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中小企業の中途採用課題を解決するコツ。採るべきは優秀な人材じゃなく“適切な”人材

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大規模で計画的な採用が行える大企業に比べて、中小企業の採用活動には多くの制限があります。

専任の人事担当者を常駐で置くのが難しい企業もあるでしょう。場合によっては経営者自ら採用の判断を一手に担っていることもあるかもしれません。業績や事業内容は魅力的なのにも関わらず知名度が低いために、なかなか人が集まらないとお嘆きの担当者もいることでしょう。いわゆる「人、モノ、カネ」の物量では大企業に勝てない現実ははっきりしています。

では中小企業は何をすべきなのか?少ないリソースをどこに割けば、ライバルに先んじて求める人材と出会えるのか?これを実現するためには中小企業に特化した採用ノウハウがあるのです。

ここでは、中小企業の採用担当者が抱える悩みに回答していく形で、採用を成功させるためのコツをご紹介していきます!

大企業と比べてリソースがない中小企業……。ならば、必要な人材“だけ”を狙い撃て!

【お悩み】採用活動に予算が回りません。それに大企業には知名度で勝てないので、実績のある人は全部大企業に取られちゃうし……。少ない投資で効率的に良い人材を確保する方法はありませんか?

【回答】採用活動単体で考えるのではなく、採用活動が自社のブランディングになるという発想も必要です。重要なのは、企業と応募者のマッチングですから、必要な適性を持った人材にアピールする方法を考えましょう。

大企業と同じことをしていても、人、モノ、カネの量で差をつけられてしまうのが中小企業の常。転職希望者を増やすためにはちょっとしたコツが必要です。大企業が大人数をふるいにかけるような確率論で採用を行うとすれば、その逆、つまり人数は少なくてもその企業にとって有益な人材、マッチングの高い人材を多く集め、そこからさらに厳選する少数精鋭の戦略をとるべきです。

そのために必要なのが、自社のブランディングです。ブランディングというと顧客や市場に向けてのアピールの側面が高いように感じますが、規模が小さくても優秀な人材が集まる企業は、外からその企業を見ていた応募者が感じる魅力と、応募者自身の特性、そして企業が求める資質がほぼ同じであるケースが少なくありません。こうした状況を偶然に頼るのではなく、企業側が主導権を持って積極的に作り出して行こうというのが、“採用活動に直結するブランディング”です。

アイデア勝負ということであれば、採用活動自体をニュースにしてしまうのもひとつの方法です。

例えば、株式会社サーチフィールドという企業では、会話型推理ゲームである「人狼」を新卒採用に導入しました。これは、グループ内でのコミュニケーションスキル、調整能力を持った人材を採用する意図があります。それ以外にも、株式会社フィナンシャル・エージェンシーは「いきなり電話をして質問する」という選考方法を行ったことがあります。これによって、突発的なハプニングへの対応能力があるかをチェックしたのです。さらに、株式会社サイバーエージェントは一定のプログラミングスキルを持っている学生を採用する意図から、書類選考の代わりにプログラムのソースコードの共有WebサービスであるGitHubを使用した選考を行っていました。

ユニークな福利厚生や社内制度、人材活用などが話題の企業が増えていますが、こうした企業を求める人材にとっては、そのニュース自体が採用活動の告知になります。

ひとつでも光るところがあれば知名度を上げることのできる世の中では「良い会社なのに知名度がないから良い人材が来てくれない」という理屈はもはや言い訳になりつつあります。会社の良いところ、求める人物像を積極的にアピールし、それに惹かれてやってくる人材にアプローチできるようにすべきです。

人事の手が回らないならば、“みんなの”手を回そう

【お悩み】採用活動を工夫する専任者が置けません。

【回答】社長以下、全社員が採用活動に関わる方法もあります。現場で一緒に働くメンバーだからこその視点もあるはず。人事担当としての専門性だけが求められるわけではありません。

「工夫や戦略を考える採用担当者を専任で置くなんて無理」という中小企業もあるでしょう。そうした場合は逆転の発想で、社長以下全員が採用担当者になるという手もあります。ここで言う担当者とは、採用の人事権を持った担当者という意味ではなく、「採用のプロセスのどこかに携わる人」くらいの意味で考えてください。

