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人事評価制度の問題点とは

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以前は年功序列、あるいは職能給制だった企業が、時代との流れとともに少しずつ成果主義の評価システムへ注目し始めました。しかし実態として、まだまだ定着したと呼ぶには程遠い現状があります。成果を判断する際に重要となる人事評価制度。ほとんどの企業で独自に制度を設けていますが、中には適切な評価に繋がっていないケースも少なくありません。

成果主義はなぜ定着しない?会社と社員が抱える問題点

年功序列に代わる、画期的な人事評価と言われた成果主義。なぜ、日本企業に定着しないのでしょうか。大前提として、日本企業における「仕事」というものの多くが、個人がひたすら成果を追い求める完全個人成果スタイルではなく、協力してチームワークにより成果を上げていくスタイルであることが挙げられます。

そのため、チーム全体での実績は分かっても、チームメンバーそれぞれがどのように貢献(成果)したのかが、明確化されていないのです。すると、個人別にその貢献度合を細目に渡って一つ一つ検討する必要が生じてしまい、膨大な評価作業が発生します。その結果、情報不足によって不適切な評価が入り込むことは否めないでしょう。

その不適切な評価=納得性のない評価をめぐっては、「なぜあの人よりも自分の評価が低いのだろうか」といった不協和音が発生します。また、成果ばかりを評価すれば、チームワークを軽視する社員が出る可能性も高くなり、チームの和が乱れることも懸念されるのです。

さらに、突発的に社員個人が高い成果をあげると、会社は過度な期待を向けて目標を不適切に引き上げることがあります。それを恐れた社員は、様子を見ながら成果をほどほどに留めてしまい、全力を出さない社員が増えるという可能性も考えられるでしょう。

評価基準を明確に、そして社員との窓口をつくろう

成果主義を導入する上での課題は、

「チームワーク中心の日本企業では個人の成果を適正に評価することは難しく、不適切な目標設定を行うと社員が実力を発揮しなくなる」

という点でした。
その課題を克服するためには、チームワークの中に存在する社員個人の成績・貢献について、正しく評価することが必要となります。

では、具体的にどう取り組めば良いのか。まずは、個人の目標を設定する時点で客観的にもチーム全員が納得する評価項目を設定します。そのうえで、社員個人に「何をすれば評価されるのか」を明確に認識させることができる評価制度を整備する必要があるでしょう。

制度の整備後は、評価判断について達成度合と評点を一致・均一化するために、評価者の違いによって、同じ成果に対する評価が異なることのないように、評価についての教育を施すことが必要です。
また、上司と部下における双方向のコミュニケーションも極めて重要な要素となります。「なぜこの評点になったのか」について上司と部下の認識を一致させるためには、評価のフィードバックや評価面談等の手段が有効です。

そのうえで人事側のやるべきことは、まず評価シートが適正な項目になっているかチェックできるよう、現場の状況を逐一把握することです。そして、現場がどのような仕事を行っているかを理解しなければなりません。また、社員の評価に対する納得度を高めるためには、社員からの評価に対する人事相談窓口を設置することも有効な手段と言えるでしょう。

人事と現場に橋をかけ、人事評価制度の向上を!

人事評価制度において、今もなお日本企業に年功序列が残っていることは事実です。この風土は企業内人事の融和にこそ有効ですが、能力・成果に応じた人事評価を行えるものではないということが最大の弱点となっています。つまり、個人の能力を最大限発揮させるためのモチベーションアップシステムとは到底言えず、企業の競争力を強化するものではないことを認識しなければなりません。

企業に属する人材の多様化が進む中で、各個人を正しく評価するためには、成果主義導入が必要となるでしょう。そのためには、必ず懸念されるとも言える評価項目設定の難しさ、公正な評価の確保、そしてチームワークに亀裂が入らないための配慮が必要となります。しかしそれらが確保された時、発生する人的モチベーションは最大のものとなるはずです。

そのためには、前述の「制度制定に付随する教育の実施」「相談窓口の開設」等を人事側から積極的に行い、制度が効果的に運用されるようにしなければなりません。
また、現場と日頃からよく話し合い、現場の認識と人事の認識を一致させることも重要でしょう。導入の課題は多いですが、顕在的・潜在的課題をすべて洗い出し、最大効果を発揮する人事評価制度の導入を検討してみましょう。

      • 労務・制度 更新日:2015/04/17
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