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学生300人同時参加で高い満足度を実現!
カヤックのオンラインインターンの秘密とは?

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その理由は、上場企業を中心にオンラインインターンが急速に広まったことです。学生からも基本的には好意的に受け入れられ、参加率も高い水準を維持しました。

しかし、依然としてオフライン(対面式)でのインターンを望む学生が多いこともまた事実。交通費の負担がないというメリットを上回る、現場でしか味わえない雰囲気や他の就活生との交流を望んでいるという見方もあります。

そこで、今回取材をさせていただいたのは「エゴサーチ採用」や「サイコロ給」など独特の採用手法や人事制度で有名な面白法人カヤックです。
なんと300人の学生が同時に参加するオンラインインターンシップを開催し、その満足度も高いといいます。

どのような方法でオンラインインターンシップを実施しているのでしょうか。詳しく話を伺いました。

― みよしさん、今日はよろしくお願いいたします。まず、御社がオンラインインターンシップを実施された経緯を教えてください。


みよしさん: はい。これまでも対面式のインターンシップは実施していました。いわゆる職場体験、実際に一緒に仕事をしてもらうタイプのものですね。しかし、それではインターンシップに参加できる学生の人数がかなり少なくなってしまうことが懸念でした。

弊社は毎年1,000名ほどの学生に応募いただいていますが、そのうち8割ほどは書類選考で終わってしまうか、面接も1回ほどしか受けていただくことができません。せっかく多くの方がカヤックという会社に興味を持って応募してくれているのに、もったいないような、申し訳ないような気持ちがあったんです。

― そこで、参加人数を増やしやすいオンラインインターンシップを実施されたということでしょうか?


みよしさん: そうですね。ただ、「参加しやすい」というメリットだけのオンラインインターンシップは違うんじゃないかと思いました。もっと他の意味を提供しないといけないんじゃないか、と。

そこで、目的は「企画することの面白さ」を知ってもらうこととし、かつ、YouTubeにアップした動画と各自の裁量に任せたワークで構成された2週間のオンラインインターンシップを作っていくことにしたんです。カヤックのことを知って応募してほしいというよりは、もっと広い意味でカヤックが大切にしていることを伝えていきたかったんです。

― なるほど。まずは「目的」について、そう考えられた理由を教えてください。


みよしさん: まず、ナレッジワーカーだと、業種を問わず「企画」という仕事から逃れられる人ってほとんどいませんよね。でも、苦手としている方も多い。 「企画」を楽しむことができるようになれば、仕事全体が楽しくなる可能性があると考えました。

また、カヤックでは「アイデアがいっぱいの人は深刻化しない」という言葉を大切にしています。アイデアを出すことに慣れていると、問題解決能力が高まるからです。

― 続いて、「YouTubeの動画と各自のワーク」という構成についてはいかがでしょうか?


みよしさん: オンラインインターンシップって、オンラインなのに決まった時刻に集まらないといけないのが良くない点だと思いました。単にオフラインのインターンシップをオンラインに移行しただけだと、そうなりがちです。

一方、YouTubeなどにアップされた動画なら、学生が必要だと思ったときにいつでも戻ってもう一度見ることができますし、再生速度も変えられます。リアルタイムでの講義よりもはるかにメリットが大きいですね。

加えて、2週間という長期にわたって弊社と関係を持つことで、学生自身がセルフスクリーニングすることができるのもメリットだと感じています。合わないと思ったら他社を受けた方がいいし、インターンシップが楽しいと感じたら弊社を受けていただいてもいい、と。

― 今回のインターンシップでは、各自のワーク以外にブレスト(ブレーンストーミング)も行われたと伺いました。300人規模のブレストって聞いたこともないのですが、いかがでしたか?


みよしさん: もう、2万人くらいの視聴者がいるYouTubeのライブ配信を見ているようでした。Zoomであんなに早く流れていくコメント欄は見たことがですね。
みよしさん: もう一人のカヤックメンバーと一緒に、流れていくコメントの中から良いものを時々拾って話したり、逆に拾ったコメントから「もう少しこう考えてみると良いアイデアが生まれやすいと思う」とコメントしたり、という感じでした。

僕たちがファシリテーションしながら学生がアイデア出しをする場、と理解した方がいいかもしれません。YouTubeを見て学んだことの実践ですね。

300人もいて、あれだけのスピードでコメントが流れていくと学生側も自分のコメントが拾われないことにストレスは感じにくいと思いますので、特に問題なく行えたと思います。

― なるほど。あともう一つ驚かされたのが、出された企画に対してきちんとフィードバックもなさっていたという。確かにフィードバックの有無や内容は学生がインターンシップの評価をするときに最も重要な要素の1つではありますが、数が数だけに大変だったんじゃないでしょうか。


みよしさん: そうですね。このスタイルのオンラインインターンシップは全部で3回行っているんですが、1回目と2回目はカヤックのメンバーと共に一つひとつにフィードバックしていく動画を作りました。

