リモートワークの弱点を克服するface to faceでコミュニケーションを活性化!
当社はリモートワークを実施していますが、基本的にオフィスに出社することを推奨しています。理由としては、仕事をするための環境設備が整ったオフィスに来たほうが生産性の向上を見込めるからです。例えるなら、スポーツジムのようなもの。ランニングマシーンやダンベルが備わっていて、トレーニングを伴走してくれるトレーナーがいる。そして、周囲にいる人たちも筋トレをやっているから、心理的にサボりにくい空間です。まさにオフィスはこの状態に近い。ただし、オフィスワークを強制してしまうと、時として勤務が難しくなってしまう社員もいるため、柔軟に選択できるようにしています。
一方で、恒常的な在宅ワークやリモートワークは、自宅での筋トレと同じ。最初は「よしやるぞ!」とスタートして何日かは続けられますが、それをストイックに継続できる人は限られてしまいます。なぜなら、自宅は寛ぐのに最適な環境になっているから。そういう意味では、在宅ワークやリモートワークに向いている人は、自宅での筋トレが継続できる人だと言えます。
恒常的に数ヶ月以上が在宅メインで、たまにオフィスに来る働き方を望む社員がいた場合は、段階を経てジャッジするようにしています。まずは1ヶ月から3ヶ月トライしてみて、それでもパフォーマンスが落ちないような働き方ができれば在宅ワークを許可する。また、条件として家に仕事部屋をつくることや、ネット環境を整えてもらうようにお願いしています。
広島や山口、鹿児島にも当社の在宅スタッフがいます。そのような拠点のないエリアの方を採用する場合は、在宅を前提とした働き方になりますが、最初の1ヶ月から3ヶ月はこちらが出張費や宿泊費を出してオフィスに出社してもらう。そして、face to faceのコミュニケーションを行った後に、リモートワークへと切り替えるようにしています。
アナログなface to faceのコミュニケーションを最初に行う理由は、コミュニケーションコストを上げないためです。リモートワークに必須となるチャットやビデオ会議などのコミュニケーションは、相手のパーソナリティを想像できないという欠点があり、どうしてもコミュニケーションコストが上がってしまう。そのため、まずは顔合わせをしっかり行った上で、お互いのパーソナリティを理解してリモートワークを開始する。この流れが最も効率的というのが私たちの学びです。
商談などでも同じことが言えます。お会いしたことのない方とチャットで商談することも時にはありますが、一度face to faceのコミュニケーションが図れていると相手のパーソナリティを理解できるため、より良い関係構築ができる。このように、まずは対面でのコンタクトをとり、次回以降はチャットやビデオ会議などのコミュニケーションで効率化を図るという順番で進めることが大切です。
私たちが支障なくリモートワークを実施できているのは、リモートワークが日常茶飯事という環境づくりにあります。例えば、会議をする際にリモートの方が毎回参加している状態にするのです。日常的にその状態が当たり前になれば、特別視することも無くなります。これが、たまに参加する程度になってしまうと、接続方法を忘れてしまったり、会議を始めるまでに時間が掛かってしまったり、無駄なコストが増えてしまいます。
また、久しぶりで慣れていないと、会議自体もリモートの方をそっちのけで進行して、後ほど議事録を共有するというやり方が常態化してしまうケースもある。その場合、リモート側が得られる情報量が減るだけではなく、会議の中で意思決定に参加できなくなってしまうため、なるべくハードルを下げることが大事です。
他にも、自席会議を頻繁におこなっています。今では多くのパソコンにカメラ機能がついていますし、イヤホンマイクも全員に支給しているので、オフィス内にいる社員も会議室には行かず、自席でビデオ会議をよくしています。内線のような感覚で、急に隣のデスクにいる社員がビデオ会議を始めるというシーンも私たちの中では日常的なこと。
これによって、会議室が空いていなくても、ビデオ会議をするという選択肢が生まれます。物理的に会えない時にリモートでコミュニケーションを図るという習慣の第一歩として、他の企業でも十分にできることだと思います。そのためには、カメラ付きのノートパソコンやイヤホンマイクを全員に支給して、ビデオ会議をおこなう社内ツールが統一されているなど、ハードウェアやワークフローをシームレスにしておくと理想的です。
