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内定辞退の防止策|離職コンサルのプロが指南!中途採用内定者へのフォローのポイント

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中途採用面接を経て内定を出して承諾された後に、土壇場で辞退されたり、あるいは入社後すぐに退職されてしまったり・・・。内定後に何もフォローしていないと、せっかくの採用活動がもったいない結果に終わってしまいかねません。

そこで、今回は内定フォローの重要性と、これを行う上でのポイントについて、離職コンサルのプロに伺いましました。

採用内定から入社までに採用担当が行うべきこと

新卒採用の場合に、内定フォローが大切だ、という話をよく聞きます。中途採用の場合、新卒と比べて内定から入社まで短いと思われますが、その間のフォローというのはやはり重要なのでしょうか。

多くの企業が退職願の提出期限を退職の1カ月前までというルールにしていることもあって、日本の企業の場合、採用内定から入社までの期間は、平均しておよそ45日程度です。たとえば10月半ばに面接をして内定を出したら、12月に入社、というイメージですね。

内定が承諾された後は、入社にあたって必要な書類や資料を送って、「後は入社までに読んでおいてね」とそのまま放置している会社も多いと思います。でも、実は内定を受けてから実際に入社するまでの期間、内定者としてみればものすごく心が揺れる時期でもあるんですよ。

「この先の人生、この会社でずっとやっていけるのか」などと悩むわけです。家庭のある人であれば、夫や妻など身近な家族の理解がなかなか得られず、「その会社で本当に大丈夫なの?」と心配されるかもしれませんね。

また、内定を受けた後に他の有名企業や条件の良い会社からもオファーがあるかもしれない。はたまた、現在勤めている会社から、あの手この手で慰留されるかもしれない。そんなとき、あっさり「この内定、やっぱり辞退します」と言われないよう、人事としてしっかりとフォローしておくことが、中途採用でも重要になってきます。

内定辞退に傾く3つの要因

今おっしゃった、①「家族の理解」、②「他社からの内定」、③「現職場からの慰留」。この3つが大きな要因と言えそうですね。

まずは①の「家族の理解を得るために」ですが、会社としては具体的に何ができるでしょうか?

誰もが知るような有名企業であれば別ですが、そうでない企業の場合は、社名だけ聞いてもその企業が実際に何をしていてどんな業績を上げているのか、将来性があるのかについては分かりませんよね。内定者本人はよく分かっていて「この会社で働きたい!」と思っていても、家族からすれば「そんな無名な会社で大丈夫なの?」と不安になるかもしれません。

この理解のギャップを埋めるためには、内定者から家族に話してもらうのはもちろんですが、会社としては内定者本人に会社案内のパンフレットなどを送り、会社のことをよく知ってもらうようアプローチすることが大切です。内定者に送れば、家族も手に取ってくれるはずですからね。

一般的な会社案内だけではなくて、例えば企業のトップの理念や、「うちの会社はこんなビジョンを持っていて、こうした目標を掲げています」「社員についてこんなに大切に思っています」というようなメッセージが伝わるようなものがあればなお良いでしょう。経営者の理念や情熱が伝わるようなもの、これがあれば家族からの後押しも得られやすくなるはずです。

では、②「他社からのアプローチ」で、他社との間で揺れている場合はどうでしょう。

転職活動をしていれば、他社からも内定を受けるなどして心が揺れることも大いにあるでしょう。1社から内定を受けたものの、条件の良い他の会社に決めました、ということで土壇場になって辞退されることもあり得ます。

こういったことを防ぐためには、企業としては、採用面接段階から、「この応募者はどこに期待して・どの部分に不安を感じているのか?」を見抜き、さりげなくフォローしておくことも大切です。

たとえば、収入面がネックになっているであろう内定者であれば、「うちの会社は、入社後○年くらいは年収が高くはないかもしれないが、将来的にはこれくらい業績が上がる見込みです」「安定して収益を上げている分野なので安心して仕事に打ち込んでください」などと、自社の魅力をアピールすることも効果的でしょう。

