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マインドフルネスとは?企業の導入メリットや実践の仕方を解説

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ストレスの多い現代社会でにおいて、心のケアはとても大切です。
そこで注目を集めているのが「マインドフルネス」です。当記事では、医療や福祉の現場で取り入れられ、海外や日本の企業でも取り組みが始まっている「マインドフルネス」の効果、やり方、メリット・デメリットについて解説していきます。

マインドフルネスとは

マインドフルネスとは「今、この瞬間の体験に意図的に意識を向け、評価をせずに、とらわれのない状態で、ただ観ること」です。
わかりやすく説明すると、「今の気持ちや身体的状況を受け入れる心を育む訓練」になります。雑念を捨て、五感に意識を集中させ、ありのままを受け入れる心の育成が“マインドフルネス”です。

マインドフルネスが注目を集める背景

「マインドフルネス」が世界的に注目を集めるようになった背景は、マサチューセッツ大学医学校名誉教授ジョン・カバットジン(Jon Kabat-Zinn)博士が提案した「マインドフルネス・ストレス低減法」に端を発します。
このストレス低減法は、「マインドフルネス瞑想」という瞑想を取り入れたのプログラムの形で医療分野での導入が始まりました。
この「マインドフルネス瞑想」の実践により、患者の免疫力の向上やストレス耐性の向上などの効果が期待できるとした、臨床研究が発表されています。

医療業界以外では、グーグルをはじめ、アップルやフォードなどの米国の大企業でも社員のメンタルケアの一環としてマインドフルネス瞑想が導入されています。
また、日本では、2016年にマインドフルネスが、NHKの番組で取り上げられたことをきっかけに、より多くの人に知られるようになりました。

マインドフルネスによる心理療法

マインドフルネスによる心理療法は、複数の瞑想方法を用いて、不安やストレスを軽減し、心を整えることで身体的な調子も改善していく治療法です。主な治療方法は以下の2つがあります。

マインドフルネス・ストレス低減法(MBSR:Mindfulness-based stress reduction)

8週間のプログラムをグループ形式で行う治療です。参加者は毎日瞑想を行い、後述するボディスキャンや呼吸法、ヨーガ瞑想などの5種類の瞑想を行いながら、自分と向き合いストレスを軽減していくプログラムです。

マインドフルネス認知療法(MBCT:Mindfulness-based cognitive therapy)

オックスフォード大学臨床心理学名誉教授マーク・ウィリアムズ博士らが提案した、うつ病の再発予防を目的としたプログラムです。
うつ病の再発予防を目的としているため、自分と向き合い、否定的な思考の癖を発見して、うつ病再発のサインを理解し、うまく対処できるような力を身につけることに焦点をあてています。

マインドフルネスによって得られるメリット

マインドフルネス瞑想をおこなうことによって、計測可能な脳への良い変化が確認された研究結果をハーバード大学が明らかにしています。発表している「The Harvard Gaete」では以下のように記されています。

「8週間のマインドフルネス瞑想プログラムによって、記憶・自己認識・共感・ストレスに関係する脳の領域に計測可能な変化が生じていることがわかった」

「瞑想の実践は平穏と身体的なリラックスに関連しているが、瞑想を実践してきた人たちは、認知的・心理的な効能が1日を通して継続することを長く主張してきました。今回の研究は、脳の構造的な変化が報告の根拠となること、そしてただ単にリラックスの時間をとっていることにより気分が良くなっているだけではないということを証明していします」

以上のことからマインドフルネス瞑想によって「集中力・記憶力の向上」「ストレスの軽減」といった効果が期待できるとしています。また、心に余裕ができることで相手のことを広い心で受け止められるようになり、人間関係が良好になるといったメリットもあります。

集中力・記憶力の向上

マインドフルネス瞑想では、「集中力の向上」が期待できます。目を瞑ってマインドフルネスの世界に入っていく行為は人が集中力を発揮する状態と似ているからです。集中力の高まった結果として、記憶力の向上も期待できます。

ストレスの軽減

日々の仕事や生活の中で感じているストレス。多くの人が根本的な原因と向き合うことなく、ストレスを抱えたまま過ごしています。マインドフルネス瞑想では、自らの心と向き合うことでストレスの原因と向き合い、溜まっていたストレスを解放することで、気持ちを軽くしストレスを減らす効果が期待できます。

良好な人間関係

自分の心と向き合うことで心に余裕が生まれるマインドフルネスは、自らを見つめ直すことで感情のコントロールができるようになります。そして、感情をコントロールするスキルを身につけると、相手の気持ちの理解もできるようになります。、一方的な感情でぶつかることがなくなり、相手の考えを受け止め、良好な人間関係を築いていくことができるようになります。

マインドフルネスによるデメリット

マインドフルネスを実践していく上で、デメリットもきちんと理解しておかなければなりません。より効果的にマインドフルネスをおこなっていくために、どのようなデメリットがあるのか見ていきましょう。

自己肯定感の低下

マインドフルネス瞑想をおこなうには、日々の生活の中で取り組む時間を確保しなければいけません。しかしながら、意外と継続できずに挫折してしまう方がいます。そのため、ネガティブな感情が生まれてしまい、「自分は継続することができない人」という自己否定の考えになってしまうことがあります。確かにマインドフルネスの効果を実感するためには継続することが大切ですが、毎日やることが重荷になってしまい、自己肯定感を低下させてしまっては意味がありません。ストレスを増やさないためにも、うまくできないときは中止し、義務化しないようにしましょう。