希望部署の社員が面接に同席してひとつは必ず質問する、人材の印象や感想を共有するといったルールを設けて運用すれば、採用活動のリソース不足の解消にもつながります。また、雑多な事務作業や応募者への対応に追われ、面接や人物の吟味に集中できない場合は、こうした業務をアウトソーシングして、社内リソースを人材選びに集中するという手もあります。

採用決定の際に全員が好きなことを言って、「船頭多くして船山登る」になってしまっては困りますが、こうした手法を採用するだけでも人事担当者の負担はずいぶん軽減され、採用活動を工夫しやすくなるはずです。

中小企業“的”人材かどうかを見極めることも必要

【お悩み】それでもやっぱり、応募者のエントリーシートを見ると寂しい気持ちになります。経歴を見る限り優秀な人材は他のところへ行ってしまっているようです……。

【回答】採用活動は採用したら「ハイ終わり」という性格のものではありません。採用後にやってくる本当の成功のためには、面接時のステータスより「職場で働き始めたときにどう力を発揮してくれそうか」を最大限に考えましょう。

仮に採用活動に力を入れていたとしても、学歴や経歴だけを見れば満点!と手放しで迎え入れられる人材は少ないかもしれません。会社の規模だけの話ではありませんが、大企業には大企業、中小企業には中小企業、それぞれに適した人材は、書類上のスペックも求められるスキルも異なります。

大企業では部門や部署を膨大に抱えており、それらの持つ役割は明確に決まっています。そのため、配属された人材はそのチームの仕事を正しくこなしていくこと、そしてベースとなる学力や知識が求められます。一方で、中小企業では組織ごとの仕事が明確に区分されておらず、1人あたりが受け持つ業務の種類は多種多様です。そういった業務形態にマッチした人材を採用するには、どのような手法をとればよいのでしょうか。

まずは、未経験の分野でも積極的にチャレンジする意欲、そして素直さを持っているかを確認しましょう。仮に面接時の段階で「必要とされる能力に足りていない」と感じるような人材であっても、このような要素を持っていれば間違いなく成長します。また、全社員が顔見知りで働くことになる中小企業では、成果も失敗も人の目につきやすいため、そういった環境で働くことに抵抗がないかも事前に確認しておくべきポイント。「社員同士の距離が近いですが、そういう文化には慣れていますか?」「もしも自分が仕事で失敗をした場合、他メンバーにその内容を知られるのは嫌ですか?」などの質問をし、相手の適性を見極めておきましょう。

優秀な人材よりも、適切な人材。求める人物のペルソナ設定を

【お悩み】採用しても定着率が悪かったり、期待したような成果が出なかったり。やっぱり優秀な人材が減ってきていると感じます。

【回答】先ほどから話に上っている「優秀な人材」については、頭の中で「適切な人材」と置き換えて考えると、採用の失敗が減るかもしれません。特に中小企業の場合は、学歴や経歴、肩書きなどよりも人材が必要な部署への適性を重視しましょう。

採用後によくあるのが、「入社後の働きぶりを見ていると、思っていた人材と違った」という失敗。ですが、採用を決めた人事担当者が、面接時に「必要な人材」を探していたかというと疑問が残ります。応募者の中から相対的に「優秀そうな人材」を選んでいなかったでしょうか?

ピンポイントで人材が必要になる中小企業では「適材適所」が採用成功への最大のポイントになります。そのためには、採用が必要な部署において求められる人材の「ペルソナ設定」を行うのが効果的。どのような性格で、どんな業務を得意としていて、何に興味があるのか。必要な人物像の見える化を行うことで、採用のミスマッチはグッと少なくなるのです。

「夏の火鉢、日照りの雨傘」

戦国時代の名軍師として名高い黒田官兵衛は家臣の登用と活用について、息子である長政にこんなアドバイスを送ったそうです。曰く「どんなに有能な人材でも使い方を誤れば、無能になる」。火鉢は寒い冬に、雨傘は風をしのぐのに使うべきだというのが官兵衛の言いたかったことのようです。中小企業の採用のコツも官兵衛の言葉通り。適材適所の人材採用こそ、成功への近道と言えるでしょう。

      • 人材採用・育成 更新日:2016/11/10
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