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実例に学ぼう!優秀なキャリア女性を中途採用するには?

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1986年に男女雇用機会均等法が施行されてから、多くの女性が大手企業の総合職で活躍しています。ところが、総合職として入社しキャリアを積んだものの、夫の転勤、出産など、さまざまな理由で求められる働き方ができず、離職する女性が少なくありません。

離職した後は、専業主婦となって家事や育児に専念する女性や、短時間のパート勤務に就く女性も多く、彼女たちのキャリアや専門能力が必ずしも活かされているとはいえない状況にあります。こうした能力の高い女性たちを中途採用することも、優秀な人材を集めるひとつの方法ではないでしょうか。
どうすれば離職した優秀な女性を獲得することができるのか、最近注目されている「高キャリア主婦と企業のマッチング」事例から、採用にあたって留意したいポイントをご紹介します。

なぜ続けられない?キャリア女性の悩み

内閣府の平成25年度男女共同参画白書によると、平成23年の総合職採用予定者に占める女性の割合は11.6%に達していますが、その一方で10年前に採用された女性総合職の離職割合をみると、男性の2倍以上に当たる65.1%となっています。さらに、10年前に採用された総合職の女性が既に全員離職しているという企業も48.9%に上っています。

男性同様に高等教育を受け、総合職としてキャリアを積んだ女性であっても、その半数以上が採用から10年を待たずに退職している状況です。

総合職の女性が仕事を続ける上で大きなハードルとなっているのが、出産・育児です。産前産後の休暇制度や育休制度が整っていても、いまだ多くの企業では残業が当たり前です。夫も同じような労働環境にある場合、育児の負担はどうしても母親である女性に偏りがちになります。ほとんどの保育園が19時までには閉所するため、残業を含めた総合職としての働き方ができなくなる女性が多いのです。

退職後も、育児をしながら自身のキャリアを持ちたいと職を求める女性は多いですが、保育園が預かってくれる時間しか働けないという時間の制約があるため、応募できる仕事は限られます。一般的な事務や単純なパート業務など、選択できる職種はキャリアを活かしてやりたい仕事とはミスマッチである場合も多いのです。

高キャリアの主婦を活かす!中小企業とのマッチング

こうした現況をとらえ、高キャリアの主婦と人手不足の中小企業をマッチングさせる「中小企業新戦力発掘プロジェクト」が注目を集めています。このプロジェクトは国の中小企業庁が推進しているもので、平成25年から始まりました。

出産・育児などで一度退職し、再就職を希望する主婦に職場経験のブランクを埋める機会を提供することが目的とされています。女性と中小企業・小規模事業者の間にコーディネート機関が入り、プロジェクトに登録する女性と人材を求める企業側のマッチングを図ります。国は、職場実習(いわゆるインターンシップ)の支援として、1日最低5,000円、最大7,000円の助成金を企業側に支給します。

最大3ヶ月の職場実習が可能であり、その間の費用は国が負担してくれるので、ブランクがあって昔のように働けるかどうか心配だという女性、欲しい人材が来てくれるかどうか不安な企業側、双方にとって利用しやすい制度になっています。

プロジェクトでは大手企業で実績や経験を積んだ女性が活躍し、企業側が想定以上の効果に驚く成功事例も出ています。

大手アパレル、ベテラン広報女性の活躍

大手アパレルで17年間広報を担当した女性は、社員5名の印刷会社で週3日、1日4時間のパートでありながら、会社の大きな力となっています。

この印刷会社は、新たな事業として特殊な印刷技術を用いた雑貨事業を立ち上げましたが、それを営業・販売促進するノウハウがありませんでした。そこで、国の新戦力開発プロジェクトに人材をお願いし、紹介されたのが人気ブランドのPR担当としての経験を積んだこの女性でした。
女性は第2子の出産を機に退職、その後同じ業界での復帰を目指して別のアパレル企業4社に応募しましたが、いずれも残業を前提とした仕事内容で、すべて不採用になりました。
そんなときにこのプロジェクトを知り、わらをもすがる思いで応募したと言います。

小さな会社で働くことへの不安もあったそうですが、実習期間を経てパート職員として採用され、前職での経験やノウハウを活かして積極的に仕事をこなしています。例えば前の仕事で取引のあった女性雑誌に、新商品のギフトボックスを紹介してもらえないかと交渉する、というように、広告・宣伝費をかけられない小さな企業にとって大きな助けとなるアイデアや行動力で、即戦力として活躍しています。

マッチングで新たなビジネスも!高キャリア主婦の派遣業

国のプロジェクトだけでなく、高キャリア女性と企業とをマッチングさせる新しいビジネスも登場しています。ある派遣会社は、前職で年収500万円以上だった主婦の派遣を開始しました。これまでに400名以上の登録者を集め、人事、経理、IT技術など専門能力の高い人材をそろえています。

主婦の時給は前職の年収に応じて決められますが、ほとんどの主婦がフルタイムではなく、1日数時間の労働で週に3~5日の勤務を希望するので、企業側は専門的なスキルを持った人材を20万円代で雇うことができます。派遣社員の期間における実績が認められれば正式に短時間勤務の正社員として中途採用されるケースも多いと言います。

主婦と企業を派遣会社がコーディネートすることにより、キャリアを活かせる職に就きたいと思いながらも希望する求職情報がなかなか見つからなかった主婦、そして即戦力となる人材を低い人件費で獲得したい企業、双方のニーズを満たすビジネスとなっています。

求められているのは「短時間に集中した」働き方

派遣社員を経て短時間勤務の正社員として働くある女性は、「1日5時間、週4日の勤務であっても、フルタイム職員の70~80%の成果が出せるような働き方を目指しています」と語ります。たとえ短い時間であっても、高キャリアのノウハウと集中力で成果を上げることは可能だと、彼女たちが証明しています。

時間の制約を前提に能力が活かせる働き方を提案することは、優秀な人材の活用につながるだけでなく、フルタイムで働く職員への刺激になるかもしれません。職場全体が効率的な働き方を模索する、ひとつのきっかけにもなるのではないでしょうか。

  • 人材採用・育成 更新日:2015/05/19
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