さすがに数が多く、またクオリティもまちまちで、中にはコメントすること自体が難しいというものもありましたので、3回目は50本を選んでフィードバック動画を撮影したのですが、それでも2人で7時間ほどかかりましたね。

全てにフィードバックはできなくても、自分の企画に近いもののフィードバックは見ることができますので、これでも参考にはできると思います。

― 学生同士のフィードバックでも工夫をされたと伺っていますが、どのようなものでしょうか。


みよしさん: 前提として、僕たちのオンラインインターンシップは、チーム参加も一人参加もOKとしています。そのうち、「一人で参加したけれど、グループで協力し合って進めたい」という項目にアンケートでチェック入れた人には、こちらで割り振ったグループ番号を元に各自で集まってフィードバックし合える環境を提供しました。

最初はZoomのブレイクアウトルームも考えたのですが、それだとリアルタイムでこちらが振り分けしなくてはならず、タイムロスが大きいんですよね。

― なるほど。一人参加の方はどうされていたのでしょうか。


みよしさん: インターンシップ参加者全員にLINEオープンチャットに入ってもらい、相互にフィードバックを求め合うことができる環境を用意しました。

また、企画書はこちらで用意したGoogleスライドを使ってもらっていますので、学生の環境にかかわらずお互いのものを見て、コメントを残せる仕組みにもなっています。

― いま、ツール類の工夫についてもお話を頂きましたが、読者の方が参考にできるよう、もう少し詳しく伺ってもいいですか?


みよしさん: オンラインインターンシップを重ねる中で試行錯誤しながら選定していきましたが、今のところこんな形で落ち着いています。
みよしさん: なにより学生が使用しやすいことが前提です。特別なアプリケーションが要らず、使い慣れているものを中心に組み立てています。

― 配信側のツールはいかがでしょうか。


みよしさん: 個人的には、オンラインインターンシップでは映像よりも、音のほうが重要だと思っています。映像は多少乱れてしまっても、音声がきちんと届いていれば重要なことは伝わるからです。逆に言えば、音声が届かないと理解ができずに、見る気がうせてしまいます。

なので、かなり具体的な内容になりますが次のような構成で配信していました。
みよしさん: 弊社側で話す人にはピンマイクを付け、効果音を流すためのiPadと合わせてオーディオインターフェース(※)を通じてMacにつないでいます。機材などのコスパやメンバーの機材準備のしやすさから、これに落ち着きました。

音にはこだわった方がいいと思いますよ!

※ オーディオインターフェース:マイクや楽器などをPCにつなぐための機器。マイク端子は多くのPCに標準装備されているが、複数の音声ソースを使った高音質な録音・配信が求められる音楽制作やオンライン生配信などの現場では、別途オーディオインターフェースを用意することが普通となっている。

― ここまでのお話を伺っていると、御社のオンラインインターンシップでは採用への効果よりも、学生の学習効果を重視していることが分かります。採用への効果という点ではどのようにお考えですか?


みよしさん: おっしゃるとおり、採用への直接的な効果よりも、学生が「企画って面白いな」とか「仕事って面白いな」と思ってくれることを優先しています。

とは言っても、参加した学生がきちんと講義の動画を見ているか、生配信のブレストやレクチャーに参加しているか、企画書はちゃんと出しているのか……などは全てデータとして残していますので、選考の資料としては使えるようになっていますね。

ただ、いまお話ししていたインターシップは昨年の9月に終わったものですので、そのときには採用活動も終わっていましたので、直接的な効果はまだありません。23年卒向けのインターシップをこれから行いますので、そちらは何か生かせるかもしれません。

― インターシップにおける学生の動きを構造化することで、何か今後に生きていくということはありますか?


みよしさん: そうですね。どこで学生が離脱しているのか、どのレクチャーが面白いと感じたか、といったこともデータから分かりますので、インターシップ期間の2週間の中で改善できるところはして、次回に生かすべき反省があればそれも記録しておく、ということはやっています。

採用サイトでも、ユーザー分析ツールで学生の動きを把握して、情報の過不足や構造の問題点を洗い出していこうという動きがありますので、インターンシップを含めた採用活動全体を構造化するということは、続けていきたいですね。

― 今日はありがとうございました!


面白法人カヤックの採用といえば、冒頭でも書いたような面白く目新しい採用手法に注目が集まりがちですが、その裏側は構造化されたデータが支えていることが分かったインタビューでした。

とはいえ、やはり学生が「面白い」と感じられる内容を生み出す源泉には、考え抜かれたアイデアがあります。
そのアイデア自体も、学生の動きをデータとして把握することで磨きがかかっていくという一連の動きは、皆さまの参考になるところも多かったのではないでしょうか。

インタビューの中で語っていただいた具体的なノウハウはもちろん、その根底にある考え方が皆さんのオンラインインターンシップに生きることを願っています!
 
  • 人材採用・育成 更新日:2021/09/10
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