看護学生の採用動向・調査結果・予測(看護学生採用動向2021)
看護学生の新卒採用スケジュールは、1月頃から病院説明会を行い、3月頃をピークにインターンシップを実施するのが一般的です。このタイミングに学生は志望する病院をある程度絞り、4月~5月頃に病院へ応募書類を提出、採用試験を経て6月頃に内定を得ます。
しかし、2021年卒の看護学生採用においては、2020年3月に新型コロナウイルス特別措置法が施行され、その後4月より緊急事態宣言が発令、コロナ対応に追われながらの採用活動となり、病院にとってハードルの高いものとなりました。
看護師を目指す看護学生のための学習型総合情報サイト『マイナビ看護学生』が2020年11月に行った調査では、2021年卒の病院の採用目標達成数率は59.0%と、6割に満たない数字にとどまっています。
これまで、病院の看護師採用は「昔ながらの対面を重視した採用」を主流としていました。新卒看護師採用は、「直接会う」ことを重視した採用広報が中心となっています。
インターンシップや説明会で学生と出会い、出会った学生に対して冊子の資料を送付し、紙ベースの応募書類を郵送または直接手渡しし、選考を経て内定を出す、という採用フローの病院が多いのが現状です。
対面が制限されたコロナ禍において、「対面を重視した採用を脱却したか」どうかが、新卒看護師採用の成功の分かれ目となった可能性があります。
2020年はオンラインシフトが進み、働き方改革や業務効率化が声高に叫ばれた年となりました。病院でも電子カルテ化やオンライン診断など、IT化が進んでいます。
新卒採用だけその動きが停滞するということは考えにくく、時代に即した採用活動を行う病院が学生から支持されていくと考えられます。
2022年卒以降の新卒採用は、長期的な人材の確保に向けて、自院の採用活動の在り方について考え直すタイミングといえます。
では、「対面重視の採用」から脱却し、新卒採用を成功に導いた病院は、どのようなことを行っていたのでしょうか。
※出典:2021年卒マイナビ看護学生 看護職員採用状況調査「新卒採用のために実施している活動(上位抜粋版)」
一般企業のWEBセミナー実施率※1は56.2%、WEB面接実施率は52.6%となっており、「WEBの活用」が進んだとはいえ、病院の実施率はその約半数です。また、面接だけでなく書類提出や適性検査を始めとした選考活動のほとんどをWEBに移行し、採用活動を順調に終えた病院からは、「すべてWEB(適性検査・小論文・面接)対応できたことから、受験者数を減らすことなく実施できた」という声もあがっています。
※1 マイナビ2021年卒企業新卒内定状況調査より
2022年卒の看護学生就職活動状況からは、WEBセミナーを視聴したことが無いという回答は大幅に減少し、「視聴したことがある」という看護学生は64.1%に増加しています。
とは言え、WEB化になかなか踏み切れない病院も多いかと思います。
実際に、画面越しでは学生の雰囲気やコミュニケーション力が分からないのではないか、という不安もよく聞きます。確かに、WEB上のやり取りは、場合によっては一方通行の情報伝達に陥りやすく、得られる情報も少なくなりがちです。ただ、WEBを取り入れながら新卒採用を成功させた病院は、その課題を乗り越える工夫をしています。
例えば、「WEBセミナー」実施後に、「WEB座談会・WEB病院見学会」を取り入れた病院があります。
看護師の仕事風景の動画を学生に視聴してもらい院内の雰囲気や仕事風景を伝えると同時に、先輩看護師に患者への対応やその後の応対について質問ができる場を設けることで、一人ひとりの考え方や仕事に取り組む姿勢を見ています。普段の学生の雰囲気を知ろうとする工夫をしています。
これは同時に、学生にもメリットがあるのでは無いかと思います。WEBサイトや紙資料だけでは読み取れない、病院の様子や雰囲気を感じ取りやすくなります。WEB化による情報不足を不安に思うのは、学生も同様です。
今後の課題はWEBを活用したインターンシップの実施です。一般企業のインターンシップも同様ですが、WEB上での現場のリアルな雰囲気を伝えつつ、学生の特徴を掴むインターンシップの実施が求められると思います。
コミュニケーションを図る機会を増やし、相互理解を深める場を設けることで、対面を重視した採用を脱却しても、よりよいマッチングにつなげることができるのではないでしょうか。
- 人材採用・育成 更新日:2021/07/30
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