制作会社における新卒採用のあり方~マイナビ初利用年の成果と課題について~
求める学生に出会うためには、何が必要か。もちろん広告を使えば、すぐに母集団は形成できるでしょう。当社の言葉で言えば、すぐに効果が出るという意味で「焼き畑」です。しかしながら、まずは現場を見てみようと、考えうる大学や専門学校へ足を運びました。
例えば4年前の2016年、東京工芸大学のケースです。まずはメールで面会の機会を頂き、情熱をもって会社を紹介しました。熱意が伝わったのか、締め切った合同説明会に参加させてもらう機会を得ました。その後、定期的にお声がけいただくようになりました。
キャンパスに足を運ぶ、学生を見る、学食に行く、キャリアセンターの方と膝を突き合わす。一見、無駄や遠回りに見えるかもしれません。しかし、学生や学校へは、どれだけ関心があるかを示す本気度の現れになったと思います。
そんな草の根運動を地道に数年続けると、今度はキャリアセンターの方から直接お声がかかるようになりました。「今度、合同説明会があるので参加してほしい」、「卒業制作展に講評に来てほしい」、「インターン生を紹介したい」などです。
中でもデジタルハリウッド大学とは、5年の月日をかけ定期プロジェクトを作り上げました。「企業ゼミ」といって、季節ごとに数十社が学生にゼミの説明を行い、学生が聴講したいゼミにエントリーし、授業、ワークショップなどを通して単位を取得するものです。私たちはこのゼミでの講演を、2015年から8回継続で担当しています。その成果が実り、このゼミを聴講した2年生、3年生がすくすくと育ってインターンに応募してくれ、さらに就職活動でも当社を志望、晴れて入社し、OBOGが増えてくるまでとなりました。
また副次的な効果として、これまで代表含む5名の社員が登壇することになったため、この活動に対する社内の認知度が上がり、インナーブランディングとしても効果を発揮しています。
採用活動全体で9名の内定者、うちマイナビからの採用は4名の採用となりました。残りは学校説明会、リファラル等です。
3月に代表から発せられた一言は、「マイナビ(集客)凄いね」。こうして6月までは順調に母集団を形成し、説明会、面接までつなげることができました。内定も出し始めたころ、上位表示のオプションを使ったことで、たくさんの学生へ当社を知ってもらうことができました。定量的な成果はもちろんのこと、なによりこれまで出会えなかった大学、学部、西日本の大学生と面談できたことは大きな成果です。
一方、課題としては、説明会予約は20名弱と毎回定員いっぱいなものの、直前となるとキャンセルや無断欠席が目立ち始めました。多い時は7割キャンセルという回も。出席へのリマインドメールを事前に複数出すことで、無断や直前のキャンセルを減らすことはできましたが、今後も何らかの改善策が必要です。
また、今期の内定辞退は1名と少なかったものの、当社が第一志望であるよう他社との差別化をどのように図るのかは継続した課題であると考えています。
当社の業界では、SNSやゲームなどを志望する学生も多く、ウェブサイトを作りたいという学生は今後より少なくなると予想しています。さらにテクノロジーの進化により、ウェブデザイナーやフロントエンドエンジニアといった職種は、不要となる時代が来るかもしれません。一方、老若男女がスマホを持つ時代となり、スマホは日常と切り離せない存在、そのスマートフォンサイトのビジネスへの有用性は重みを増すばかりです。
変化の激しい中であっても、当社は、学生に対して早くから制作の考えを理解してもらう場を設け、ミスマッチを最小限にするためインターンシップを経験してもらい、「1校1名採用」という目標にそって地道な活動を続けています。前述した、すぐに成果に結びつかないかもしれない「放牧」です。
並行して、24時間稼働するウェブ媒体の集客力もこれまで通り必要となってきます。また、現在は未着手でありますが、ダイレクトリクルーティングや動画の活用なども取り入れていく必要があるかもしれません。これらはすぐ結果の出る「焼き畑」です。そして「放牧」と「焼き畑」の割合は、時代に応じて最適解は変動するため、個別の見直しが常に必要です。採用は人事のみでは到底なし得られず、代表や現場を巻き込み、常にインナーブランディングしていく必要があります。
- 人材採用・育成 更新日:2020/04/03
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