瞑想への依存

自分自身の心と向き合うことでストレスなどから解放されるマインドフルネスですが、あまりに頼ってしまうと依存状態に陥ってしまう可能性があります。「今日感じたストレスを解放するために瞑想しなければ」、「この悩みを解決してくれるのは瞑想しかない」といった思い込みが原因で、自分の世界に逃げ込むようになってしまう場合や、瞑想に深くはまり過ぎて妄想に囚われ「禅病」と呼ばれる体調不良を引き起こしてしまう場合もあります。マインドフルネスに頼りすぎないことを意識して、ひと時ときのリラックスとして楽しむようにしましょう。

マインドフルネス瞑想に向かない人がいる

マインドフルネス瞑想は、誰にでも効果が期待できる方法ではありません。前出のように瞑想が深く入りすぎて、「禅病」を患ってしまうこともあります。
過去の嫌な体験のフラッシュバックが起きてしまう、不安が膨らんでイライラしてしまう。こんな症状が出た場合は、瞑想を速やかに中止しましょう。

マインドフルネス瞑想のやり方

マインドフルネス瞑想には、いくつかの方法があります。ここでは、誰もが気軽にできる代表的な瞑想方法の「呼吸瞑想」と「ボディスキャン」を紹介します。

座って呼吸に集中する「呼吸瞑想法」

呼吸による瞑想法は「今ここにいる」ことを意識できる最も簡単な方法です。呼吸は、意識でコントロールできる唯一の自律神経であり、これを自分の意思で操作させることで、脳神経を刺激し、体調へ影響を与えることができると考えられています。

座って呼吸に集中する瞑想法のやり方

(1)イスに姿勢を正して座る
  • 軽く目を閉じる
  • 座骨をしっかりと座面につける
  • 座るときに腰骨(仙骨)を立てる(骨盤が垂直なイメージ)
(2)呼吸(3分〜15分ほど継続)
  • 「ふぅ〜」と息を吐ききる
  • 「すぅ〜」と息を吸う
  • 自分の意識を呼吸に集中
  • 鼻から出入りする空気の流れのみに注意を向けよう
  • オススメは腹式呼吸ですが胸式呼吸もOK
(3)意識を自分に戻す
  • 呼吸に集中させた意識を自分に向ける
  • ゆっくりと自分に意識を戻す
  • 少しずつ目を開けて瞑想を終了へ

呼吸瞑想のポイント

短い時間でも毎日続けて行うことが大切です。また、瞑想中、雑念がよぎっても気にせずに、改めて呼吸に意識を集中するようにしましょう。

ボディスキャン

ボディスキャンはリラックスを目的とした瞑想法です。普段の生活では意識しない体のパーツへも意識を向けることで深いリラックス効果を感じることができます。それでは、どのような順番でおこなっていくのか解説していきます。

ボディスキャンのやり方

(1)姿勢を正して座るor立つ
  • 軽く目を閉じる
  • 座るときに腰骨(仙骨)を立てる(骨盤が垂直なイメージ)
  • 立つ時は肩幅程度の広さで
(2)つま先から頭に向かって体の感覚を確認
  • 深く呼吸をする(最後まで継続)
  • 足に意識を向ける(足裏・つま先・かかと・足首・足全体の筋肉をほぐれるイメージをする)
  • 足から膝に意識を移動させる(各パーツ、膝全体の筋肉をほぐれるイメージをする)
  • 膝から腰、背中、お腹、肩、腕、首、頭へと意識を移動させる
  • 各パーツ・周辺のパーツに意識を向けた際に、足や膝のようにほぐれるイメージをする
(3)緊張・不快感を見つけたら外へ吐き出す
  • 緊張による食いしばりで顎が疲れていた
  • 睡眠不足によって目の周りが重い
  • 過度なストレスにより肩に力が入り続けていた
  • 上記の情報を発見したら呼気と一緒に外へ吐き出すことをイメージする(繰り返す)
  • 一つひとつのパーツの緊張・不快感を緩和させていく
  • 体からゆっくりと自分に意識を戻す
  • 少しずつ目を開けてボディスキャン終了へ

最後まで深い呼吸を続け、ボディスキャンをおこなっていきます。ふだん意識を向ける手や顔だけではなく、例えば髪の毛や毛穴、皮膚にまで意識を向けていくことが大切です。そうして緊張や不快感を一つひとつ緩和させていくことで、深いリラックス効果を感じることが期待できます。

ボディスキャンのポイント

全身をくまなくスキャンをしていくには慣れるまで時間がかかる場合があります。十分な時間がとれない場合は、今日は「頭から首」、今日は「肩や手」だけなど、部位を決めて行っていく方法もあります。

マインドフルネスを導入している企業

業務時間に瞑想の時間を設置

大手電子機器メーカーのAppleでは、社内に瞑想ルームを設置、業務時間の30分を瞑想時間にあてることができる制度を設けています。また、創設者のスティーブ・ジョブズは瞑想を好んで実践していました。

マインドフルネスで人材を育成

大手ポータルサイトを運営するヤフー株式会社では、マインドフルネスを通して、個々の社員が自分を客観的に観る視点を身につけ、結果として、組織にポジティブな影響を与える人材を育成することに役立てています。

生産性向上を目指し、マインドフルネスを活用

名刺管理アプリ大手のSsansanは、全社員を対象にマインドフルネス研修を実施、心身の健康や自己認識力を向上させて、ビジネスでのアウトプットの質を高めることを期待しています。

マインドフルネスの実施で社員に活力を

マインドフルネスは医療分野から始まり、今では、企業での活用まで広がりを見せています。
マインドフルネス瞑想は、日々のストレスの軽減、メンタルヘルスを整える効果が期待できます。
社員のストレス軽減は離職の防止や、心身の健康はパフォーマンスの向上にも繋がります。 企業の人材育成や、生産性向上のためにも、マインドフルネスの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

  • 労務・制度 更新日:2022/12/20
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