既卒者採用について考える
「既卒3年以内は新卒枠で応募受付を!!」と厚生労働省が雇用対策法に基づき「青少年雇用機会確保指針」に追加したのが2010年11月。以降、現在までの8年間で就職環境は大きく変化しています。2018年3月の大学生の就職率は98.0%と過去最高となりましたが、2011年卒当時の就職率は91.0%と2018年卒より7.0ptも低く、(※1) 2011年3月の大学卒就職希望者数約36万7千人のうち内定者は33万4千人程で3万人強の大学生が未内定卒業者という、就活生にとっては大変厳しい環境でした。(※2) 現在はというと大学卒の内定率は98.0%、未内定卒業者の数は推定値ではありますが1万人を切っています。(図1) そうした就活生にとって厳しい環境であった2012年よりマイナビでは既卒者の活動に関する調査を始めました。今回のコラムでは調査開始当時からの経年変化も見ながら、既卒者採用について考えていきます。
(※1 厚生労働省・文部科学省:大学等卒業者の就職状況調査(4月1日))
(※2 文部科学省:「学校基本調査」の大学卒業者数および、上記「大学等卒業者の就職状況調査(4月1日)」における大学卒の就職希望割合と内定率から算出)
現在、既卒者の応募受付企業は増加し、採用意欲も「エントリーがあれば積極的に採用したい」と以前より高まりを見せています。それでも既卒者の状況は新卒のカテゴリーで「新卒の既卒者」として就職活動を行う者が多いものの、内定率は50%に届かず伸び悩んでおり、現役学生のそれとは大きな差があります。
この差を埋めるために考えられることは、企業側においては、既卒者を採用していることを上記のような就職サイトでのアプローチや企業ホームページに明示する等して、既卒者に門戸を開いていることをよりアピールすることでしょうか。
既卒者は、新卒のカテゴリーに囚われず、転職サイトを利用するなど転職者としての活動も積極的に行っていくことも必要に思えます。転職サイトというと経験が乏しい(未経験)だとエントリーしづらいのかもしれませんが、現在転職サイトにおいて未経験可の企業は思っている以上に多く採用意欲は高そうです。既卒者だからこそ、いろいろな入り口からアプローチが可能なのです。
以前に比べ新卒と既卒者における就職活動を行う上での垣根は低くなっており、これは、「30歳までは、新卒扱いとする」企業や「通年採用を行う」企業の増加が少なからず影響を与えているとも考えられますが、今後、新卒採用のスケジュールがどう変化していくにしても、企業が新卒採用を行っていく上では改めて既卒、新卒の定義を見直し、企業と応募者とのマッチングの精度を上げる必要がありそうです。既卒者側としては新卒だけの活動に留まらず、既卒としての立場を活かした企業へのアプローチを行っていくことが肝要なのではと思います。皆様どう思われますか。
- 人材採用・育成 更新日:2018/10/31
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