「人事担当」のキャリア学。社内コネクションを活かした大器晩成型キャリアアップ術
組織内の「人に関わる」すべての業務に関わる人事セクション。組織設計や異動、採用、教育、賃金、福利厚生など、その業務テリトリーは広範囲ですが、それら業務には多くの場合「正解」というものがなく、成果が見えにくいのも事実。
そのため、「人事はやりがい」を見つけにくいといった声も少なくないようです。これからの人事担当者には、どのような能力が求められるのか、そして、どんなスキルを伸ばせばよいのか考えてみましょう。
「人事=成果が見えない業務」なのか?
企業において人事が果たす役割は非常に重要です。社員の採用や教育、給与計算などの労務全般、人事制度の構築など、業務範囲は多岐にわたります。一方で「人事」はその業務範囲が企業によって異なるなど、役割が明確化されていないという側面もあります。
人事業務から生み出される企業の仕組みは、組織や社員一人ひとりの仕事に対するモチベーションを直接左右する重要なものばかりですが、人事業務に関わる社員(特に若手社員)の中には、普段の仕事に対する不満や将来に対する不安を抱えている人が多いようです。それは、人事業務特有の「成果が見えず、苦労のわりに正当な評価をもらえない」といったイメージによるところも多いようです。
また、日常の業務が知識として身についたり、資格に直結しているわけでもないため、スキルアップしているのかわかりにくいという面も。
そのため、どういったキャリアステップを踏めばよいかわからず「人事以外の職種を経験して自分の道を見つけたい」と焦る人も少なくないのです。会社にとって重要な業務を担っていることは理解していても、自らのキャリア・スキルアップを考えると「このままでいいのか」と悩んでしまう。人事担当者のジレンマは、そんなところにあると考えられるでしょう。
今後、求められる「人事担当」の姿とは?
2010年に財団法人労務行政研究所が実施した「人事部門の役割・課題と人事担当者の育成に関する実際調査によると、これまでの「人事担当」のイメージは労働条件や勤怠、労働関係、採用、人事制度の運動など、組織での“調整役”という側面が強いことがわかります。
しかし、「将来、重要度が高まる事案」についての質問には、「人材の育成」「従業員の健康(メンタルヘルスを含む)」「従業員のモチベーションアップ」といった、人材育成やモチベーションに関する項目が上位を占めています。
この結果を見ても、人事部に求められる役割は、今後、大きく変化することが予想されます。
これからの人事部は、調整役の域から脱し、現場へと積極的に入り込み、現場の抱える問題点や課題を的確に知ることが重要となってくるでしょう。
人事の業務は組織全体、全社員と関わることが求められます。そのためには、今以上に「聞く力」や「質問する力」、そして会社の状況を的確に説明する「話す力」といった、コミュニケーション能力が求められてくる場面も増えてくるはずです。
時にはいろいろな不満や批判にさらされることもありますが、現場の意見をすべて受け入れようと八方美人になってしまっては、会社全体の人事システムを最適化することはできません。
さまざまな部署からの意見を「情報」として冷静に受け止め、判断し、自分の信念を貫く意志と覚悟、そして精神的タフネスさが求められていることは間違いありません。
経営者のメッセージをカタチにするのも人事の役割
人事は経営者に最も近い部署だとも言われています。
中小規模の企業では、経営者の理念やメッセージも社員や人事部門に浸透しやすいのですが、企業規模が大きくなるほど、こうした声は届きにくいもの。そこで人事部門が経営者のメッセージや考えを理解し、人事施策に反映する「経営者の声を社員に届ける」という役割も担っています。
また、近年は、経営者が人事担当者に戦略的知見などのアドバイスを求めるケースも増え、人事・採用スペシャリストへのニーズも高まっています。「キャリアプランが見えない」と思われがちな人事担当としてのスキルも、経験と専門性を高めることで、幅広い裁量権を持つ業務へと発展させることが可能なのです。
20代・30代の人事担当者が今、やるべきこと
では将来、人事としてのスペシャリストとして活躍するために、また今後、どの部署でも通用する経験・スキルを身につけるために、20代、30代の若手人事担当者は、日々の業務の中でどのようなことに取り組むべきなのか、そのポイントについてまとめてみましょう。
「人や組織を見立てる力」を身につける
まずは「この人は何に悩んでいるか」「その組織の問題点はどこにあるのか」を客観的に考え、「見立てる力」を磨きましょう。
人事は社員や組織からの批判や不満に向き合うことも多い部署ですが、こうした力を磨くことで表面的な事柄に過剰に反応することなく、冷静に「手段」に落としこむことが可能となります。
そのうえで、もし可能であれば、合わせて心理学を学び、人が行動する時の心理メカニズムを知ると、よりスキルはアップの速度も早まることでしょう。
こうした「人や組織を見立てる力」は、人事だけでなく、例えばマーケティングや商品企画の場面で新商品のターゲットを分析するなど、さまざまな業務の中でフルに活用することも可能となります。
あらゆる部署に出入りし、人脈を築く
組織内の「人に関わる」すべての業務に関わる人事セクション。組織設計や異動、採用、教育、賃金、福利厚生など、その業務テリトリーは広範囲ですが、それら業務には多くの場合「正解」というものがなく、成果が見えにくいのも事実。
そのため、「人事はやりがい」を見つけにくいといった声も少なくないようです。これからの人事担当者には、どのような能力が求められるのか、そして、どんなスキルを伸ばせばよいのか考えてみましょう。
「人事=成果が見えない業務」なのか?
