業界が根本から変わる?5Gが金融・保険分野に与える影響とは
5Gの登場によって、これからは電子決済の普及が加速し、支払いの無人化が進むと予想されています。特にスマートフォンで自動決済ができるようになると、精算時のキャッシュカードやクレジットカードの提示は不要になります。レジでレシートを出力する必要もなくなるでしょう。
また、現在コロナウイルスの影響で業務のリモート化が促進されていますが、今後は5Gにより金融機関の事務作業や窓口対応などのデジタル化も加速するといわれています。 もし対面でフォローが必要な場合には、遅延の無いリモート通話で問題なく対応できるので、顧客が金融機関まで足を運ばなくても問題ありません。口座開設も顧客側だけで完結できるようになるでしょう。
AIが顧客ごとにお金の使い方のデータを保持し、アドバイスをすることもできます。将来的には、銀行が店舗を持つ意味は薄れていくでしょう。眼鏡型や腕時計型のウェアラブル端末を身に着けていれば、複数の情報を組み合わせた生体認証もスムーズにでき、本人確認も簡単になります。
融資査定といった与信業務もIoTなどによって稼働データを採取できる業種ならば、実際の業績に鑑みた融資ができるようになるでしょう。例えばAIが工場の稼働状況を分析することにより、査定担当者にその業種の専門知識がなくても、精度の高い査定が可能になります。審査時間の短縮にもつながり、将来的には担保が不要になるかもしれません。
保険業界では、5Gの通信環境内でIoTを用いて正確なデータを収集することで、保険適用についてより適切な判断を下せるようになるでしょう。また、ウェアラブル端末から情報を採取し、定期的な運動といった一定の健康的な生活をする人に対して、生命保険の価格を下げるといった対応も可能になります。
自動車保険では、事故の詳細情報を車両から転送できるようにしておけば、保険適用の判断もスムーズになるでしょう。
保険加入の際にはIoTやAIのサポートによって、顧客が最適な保険を選択することができるようになります。
金融業界の動向として注目されているのが「キャッシュレス」。経済産業省が2019年5月16日に発表した「電子商取引に関する市場調査」によれば、平成30年度のECサイトの市場規模は、18兆円に拡大しています。
しかしながら、全ての市場に対してECサイトの市場規模の割合は6.22%に留まっているのが事実。残りの93.78%は実店舗における取引です。つまり、実店舗におけるキャッシュレスサービスについてはまだまだ拡大の余地があるといえます。
銀行には、強固なシステム基盤を提供してきた信頼があります。そのため、セキュリティが問題視されやすいキャッシュレス分野においては「データの番人」としての役割を果たしていけるでしょう。
キャッシュレスサービスの導入では、実店舗との良好な関係構築が必須です。今後数年の金融業界では、実店舗との良好な関係を築ける営業担当者が重宝される存在となるでしょう。
保険業界では、5Gの通信環境を利用したAI・IoTの活用により、顧客ごとにカスタマイズされた商品が提供されるようになる可能性が高まっています。
大和総研が2017年10月13日に公開した「20年後の生命保険業界の行方」では、今後は従来の大型・長期契約の生命保険よりも、契約期間を短期化し、より多様化した損害保険がトレンドになるだろうと予測されていました。
少なくとも保険の選択は保険会社のタスクではなくなり、個人で保険を最適化していけるようになるでしょう。
それに伴い、従来の保険窓口や営業担当者からの提案はほぼ不要となる可能性があります。代わりに、時代の流れに沿った保険商品を開発していける人材が、より必要になってくるでしょう。
5Gによって、金融業界と保険業界は大きな変革を遂げます。金融業界ではキャッシュレスの導入が、保険業界ではAI・IoTの活用による顧客ごとに最適化された商品の導入が、それぞれ進むでしょう。
また人材面では、実店舗と良好な関係構築ができる営業や、個別の流れに寄り添える商品開発者のニーズが高まります。
時代の流れを見据えて、乗り遅れないように自身のキャリアを構築していきましょう。
- 経営・組織づくり 更新日:2020/09/15
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