では他部署との交流が減り、同じ社内だけれども知らない人が増えていきます。社内広報で部署の様子や社員の顔ぶれを取り上げることによって、部署間、社員間の相互理解を促進し、社内コミュニケーションの活性化につながります。

企業の文化・風土の醸成

企業の文化とは、従業員と企業との間で共有している価値観や企業規範のことです。継続的に経営情報や理念、ビジョンを発信することで、従業員の認識が揃い、企業規範が、従業員の規範として浸透していきます。社内広報は、まさに企業文化を可視化することそのものです。この企業文化の土台が作られると、採用にも効果的で、求職者側も採用側もお互いがマッチするかどうか判断しやすくなり、ビジョンに共感し、同じ志を持った人材が集まるようになり、離職率の低下や、エンゲージメント向上にも繋がります。

社内広報の具体的な方法

では社内広報とは、具体的に何をすればよいのでしょうか。目的や解決したい課題によって、手段は様々ですが、ここでは代表的な例を紹介します。

社内報や社内イントラネットの活用

社内広報において最も一般的であり、社員へ一斉に情報を届けるための効率的な手法が社内報やイントラネットの活用です。企業独自の社内報を作成したり、社員のブログリレーを実施したりなど、企業によって取り組み方は千差万別です。

これまで、社内と社外の広報は別物として広報物の作成などが行われていましたが、最近では、両方に対して同じ広報をするケースも出てきています。口コミサイトや、SNSが普及する中で、企業の内情について、オープンにした上での発信も、ブランディングの観点から重要となってきています。

2019年から働き方改革に取り組む、株式会社オンワード樫山様では、働き方改革の様子や、チームの取り組み内容を発表する共有会の様子を、社内ポータルにWEB記事を掲載することによって周知しています。経営陣も一緒になり、今後の働き方についてディスカッションをした様子を発信することで、経営層の本気が伝わり、フラットな組織への風土醸成に一役買っています。

事業部横断のセッションやイベントの実施

社内広報として、社内の一体感を高めるには、社員同士のコミュニケーションを目的としたイベントが有効です。例えば、部署全体でのイベントや事業部横断でのワーキンググループを作ってのイベント、コミュニケーションランチやファミリーデイなど、様々なコミュニティで行うとよいでしょう。参加者が多いほど、社内での口コミ効果が期待できますし、開催レポートを社内報として作成することで、全体に周知も可能です。

最近では、オンラインでの実施により大規模なミーティングやウェビナーも可能になっています。ある企業で、出産や子育てについて学ぶ「パパママ学級」をオンラインで実施したケースでは、社員のパートナーや両親も参加することで、従業員のライフのリソースも巻きこみ、社内広報ができた事例もあります。

アセスメントの実施

社内広報を定量的に実施する際に有効なのは、従業員アセスメントの実施です。どんなジャンルのアセスメントなのかで、会社が何を気にしているのかが分かり、その項目をより良くしようという姿勢があることが伺えます。代表的なものは、エンゲージメント調査ですが、その結果を社内にフィードバックをすることで、点数が高い項目は納得感につながり、点数が低い項目は高めていくためにどんな解決策があるのか、企業として建設的な経営戦略を立てられることになります。属性ごとや部署ごとのアンケート調査についても結果を社内で共有することによって、定量的に自社を見る機会となり、自社の現在地を確認することができます。

これらの社内広報の手段を複合的に組み合わせて、社内からの良い評判を生み出したり、コミュニティができることによっての新しい取り組みをキャッチしたりなど、コンテンツの収集に役立てましょう。

社内広報を採用広報にどう接続するのか

ここからは、社内広報によって蓄積した情報や、コンテンツを、どうやって社外の採用広報に役立てていくのかを見ていきます。

採用を“自分ごと化”する

社内広報で企業文化や風土について発信した情報を、一人ひとりが、体現することが大切です。 「私たちがコーポレートブランドを体現するのだ」という想いを根付かせ、日々の行動や、発言に活かしてもらうことで、情報の受け手にとって、「この会社は良さそう」「やりたいことが実現できそうな会社」といった、ポジティブなイメージに変換させることが必要です。