企業において人事が果たす役割は非常に重要です。社員の採用や教育、給与計算などの労務全般、人事制度の構築など、業務範囲は多岐にわたります。一方で「人事」はその業務範囲が企業によって異なるなど、役割が明確化されていないという側面もあります。
人事業務から生み出される企業の仕組みは、組織や社員一人ひとりの仕事に対するモチベーションを直接左右する重要なものばかりですが、人事業務に関わる社員(特に若手社員)の中には、普段の仕事に対する不満や将来に対する不安を抱えている人が多いようです。それは、人事業務特有の「成果が見えず、苦労のわりに正当な評価をもらえない」といったイメージによるところも多いようです。
また、日常の業務が知識として身についたり、資格に直結しているわけでもないため、スキルアップしているのかわかりにくいという面も。
そのため、どういったキャリアステップを踏めばよいかわからず「人事以外の職種を経験して自分の道を見つけたい」と焦る人も少なくないのです。会社にとって重要な業務を担っていることは理解していても、自らのキャリア・スキルアップを考えると「このままでいいのか」と悩んでしまう。人事担当者のジレンマは、そんなところにあると考えられるでしょう。
今後、求められる「人事担当」の姿とは?
2010年に財団法人労務行政研究所が実施した「人事部門の役割・課題と人事担当者の育成に関する実際調査によると、これまでの「人事担当」のイメージは労働条件や勤怠、労働関係、採用、人事制度の運動など、組織での“調整役”という側面が強いことがわかります。
しかし、「将来、重要度が高まる事案」についての質問には、「人材の育成」「従業員の健康(メンタルヘルスを含む)」「従業員のモチベーションアップ」といった、人材育成やモチベーションに関する項目が上位を占めています。
この結果を見ても、人事部に求められる役割は、今後、大きく変化することが予想されます。
これからの人事部は、調整役の域から脱し、現場へと積極的に入り込み、現場の抱える問題点や課題を的確に知ることが重要となってくるでしょう。
人事の業務は組織全体、全社員と関わることが求められます。そのためには、今以上に「聞く力」や「質問する力」、そして会社の状況を的確に説明する「話す力」といった、コミュニケーション能力が求められてくる場面も増えてくるはずです。
時にはいろいろな不満や批判にさらされることもありますが、現場の意見をすべて受け入れようと八方美人になってしまっては、会社全体の人事システムを最適化することはできません。
さまざまな部署からの意見を「情報」として冷静に受け止め、判断し、自分の信念を貫く意志と覚悟、そして精神的タフネスさが求められていることは間違いありません。
経営者のメッセージをカタチにするのも人事の役割
人事は経営者に最も近い部署だとも言われています。
中小規模の企業では、経営者の理念やメッセージも社員や人事部門に浸透しやすいのですが、企業規模が大きくなるほど、こうした声は届きにくいもの。そこで人事部門が経営者のメッセージや考えを理解し、人事施策に反映する「経営者の声を社員に届ける」という役割も担っています。
また、近年は、経営者が人事担当者に戦略的知見などのアドバイスを求めるケースも増え、人事・採用スペシャリストへのニーズも高まっています。「キャリアプランが見えない」と思われがちな人事担当としてのスキルも、経験と専門性を高めることで、幅広い裁量権を持つ業務へと発展させることが可能なのです。
20代・30代の人事担当者が今、やるべきこと
では将来、人事としてのスペシャリストとして活躍するために、また今後、どの部署でも通用する経験・スキルを身につけるために、20代、30代の若手人事担当者は、日々の業務の中でどのようなことに取り組むべきなのか、そのポイントについてまとめてみましょう。
「人や組織を見立てる力」を身につける
まずは「この人は何に悩んでいるか」「その組織の問題点はどこにあるのか」を客観的に考え、「見立てる力」を磨きましょう。
人事は社員や組織からの批判や不満に向き合うことも多い部署ですが、こうした力を磨くことで表面的な事柄に過剰に反応することなく、冷静に「手段」に落としこむことが可能となります。
そのうえで、もし可能であれば、合わせて心理学を学び、人が行動する時の心理メカニズムを知ると、よりスキルはアップの速度も早まることでしょう。
