人材管理にもデータの活用を! これからの人事は「エビデンスベース」の採用を
買収に成功し、世界に1000以上の支店を持つようになったある銀行。規模は大きくなりましたが、利益は下がるばかり。どの社員も毎日、業績を改善するための対策を考えるよう迫られています。しかし、時間をかけて考えても結果は出ず、あきらめムードが漂いはじめました。
そこにハリー・ロスとデータサイエンティストチームが登場します。
ビッグデータを分析してみると意外なことがわかりました。最もパフォーマンスがよい支店は、フルタイムの社員よりもパートタイムの社員の数が多かったのです。
データをさらに細かく見ていくと、これらパートタイムの社員は、年齢が上で経験も豊富でした。そのおかげでパートタイムの社員が多い支店のほうが顧客満足度は高く、利益に結びやすいということがわかったのです。
いかがでしょうか? とても短いストーリーですが、ビッグデータをどのように人事に生かせるのかイメージがつかめたような気がしませんか?
エビデンスベースの人事を職場に取り入れる場合、どうすればよいでしょうか? KPMGが発表しているインフォグラフィックスから、そのプロセスをご紹介します。
1.改善したい内容を確認する。
例)銀行の支店が、業務のパフォーマンスをよくしたいと考えている。
2.人事部と現場のマネージャーが力を合わせ、問題の原因について仮説を立てる。
例)社員の業務成績に、雇用形態が関係しているかもしれない。
3.データを理解する
:今、自社にあるデータはどのようなものか。これからどのようなデータが必要か。
例)従業員に関するデータはあるが、業績に関するデータと顧客に関するデータが足りない
4.データを分析する
:データからわかることを、視覚化してまとめる。
例)正社員の従業員よりも、パートタイムの従業員のほうが窓口業務の成績がよい。従業員の年齢が高いほうが顧客満足度は高い。
5.データと、社内および社外の情報源からわかったことが正しいか確認する。
それがうまくいけば先に進む。うまくいかない場合には2.に戻る。
6.決定事項を組織全体で実施する前に、一部の支店や支社で試してみる。
7.エビデンスベースの人事を続けていく。
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例)「わかっていることと、実際に行っていること」の間に差が出ないようにする。また、エビデンスベースの人事が行いやすいように、業務モデルを見直す(誰にどのようなデータ収集を依頼するかなど)。
【出典】The Case for Evidence-Based HR | KPMG
エビデンスベースの人事を成功させるために、担当者にはどのようなスキルが必要でしょうか? KPMGによると、次の4つのスキルが必要とされています。
説得力
まず、データ分析の結果を視覚的に表現することの大切さを理解すること。そして、単にデータを提示するのではなく、事実、意見などを交えながら、生き生きとしたストーリーを語る力も必要です。探究心
ビジネスリーダーと一緒に仮説を立てられること。データサイエンティストになる必要はありませんが、そのようなスキルを持った人と力を合わせるとよいでしょう。システム思考
人が組織のなかでどのような働きをするか理解する能力と、結果に対する原因を見分ける能力が必要。同時に、過去から現在の成り行きを解釈して、未来について考えられることが大切です。創造力
視覚化を含む、いろいろな方法で問題を見ることができること。また、人や組織に影響を与えている隠れた内部的・外部的要因を見つけ出せることも必要です。- 労務・制度 更新日:2017/04/05
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