また、リファラル採用(社員紹介)が活発な会社では、社内広報に力を入れることで、社員一人ひとりがコーポレートブランドを体現し、周囲にプレゼンできるくらいの共通言語や、所属メリットを発信できるようになっています。また、インセンティブの活用によって、リファラル採用を活性化させているケースもあります。

口コミをエピソードベースで採用広報に転換する

社内広報を社外に伝えるときには、具体的なストーリーが役立ちます。「うちの会社は風遠しが良いんだよ」「従業員想いの会社なんだよ」といわれても、受け手はピンときません。どうしてその印象を持っているのかをエピソードベースで伝えていくことが必要です。その時に重要なのが、相手は誰なのか?です。ペルソナ設計に基づき、相手にとって響くポイントは何かを意識し、丁寧にエピソードを構築することが必要です。「伝える」と「伝わる」は違いますので、社外のステークホルダーに、自社コンテンツを見てもらい、客観的な評価や印象のフィードバックをもらうことも有効です。

社内外からの評価を可視化する

社外の口コミサイト、社内のアセスメントの実施、現状の勤務実態などから、客観的に自社を評価することができます。

これらの項目で、社外で口コミになりやすいものや、エンゲージメント調査の項目で、ポイントが高いものをコンテンツ化してしまい、ブランディングに役立てることも可能です。

例えば、有給休暇取得率100%の会社があった際に、従業員の休みに注目し、ライフの様子をキャッチし、社員の一人ひとりのライフをブログ化することでライフの充実が図れる会社というイメージ醸成につながりますし、20代の活躍機会が多い会社ならば、採用イベントに20代のスター社員に登壇してもらうことも1つです。定期的に、口コミサイトや、アセスメントの数字、そしてSNSのエゴサーチなどをしながら、どんな評価を得ている状況なのかを確認していくとよいでしょう。

採用広報ツールの特性を捉えて採用広報の武器を使いこなす

最後に、採用広報におけるターゲット、コンテンツ、戦略が決まったあとはどうやって媒体戦略に転換していくのか、2つの事例を紹介します。

目的は、「自社の採用ターゲットからのエントリーを、いかに獲得するか」ですので、効率よく採用につなげるためのコツを見ていきましょう。

求人媒体(ペイドメディア)と自社HP(オウンドメディア)のケース

例えば、ペイドメディアである、求人媒体を活用し、ターゲットからの応募数を獲得するための媒体戦略について見ていきましょう。

求人媒体をはじめとした、転職媒体には、「転職をしたい」と思っている転職顕在層が多く登録をしています。企業の採用活動を認知し、自身の価値観や転職基準を踏まえて、その企業で働くことが、自分にマッチするかどうかを考えます。認知後は、検討を進めるために、コーポレートサイトや採用サイト、口コミサイトなどあらゆるメディアを探し、情報を確認します。その後、自分が得た情報が正しいかを確認するために企業と接触し、エントリ―に値する企業かどうかを確認していきます。

求人媒体と自社HPを活用し、エントリ―を集める際に注意すべき点は以下3つです。

競合優位性を考慮する

求人媒体に掲載する際に、自社の求人ページばかりに目がいきがちですが、ターゲットは、求人媒体の数ある企業の中から自社を見つけ、検討している層が大多数です。あなたが求職者だとしたら、TOPページからどんな検索をしたら、自社を見つけ出せるのか、前後に掲載されている企業にはどんな顔ぶれがあるのか、その中でどんな文言を使ったら、目に留まるのか、求職者目線で検索をしましょう。

「なぜ転職したいのか」の要素に情報を絞る

採用広報においては、採用ターゲットの志望動機から、コンテンツを設計するプロセスが重要ですが、求人媒体では、規定のフォーマット内、かつ限られた文字数で魅力を伝える必要があります。そのためにはファーストビューが大切で、職種名や、求人ページのタイトルが極めて重要です。そのページをみて3秒で読むかどうかが決まるといわれています。職種名やタイトル箇所は、企業として最も推したい仕事の特徴や、求職者への利点を示す必要があります。

