社内不倫に対して、人事がすべき予防策と問題発覚後の対応策
まず大前提として「社内恋愛」は、それ自体普通であれば人事がわざわざ当人たちに口を出すような事柄ではありません。なぜなら恋愛は個人の自由であって、それを会社が管理・制限することがあってはならないからです。
次に「社内不倫」についてはどうでしょうか?こちらも、基本的には大人同士のプライベートな恋愛事情によるものなので、人事から積極的に介入していくのは不自然です。ただし「不倫」は民法上の不法行為に当たるため、会社内の業務に持ち込まれると、トラブルの温床になりやすいのです。「社内恋愛」とは違い、場合によっては当事者たちの動向を注意深く見ていく必要があります。
そして「社内恋愛」「社内不倫」いずれの場合においても、会社に不利益が発生した場合は、話が違ってきます。以下のような場合は、見ているだけではなく、トラブルが大きくなる前に人事として積極的に何らかの対策を打たなければなりません。
社内での恋愛や不倫については、その当時者は大抵の場合、周りに波風を立てたくないため、積極的に二人の関係性を自分たちからひけらかすようにアピールするケースは多くはありません。
にもかかわらず「社内不倫」や「社内恋愛」について、その事実が当事者以外に知れ渡り、彼らと直接関係のない人事部の耳にも入るような状態になっているということは、彼らに近い部署の従業員たちは、その関係性をほぼ全員が知っているとみなしたほうがよいでしょう。いわば、脇が甘いわけです。したがって「社内恋愛」はともかく、社内で誰しもが公然の事実として知っている「社内不倫」については、基本的には何らかの問題が発生している可能性があると疑ってかかったほうがよいのです。
ですから、まずは人事部として問題のありそうな社内恋愛・社内不倫関係の情報を掴んだ時は、状況に応じて事実関係について彼らの周囲や上位職の従業員からヒアリングを行ったほうがよいかもしれません。そして調査した結果、会社への不法行為や生産性の低下が見られた場合は、具体的な対策を検討していくことになります。
問題の「予防」と言っても、有名なアイドルグループのように「恋愛禁止」を就業規則に盛り込む、といった直接的な対策ではありません。厳密に言うと就業規則に「恋愛禁止」を明記すること自体は問題ありませんが、法律上無効なため、恋愛禁止条項を根拠に処分するのは不可能ですし、率先して社内恋愛や社内結婚を推奨している企業があるのも事実です。
また、恋愛禁止を押し付けると、社員の間に余計な反発や不満を発生させるだけとなります。会社という場は、人間同士の関係性が濃密になる場でもあるので、その中で自然に発生する恋愛感情を止めることはできないと考えたほうがよいでしょう。
ですから、この場合の「予防」とは、もし問題が起こった場合、人事として対策を打ちやすくするための事前準備をする、という意味になります。具体的には、以下の3点を実施していくとよいでしょう。
- 労務・制度 更新日:2018/09/11
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