学生の「就活費用」について考える
就職活動時期の変更に関する話題も落ち着き、企業の新卒採用ご担当者様は19年卒の新卒採用活動を振り返って次年度(20年卒)採用の準備やインターンシップ受け入れ等を着々と進められている段階かと思います。また、学生はインターンシップにおいて、企業での仕事を体験し、自身と「合う」企業を探す準備をしていることでしょう。 今回は、学生の就職活動で話題にあがりやすい「活動にかかったお金」について集計しました。
【1】地方の学生は就活にお金がかかる、は本当か
【2】どんな職種を志望している人が交通費にお金をかけているのか
再集計の元となるデータは、2019年卒 マイナビ学生就職モニター 2019年卒 マイナビ学生就職モニター(3月~8月)に連続6回回答した学生を抜粋して利用しました。 平均値での比較となりますので、極端に大きいまたは小さい値の影響を少なくするため 累計金額の上位下位各20位までのデータを除外し、1,107名を母数として集計しております。 なお、今回の集計では、「地方」を【関東・東海・関西】以外の地域としています。
【1】地方の学生は就活にお金がかかる、は本当か
地方在住の就活生の方が就職活動にお金がかかるというのは本当でしょうか。 3月―7月に就職活動に使った金額の累計を、地方と大都市圏(関東・東海・関西)に分けて平均を取ると、下図のように大きな差が出ました。
【2】どんな職種を志望している人が就職活動にお金をかけているのか
「どんな会社でどんな仕事をしたいか」によって、就職活動の内容が異なることは容易に想像がつきます。就職活動開始時点(3月)にどんな仕事を希望しているかで就職活動にかける費用の差はあるのでしょうか。

※図には、就活開始時(3月)時点の志望職種別に、20回答以上残ったもののみ抜粋し表示しています。 全体の値で見ると、文理ともに営業系職種を志望するグループの金額が最も高いです。
次に文系で上位の「販売・接客系職種」については、交通費・宿泊費のみで見ると最も高いですが、その他費用の平均が低いため、全体では2位にとどまっています。全国に店舗を展開している企業が多いと推測される販売・接客系職種は、ほかの職種に比べ交通費がかかっていますが、これは面接のために大都市圏の本社に足を運んだ結果ではないかと推測できます。 また理系で2位の「研究・開発・生産系職種」については、その職種として働く部門がある場所が地方の研究所や工場であることが考えられるため、大都市圏→地方(工場見学やOBOG訪問) 地方→大都市圏(選考等)の両方で行き来が発生し必然的に交通費がかかるからだと考えられます。
【まとめ】
今回の再集計を通じて、
《1》地方学生は都市部の学生よりも交通費・宿泊費を倍近くかけた就職活動をしていること
《2》志望する職種によって、活動にかける金額に開きがあること
が分かりました。 企業の人事担当者様は、地方在住、今回金額が高かった職種を希望するの対象学生に対して、交通費等の配慮や出張面接の実施、WEBセミナーやWEB面接等のツールを使う(交通費を使わない方法を模索する)ことなどのご対応をいただくことで、金銭的な理由(交通費を捻出できない)といった理由での、学生との出会いの機会喪失や、選考途中での離脱を減らしたり、反対に機会創出のきっかけを作ることが可能になります。 また「学生が負担する交通費」について改めて知っていただくことで、学生が共感できる話題作り等にもご活用いただけるかと思います。 (文章:HRリサーチ2課 小林 裕貴)
- 人材採用・育成 更新日:2018/11/30
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