Cookie規制に対応しない企業は巨額制裁金も?Cookie法への対応方法とは
Cookieとは、Webブラウザからログインした時の情報や、ユーザーが訪問したホームページのデータの塊またはそうしたデータを保存する仕組みのことです。Cookieを使えばメールアドレスやユーザーID、パスワード、訪問先、訪問回数などのデータを収集することができます。ユーザーは、いちいちパスワードを入れなくてもサイトにログインできる利点があります。
企業としては、ユーザーのCookieに基づいて、その人の興味のありそうな広告を表示させることが可能です。例えば、マンションに関する広告を見たことがある人に、別のマンションの内覧会の広告を表示させる「リターゲティング広告」は、Cookie を利用してWEBマーケティングやサイト構築に使われている技術です。
2019年8月26日に、個人情報保護委員会はリクルートキャリアに対して指導及び勧告を行いました。リクルートキャリアが、Cookie情報を元にした内定辞退率をクライアントに販売していたためです。リクルートキャリアはCookie情報取得のためのアンケートを実施するようクライアントに要請しましたが、アンケートには利用目的が書かれていませんでした。つまり、何のための情報収集かわからない学生たちからCookie情報を収集し、内定辞退率を予測していたのです。
リクルートキャリアは、クライアントの企業に対して、氏名と予測データを提供していました。この件は倫理的に非常に問題のあるケースであったため、個人情報保護委員会が動いたということです。
ちなみに、個人情報保護委員会は2019年3月以降の個人情報の取り扱いが不適切だとして、是正勧告を出しました。しかし、それ以前については出していません。2019年2月以前は、学生の氏名を開示していなかったためと考えられます。このように、Cookieの扱い方を間違えてしまうと、問題のある行為をしたと捉えられる可能性があります。
Cookieの規制に対応しない場合、訴えられて多額の制裁金を背負うことになるかもしれません。
近年の例として、2019年に英国のデータ保護監督機関であるICOがブリティッシュ・エアウェイズに科した制裁金1億8339ポンド(日本円では約257億円)の事例があります。ブリティッシュ・エアウェイズはサイバー攻撃に遭い、自社のサイトやアプリから約50万人の顧客のデータを不正に収集されてしまいました。ICOは、セキュリティー対策の不十分さを指摘し、制裁金を課すことを決定しました。
同社は制裁金の他に、被害にあった顧客から集団訴訟を提起されており、個人補償もあわせると負担金額は莫大な額に上るとみられています。
企業にとって、巨額の制裁金はかなりのダメージになります。欧州をはじめ、海外からのサイト訪問を完全にシャットアウトすることは難しいでしょう。従って、域外適用をされればどの企業であっても訴えられるリスクはあると言えます。訴訟に巻き込まれれば社会的な信用を失い、ビジネスもしにくくなるでしょう。
特にCookieについての考え方が、欧米と日本では異なる点があるように見受けられます。日本ではCookie単体では個人情報とは言えませんが、Cookieは個人情報であるというのが欧米の立場です。
利用者の情報を集めるのに便利なCookieではありますが、安易に収集することはおすすめできません。特に、Cookieを利用した広告を使ってマーケティングをしている場合、何のためにCookieを収集・利用するのかを利用者に説明できないと、ビジネスモデルから考え直す必要が出てきます。将来、困らないためにも、今の時点からサイトの運用方法を考えておく必要があります。
アクセス解析ツールを使っている場合(ほとんどのサイトでは使われていると思いますが)Cookieの収集の断り書きを記したポップアップを作るなど、GDPRへの対応を前もってしておくのが望ましいでしょう。
- 経営・組織づくり 更新日:2020/06/24
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