こうした「人や組織を見立てる力」は、人事だけでなく、例えばマーケティングや商品企画の場面で新商品のターゲットを分析するなど、さまざまな業務の中でフルに活用することも可能となります。
あらゆる部署に出入りし、人脈を築く
さまざまな部署の人と交流を持つことで、幅広い視点を得ることができるだけでなく、現場の課題をリアルに感じることもできます。また、社内人脈は、どんな人事業務においてもマイナスに働くことは何一つありません。
各部署のキーパーソンを知り、良い関係性を作っておくことで、より業務が円滑に進むというメリットもあるのです。
スペシャリストを目指すなら、他部署の知識も積極的に吸収する
人事のスペシャリストとしてのスキルを磨きたいと考えている人にとって、営業や広報など「他部署での業務」を経験することは、またとないスキルアップのチャンスです。
なぜなら、客観的立場で人事部門を見つめることにより、人事という業務が社内でどのような位置付けにあるのか、また人事に求められていることなどもはっきりと見えてくるはずだからです。
人事の仕事は、全社員と関わり、組織全体を見渡なければならない業務でもあります。そのため知識だけでは十分にフォローしきれず、年齢や経験を積まないとできないことも多いのです。
特に20代、30代のうちは、さまざまな経験を積み、知識を重ねることが重要です。
セルフモチベーション能力を磨こう
人事の業務は、短時間で成果が見えるような業務ではありません。
また、社員を採用するにしても、人事制度の構築にしても、「社員全員が納得し、満足する」ような結果を得るのは非常に難しいものです。「よくやったな」、「さすがですね」などと判りやすい言葉で誉められるような場面も、多くはないかもしれません。
しかし、他人からの評価や目に見える業績だけに「やりがい」を求めてしまうことは禁物です。自分なりに「理想の組織」「理想の人材」を考え、その理想と照らし合わせ、自分の仕事を自分で評価できるセルフモチベーション能力を磨くことのほうが、はるかに重要でしょう。
人事のキャリアは大器晩成型と心得る
人生経験を必要とする人事の業務は、その充実感が加速するのは30代後半からとも言われています。それだけに20代・30代のうちはコツコツと経験を積み、学び、人脈を広げる時間だと心得ておくとよいでしょう。
スペシャリストを目指すなら、他部署の知識も積極的に吸収する
人事のスペシャリストとしてのスキルを磨きたいと考えている人にとって、営業や広報など「他部署での業務」を経験することは、またとないスキルアップのチャンスです。
なぜなら、客観的立場で人事部門を見つめることにより、人事という業務が社内でどのような位置付けにあるのか、また人事に求められていることなどもはっきりと見えてくるはずだからです。
人事の仕事は、全社員と関わり、組織全体を見渡なければならない業務でもあります。そのため知識だけでは十分にフォローしきれず、年齢や経験を積まないとできないことも多いのです。
特に20代、30代のうちは、さまざまな経験を積み、知識を重ねることが重要です。
セルフモチベーション能力を磨こう
人事の業務は、短時間で成果が見えるような業務ではありません。
また、社員を採用するにしても、人事制度の構築にしても、「社員全員が納得し、満足する」ような結果を得るのは非常に難しいものです。「よくやったな」、「さすがですね」などと判りやすい言葉で誉められるような場面も、多くはないかもしれません。
しかし、他人からの評価や目に見える業績だけに「やりがい」を求めてしまうことは禁物です。自分なりに「理想の組織」「理想の人材」を考え、その理想と照らし合わせ、自分の仕事を自分で評価できるセルフモチベーション能力を磨くことのほうが、はるかに重要でしょう。
人事のキャリアは大器晩成型と心得る
人生経験を必要とする人事の業務は、その充実感が加速するのは30代後半からとも言われています。それだけに20代・30代のうちはコツコツと経験を積み、学び、人脈を広げる時間だと心得ておくとよいでしょう。
- 労務・制度 更新日:2016/01/04
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