賞賛⽂化がもたらすチームワーク⼒
Uniposの原案となる仕組みは、親会社であるFringe81(フリンジハチイチ)の社内制度でした。私が入社した当時は従業員数30人くらいだったので、まだ誰が何をやっているのかが分かるフェーズでした。そこから確実に人数が増えていくことが分かっている中で、各セクション全員が支え合った結果として事業や組織が成長しているという実感値を持ち続けて欲しいと思い、その時にはじめたのが、本当にアナログなんですけど今月活躍した人は誰かを書いて段ボールに投函してもらう「発見大賞」という制度。最初はFringe81の代表がオフィス内をまわり回収していました。その結果をもとにみんなで投票して、最も票を集めた人がサイレントヒーローとして表彰されるという流れ。発見大賞として選ばれることはもちろんですが、その時に感謝のメッセージをもらえることがすごく嬉しくて。この体験って、もっとリアルタイムに高頻度でやってもいいのではと思い、仕組みを洗練させていった先にシステム化したものがUniposです。
GoogleDocsで始めたのですが、いつでも投票していいよと投げかけてもなかなか集まりませんでした。そこから試行錯誤して、みんなが見られるタイムラインにしたり、ポイントを集めたらCEOとご飯を食べに行けるという特典も試みたのですが、あまり良い結果は得られず。一番わかりやすいのは何だろうと考えた時に「お金」を取り入れてみたのです。これがピアボーナスという考え方。そうしたら感謝の投稿がFringe81の中でも活性化しはじめて、これは面白い!とブラッシュアップを重ねていきました。もともと事業になるかもしれないと思っていたので、ある程度完成してきたタイミングでクローズドβ版の頃にティザーサイトをつくり、SNS上で拡散して先行登録を受け付けました。すると、2週間で約200人の経営者さんから興味があると問い合わせがきて、そこから本格的にご導入頂く企業様が拡大していきました。
本当に数人の組織でない限り、ひとりひとりの行動や良いことを隅々まで把握するのは難しいですよね。そこに賞賛文化があれば、「こんな貢献をしてくれていたのか」「うちのエンジニアはめちゃめちゃ面白いことにチャレンジしているな」など、部署の垣根を越えて知ることができ、賞賛を届けることができます。例えば、従業員の方が「自分ひとりが仕事を抱えているわけじゃないんだ」とか、「自分の仕事を認めてくれる人がいる」と実感する機会が増えることで、組織内の信頼関係がぐっと強くなり、チームワーク力も生産性も向上します。それを確信したのは、ある企業様でUniposを導入いただく前に「自分ひとりで仕事を抱えていると感じる方はどのくらいいるか」をはかるアンケートを実施させていただいた時のこと。週に1~2回は感じるという方が16%以上いらっしゃったのですが、導入して3ヵ月でその割合が6%になったのです。つまり、結果として94%の方がみんなで仕事をしていると実感できるようになったということ。これこそが賞賛文化がもたらす好影響だと思います。
そうですね。小さな賞賛は日々あったとしても、それが見えないから知らないだけという方も多いのだと思います。うつむいて仕事をしていたり、誰の役に立っているかの実感がないまま仕事をこなしている人たちが、賞賛文化によって自分の貢献度を知り、誰かの役に立っている、認められている、期待されていると実感している状態になれば、もっと活力をもって仕事を楽しみ誇りをもてるようになるはずです。また、そのサイクルができることで、知恵やノウハウの共有が自然と育まれ、部署をこえたコラボレーションが生まれやすくなりますし、実は“感謝をする”という行為が相手への感情の棚卸になって「自分に対してこんな貢献をしてくれた」と改めて実感できる。そして、もっとこの人にGIVEしようと思えるようになります。私自身も、感謝をされるよりも実は感謝をすることのほうが、幸福感に繋がるのだなということを実感しています。
そう思っています。少し前から働き方改革などが注目されていますが、個人の生産性をあげるために、無駄を廃止しましょう、時間を削減しましょうという文脈が多い中で、忘れてはいけない重要な要素が従業員の「働き甲斐」です。Uniposを導入したことで賞賛文化を得られたとある企業様は、定期的に行っているエンゲージメントサーベイの結果を見た時に、導入してから明確に3つのスコアが上がっています。1つ目は、「日々の仕事を承認されているという実感」、2つ目は、「他部署との連携が増えている」、そして3つ目は「自組織やチームがやっている仕事に対して誇りが持てるようになった」という結果でした。従業員エンゲージメントが高まることで、定着率も向上するという相乗効果も得られます。
Uniposをご導入いただいている中で、創業明治19年の株式会社カクイチという企業様がいらっしゃいます。133年の歴史をもち、グループ従業員数は600名ほど。全国に100拠点を展開しており、その内100人規模のチーム毎にご導入いただいています。事業内容はガレージ・倉庫・物置事業や国内・海外樹脂ホース事業、ミネラルウォーター事業など複数あります。そのため、例えば同じ営業職だとしても、売っている地域が違ったり、別のモノを手掛けている技術職の方たちが存在しているということになります。その環境下で、ひとつの地域やチーム内の従業員同士がUniposを送り合うと、他の地域にいる同職種の従業員の方が「なるほど、そういう工夫をして成果に繋がっているのか」というナレッジを知ることができるわけです。そして、そのナレッジを自分の仕事に取り入れることで新たな成果が生まれる。賞賛文化から発生した、新たなチャレンジやコラボレーションに繋がるとても良い効果事例だといえます。
長くご利用いただいている企業様からはUniposが企業の「文化」になっているという声を頂いています。また、運用の面においても月に一度の表彰制度に結び付けているという企業様もいらっしゃいます。従業員の方たちに関しては、時間が経つにつれて無理に使わなくなってくる傾向があります。これは、月に6~7割くらいの方が使われている状態。つまり、感謝する出来事があったらUniposを送ろうという第一想起になっている状態です。感謝の内容も文章量・質がより濃くなります。縁の下の貢献に対する感謝は、日々小さいものはありますが、みんなにアピールしたいエピソードはそこまで頻繁にあることではありません。導入当初は“言う”ことが目的で、徐々に“伝える”ことが目的となるイメージです。時間経過と共に使い方が変わってくるところが面白いですね。
- 労務・制度 更新日:2020/02/10
-
いま注目のテーマ
-
-
タグ
-