次に、③の自社からの慰留を受けて、転職を思い止まるケースではどうでしょうか。

優秀な人材であればあるほど、強い慰留を受けることは当然のことです。こちらとしては、その慰留を振り切って来てもらいたいわけで、これは並大抵のことではありません。

内定者は、内定の時点では元の職場でまだ働いている場合が多いでしょうから、まだそちらの会社との関係性が強く、転職先企業との距離感はやや遠い状況にあります。無事に転職先企業に入社してもらうためにも、内定者との距離感を少しでも縮めたいところです。

そのためには、たとえば入社前に職場の見学をしてもらったり、入社後に同僚となる予定の社員と話す機会を設けるなどして、コミュニケーションを図るのもよいでしょう。
ただし、この場合は土壇場で内定を辞退されてしまった場合の機密情報の漏えいなどのリスクがありますので、会社側としては人選やタイミングを慎重に見極めて進めましょう。

また、今の職場から強い慰留にあっているのなら、その対応を内定者に丸投げするのではなくて、たとえば「私たちがぜひ来てほしいと思っているあなたが、今の会社でも高く評価されていることを知って嬉しい。ぜひ当社に来てほしい」と伝えるだけでなく、「何かあったら全力で守るし、全社的にバックアップするので、安心して来てほしい」旨を伝えましょう。

「退職カウンセリング」の重要性

優秀な人材であればあるほど、現在の職場からの慰留が十分考えられます。それゆえに、退職時にトラブルになることもあるかもしれませんよね。

中途採用の場合、新卒とは違って今勤めている会社を辞めて入社していただくわけです。ですから、気持ちよく入社してもらうに当たって、いかに今の会社を「スムーズに退職してもらえるか」という点をケアすることが、実は非常に大事になってきます。

一般的に、内定を出してしまえば「あとは入社日までにきちんと退職してきてください」と内定者任せにしていることが多いでしょう。しかし、万が一退職時にトラブルがあったらどうでしょうか?

たとえば同じ業界内での転職の場合、「退職後○年は同業他社に就業しない」などといった、いわゆる競合避止義務を就業規則の条項に入れていたり、あるいは退職時に同じような内容の誓約書を書かされたり、といったケースもあります。

また、退職までに残った有給休暇を消化する予定が、最後の最後で認めてくれなかったり、退職届を受け取ってくれなかったり等の嫌がらせを受ける可能性もあります。

退職時のこういったトラブルのせいで入社日が遅れると、迎え入れる会社側にとっても痛手ですよね。

こうした退職時のトラブルの解決を放置しておくと、内定者は1人で悩んだ挙句「やっぱり転職やめます」ということにもなりかねません。内定者に気持ち良く入社してもらうためにも、いかにスムーズに退職してもらうかは非常に重要。
トラブルに備える意味でも、「何かあったら相談してください」という姿勢を伝えることは有効でしょうし、実際に今心配なことはないかカウンセリングすることも大切です。

会社の法務部門や顧問弁護士など、法的トラブルの相談先とも連携したラブコールを送ってください。「この会社は自分のことを大切に思ってくれているんだ」という安心感があるのとないのとでは、まったく違いますよね。

「社員を大切にする会社かどうか」が内定者の心を動かす

内定者にとって、どんな選択を取るかは一生を左右する問題です。「今の会社に残るか? 条件のよいA社に行くか? それとも内定を出してくれたB社を選ぶか?」

転職理由は人によってさまざまですが、最終的には「この会社なら自分を大切に思ってくれる」と感じた会社を選ぶことが多いものです。逆にいえば、コスト面やネームバリューで他社に劣る企業であっても、会社がどれだけ社員を大切にしているか、ということをうまくアピールすることができれば、中途採用を成功させるチャンスが生まれ、中途採用の成果は大きく変わってきます。

  • 人材採用・育成 更新日:2022/12/12
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