また、求人媒体では、他社との比較が前提です。自社に当たり前にあるものや、全企業に義務づけられている法定上の休暇なども忘れず記載しましょう。

自社HPで情報の整合性をとる

求人媒体で貴社を見つけたからといって、即応募の行動に出る求職者は多くありません。図に記載があるように、HPや、口コミサイトを閲覧し、応募に値する企業かどうかを吟味します。その際に、求人媒体から得た情報と、HPや口コミの情報が合っているのかを確認し、正しいかどうかを見極めます。HPに掲載する情報は、求人媒体に掲載している情報の、根拠や背景に基づく情報を記載しましょう。

例えば、「異業種からの中途入社社員が活躍」と求人媒体に記載するならば、HPには、どんな中途入社社員が活躍しているのか、異業種とはどんな業界や業種か、なぜ活躍できる環境があるのか、など、根拠を記載しましょう。もちろん求人媒体にも記載し、同じ印象を与えることがベターです。

SNSやブログ(アーンドメディア)と自社HP(オウンドメディア)のケース

SNSやブログを活用し、採用広報をするケースでは、認知期間でどれだけファンを作れるのかが肝になってきます。ブログ記事を連載し、社員のSNSで拡散、フォロワーや「いいね」を増やしつつ、オンラインイベントの開催によって、採用活動をしていることを認知させる方法です。

エンジニアの採用手法としては、主流になってきているやり方でもありますが、社員や会社の雰囲気を重視している方にとって、有効な施策といえます。ここでの注意点についても3つ、見ておきましょう。

タレントプールの概念をとりいれる

企業を認知させている出会いの場では、ターゲットが転職を考えているとは限りません。興味喚起のポイントも人それぞれです。例えば、ブログ記事の内容が参考になるから継続的にチェックしている、SNSで面白い投稿が多くついつい読んでしまう、オンラインイベントのテーマにたまたま関心があった等、接触の動機づけは違って当たり前ですので、出会ったターゲットといかに接点を持っておくかを考える必要があります。

集めた層別の接点を考える

タレントプールをしていく中で、スキルや人物像などから、ターゲットに合うかどうか、会社への共感度は高いかで、接点の持ち方を工夫しましょう。中には、ターゲットにはぴったりだけれども、会社への共感度が低く、エントリ―のオファーをしても、来てくれないかもしれない、といった層もいます。その層には、自らが進んでエントリーをしてくれるような、コンテンツを用意する必要があります。エンジニア採用では、技術勉強会の開催、またスキルの高いエンジニアとの1on1面談の設定など、クロージング目的の接点を持つ企業もあります。

中長期的な戦略を持つ

アーンドメディアを認知のきっかけにする際は、エントリ―までの期間がペイドメディアに比べ、延びる傾向にあります。求職者の興味・動機形成期間が長くなる中で、ターゲットにはいつ何をするのか、ターゲットではない人にはどうするのか、中長期的な戦略が必要です。中には、今はターゲットではなくとも、今後本人がスキルアップすることでターゲットに入ってくる人もいます。コミュニティの作成や、対象が広いミートアップ(交流会)など、中長期的な採用戦略も同時進行で進めることをお勧めします。

まとめ

今回、採用広報には社内広報が欠かせないこと、そして具体的な手段と、コンテンツの活かし方について解説をしてきました。極論になるかも知れませんが、社内の評判が良い会社は、採用でも困りません。働き方の不満がない企業では、他府県からでも優秀な人材が集まります。採用広報を進める中で、社内の状況を見直し、客観的に評価すると、自社の強み・弱みや改善すべき点が浮彫りになります。

年々、求職者自身が、自ら情報を探し、取得できる状態が加速している中で、上辺だけのコンテンツを武器に、採用市場でよい戦いをすることは不可能になってきています。より良い採用をするために、採用広報に力をいれることはもちろんのこと、自社の働き方に対する不満や社内に寄せられる期待にも耳を傾け、改善していくことをお勧めします。

そうすることで、どんな媒体を使おうと、採用に強い会社に育っていくことでしょう。自社に優秀な人材を集め続け、企業として継続的な発展をしていく、そんな企業が増えていくことを願っています。

  • 人材採用・育成 更新日:2021/09/16
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