隅々まで監視しようとすると難しいので、私たちの場合は性善説で勤怠を入力してもらっています。これを性悪説で行った場合、すべてのパソコンに監視ツールを入れて常にチェックをすればできるのかもしれませんが、管理コストが相当かかってしまう。当社は従業員が100名の上場企業ですが、リモートワークをしている社員の働き方や状況については、マネージャーが把握しているので問題なく管理できています。
もし、アウトプットの頻度やパフォーマンスが悪ければリモートワークを終了すればいい。実際に、在宅でのリモートワークが禁止になった社員もいます。オフィスではなく在宅ワークをすることで、生産性が上がるという前提がある中で、生産性が落ちてしまっては意味がありません。そこはしっかりと線引きすることが重要だと考えています。
face to faceのコミュニケーションは創業期から大切にしていて、当時は東京に3名と大阪に5名の計8名という人員構成でしたが、リモートだと価値観の共有などがとても難しかったのです。そのため、3ヶ月に1回のペースでよく合宿をしていました。今でも出張や合宿は推奨していて、1泊2日でワンチームごとに実施しています。チャットを運営する会社ということもあって、よく「コミュニケーションはチャットになっていくのでしょうか?」と質問されますが、大事なのは“使い分け”だと思っています。
チャットはとても便利ですが、相手の表情やボディランゲージ、言葉の抑揚が伝わりにくいのです。特に、エモーショナルな情報伝達は難しいので、対面とリモートを使い分けるようにしています。例えば、キャリアの相談やプロジェクトのキックオフ、打ち上げなどはface to faceのコミュニケーションをしましょうと伝えています。それ以外の、報連相のような情報共有はチャットを使うなど、アナログの時間を最大化するためにデジタルを徹底活用する、という考え方です。
雑談する時間を意図的に増やしています。例えば、朝礼では仕事以外の話を持ち回りで発信するというのをずっと続けています。内容は、先週末に行った場所の話だとか、趣味の話、子どもの話など。私たちはそれをアップデートする自己紹介と名付けています。最近ハマっているゲームの話をすると、同じようにそのゲームをやっている人が話しかけるきっかけをつくれる。つまり雑談のきっかけづくりになるわけです。
なぜ雑談が必要かということ、これもコミュニケーションコストが下がるからです。例を挙げると、家族とするメッセージの送受信は短くなるという法則があります。今から帰るとか、了解とか、今日ご飯いらないとか。これを知らない人に送ると、何だか怒っているのかなとか冷たい人だなという印象になってしまう。要は、相手のパーソナリティが分かっているとコミュニケーションが短くて済む。さらに、相手の気分を害させることも減り、ネガティブな人間関係が形成されることも防げるので、社内にポジティブな空気感を醸成できることにも繋がるという好影響をもたらしてくれるのです。
リモートワークで難しいのは、生産性が落ちる可能性があることと、アナログなコミュニケーションが減ってしまうことだと言えます。だからこそ、その課題を払拭する仕組みづくりを会社としておこなう必要があります。デジタル化が進む中で何もしなければ、確実にface to faceのようなコミュニケーションをしなくなっていくので、いかに意図的に作り出せるかが重要。
オフィス環境では、コミュニケーションスポットをつくることもおすすめです。当社の場合は、オフィスの真ん中にバーカウンターをつくって、他部署の社員たちが顔を合わせるスポットを意図的に設けています。月に1回、スタッフがバーテンダーになってお酒をつくってくれるので、帰り際にちょっと立ち寄って様々な社員がそこでのコミュニケーションを楽しんでいます。また、デスクもレイアウトを柔軟に変えられるようにローラーを付けました。組織の型に人をはめるのではなくて、今いる人で組織を設計するほうが、さまざまな働き方ができる今の時代に合っているように思います。
- 労務・制度 更新日:2020/03/26
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