転職者の内定辞退を防ぐMOT対策とは
皆様こんにちは。中島工業株式会社及びAIエンジニアリング株式会社にて、採用・広報をしております山口と申します。
中途採用の選考中・内定通知後に、辞退されることが増えてきたと感じませんか?転職者の推移は年々上昇しており、総務省統計局の労働力調査によると2018年には329万人、一般職業紹介状況調査によると2019年には有効求人倍率は1.63倍というデータがあります。転職者も、求人も、多いということが分かります。また、転職での平均応募社数は、31~35歳で8.2社と言われています。
複数社の中から、「この会社に行きたい!」と思ってもらうには、転職者の気持ちが選考中にどのように動いているのかを想定して、その動きに合わせた対策・対応を考える必要があります。
感情の動きを考える際に、マーケティング論のMOT(Moment of Truth)を視座に可視化すると、考えるべき課題が整理できます。ここでのMOTとは、転職者の感情の起伏が動く決定的瞬間を示します。では、転職者のMOTのポイントと対策についてお話ししたいと思います。
転職者は興味を持った会社の書類選考を通過したタイミングで最も期待値が上がっていることが多いものです。なぜなら、さまざまな媒体を見て、その会社に興味を持ち、エントリーしているからです。自分が希望した会社から書類選考通過の知らせを受けたなら、一瞬、不安は消え、転職への期待値は高まります。
しかし、面接で期待していたものと何かが違うと感じると、高まっていた感情は一気に冷静さを取り戻し、志望度は低下し、辞退を考えるきっかけになります。
私自身の経験から考えても、面接前までは求人・HP内容を見て期待に胸を弾ませ、いざ面接に入ると「今すぐ帰りたい!」と思うことは多々ありました。なぜ、転職者がそういう気持ちになったのか、選考者側が注意すべきポイントについて見ていきましょう。
(感情)諦める
(思考)自分に興味がないのだろう。
(行動)自分に興味のない人と働いても楽しくないだろうと辞退を考える。
以上のような3つの発言や態度を取ることで、転職者のMOTは一気に低下します。転職者は同じ業界・競合企業の選考を受けている可能性が高いため、選考を辞退するかどうかの判断材料としては十分な情報になります。
私が転職活動をしたなかで、いくつかの人事担当者から、面接前に「緊張している? 自分らしくアピールしてね!」と声をかけてもらい、ファイトとポーズを示して緊張をほぐしてもらった経験があります。まずは心理的に安定した場を作り、転職者にとって本領発揮できる環境を整えることが、人事担当者の役目です。
が判断材料となる主な項目です。
最近はWEB上求人情報が掲載されていることが一般的になったため、転職者は相談者に求人サイトや会社のHPのURLを送ります。相談を受けた第三者はサイトの内容から、会社の情報、待遇、仕事内容、社風を読み取り転職者へアドバイスをします。そこで、第三者が考えることは、転職者にとって将来性のある転職になるのかどうか、です。
そのため施設の規模、体制、待遇、研修制度など、より具体的な情報を求めることになり、そこが曖昧だと感じると、転職者に伝える評価は厳しいものになる可能性があります。また、第三者は転職者に面接時の様子を細かく聞き出します。面接官の態度や、話し方、受け答えの反応など、転職者が感じた印象を聴き取りたいと、切り口を変えて質問するかもしれません。
相談をしている第三者から面接での様子や面接官の印象を聞かれ、それに答えている間に、転職者は面接で高まったMOTが冷静になり、客観的に面接での様子や面接官の言動、態度を判断しなおすことになります。サイト情報が古く、面接時の話に相違があるとさらにMOTが低下することになります。そのため、自社の情報を公開しているホームページや求人サイトの情報は常に更新しておく必要があるとともに、面接での情報提供についても統一しておく必要があります。
ここまでは面接での様子や面接官の言動・態度で転職者のMOTがどう変化するかをお話しました。しかし、一方で人の受けた印象や記憶は曖昧なものであることも事実です。
人がある物事をどれくらいの時間でどれくらい忘れるのかを数値化したエビングハウスの忘却曲線というものがあります。それによると、1度覚えたものは1時間後に56%忘れ、1日後に67%忘れると言われています。面接で好印象だった場合も、悪い印象だった場合も、3日目にフォローすることでMOTをもう一度高めることができます。
私の場合は面接後に様子をヒアリングし、3日後に疑問点や聞きそびれた質問はないかを問い合わせるための連絡をします。
この3日後の連絡はで、面接後にヒアリングしたポジティブな内容について、もう一度お話しするようにしています。
例えば、社長の考え方に感銘を受けた転職者に対しては、たとえば「今日も社長が●●さんのことを、積極的に行動される人なので、是非弊社に来てほしいと言っておりました」と、もう一度その時の感情を呼び起こす内容を伝えています。
3日後であれば、第三者によるアドバイスを受けているタイミングと重なるので、このエピソードを第三者にも伝えることになります。3日後に何らかの形で連絡を入れることは非常に重要であり、会社側のイメージと、転職者の選考への意欲を高めるには良いタイミングだと考えられます。
転職者にとって内定が出たタイミングのMOTが最も上昇しています。MOTが上昇している時期に年収や契約書を提示することで、MOTが下がる前に内定承諾につなげることができます。採用担当者は、内定後に転職者が提示した希望年収とともに、経歴などを基に転職者がどんな人物なのかについて社内承認を取る必要があります。それにはある程度、日数が必要となります。
しかし、転職者は連絡を待っている時間がとても長く感じるのです。そして「自分の判断は間違っていないだろうか?」「他にもあったのではないか?」と不安を感じやすくなります。人間は不安を感じると、あれこれと想像し、理由付けし、納得できる情報を得ようとします。たとえば、内定後の連絡に時間がかかっていると、次のように想像を巡らすことになります。
「全然連絡がこない、1週間以上待っている」=「社内の意思決定が遅く、風通しが悪いのではないか?」
「選考時に今より年収上がりますと言ったのに違った」=「自分は評価されていないのではないか?」
このように不安になる理由は、転職者側には、連絡がない時間に会社側で何が行われているかが見えないからです。転職活動の方法はネットに掲載されていますが、内定からその後についてはあまり詳しく記載されていません。
私の経験でも、早ければ合否の連絡時に条件面を伝える会社もあれば、2週間ほど連絡がない場合もありました。
私の場合は、以下の内容をお伝えするようにしています。
- 人材採用・育成 更新日:2020/02/04
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