エンジニア未経験者を採用・育成するコツ|未経験者の早期戦力化がカギ!
ITエンジニアを未経験から採用するとき、頭に入れておくべき他職種との決定的な違いがあります。それは、ITエンジニア職はとにかく“育成に時間がかかる”ということ。
たとえば、総務・経理や営業職であれば、業務開始初日からOJTによってスキルを習得させることが可能です。カンの良い社員なら、3か月もあればひと通りのルーティーンをあっという間に覚えてしまい、早期戦力化はそれほど難しくありません。
しかしITエンジニアの場合、最低3か月間は、業務ではまったく戦力にならないと考える必要があります。
IT技術に関する「専門職」として最低限のプログラミングスキル、システム運用・開発に必要な知識、作業工程の理解など、OJTへ入る前に「座学」として習得すべき専門知識の量が他の職種よりはるかに多いためです。
研修が不十分な状態で無理に業務へと早期登用すると、現場が混乱するばかりか本人が自信をなくし、会社に不信を持って早期退職してしまうリスクもあります。
「ろくに研修もしてくれなかった会社」という印象を与えることがないように、採用後の研修・教育まできっちりプランを練ったうえで採用することが重要です。
ここ数年、ようやくその過酷な就業環境が見直され始めたITエンジニア。しかし、同職で働くならば、納期前の繁忙期やトラブル対応などで長時間の残業が避けられないこともあります。
泥臭い見方かもしれませんが、厳しい業務負荷がかかるとき、そのモチベーションの源泉となるのは「精神力」であり、その人がエンジニアになろうと思った「初心」や「原点」です。
最後まで業務を遂行できるかは、応募者がどれだけITエンジニアという仕事への情熱を持っているかにかかっています。それを選考でチェックしましょう。
その尺度となるのは、未経験からITエンジニアになるにあたって「事前準備」をどれだけしてきたかです。たとえば、以下の点をチェックするとよいでしょう。
- 選考を受けるまでにIT業界についてどれだけ調べてきたか
- 事前に自主的にプログラミングの勉強をどれだけ積んできたか
- 何かIT関連の資格は取得済みか、あるいは資格試験への勉強をしてきたか
上記項目を聞いてみて、1つも納得できる回答ができなかった志望者は、まず採用を見送ったほうが無難。なぜなら、入社してから「イメージしていた仕事と違っていた」と言われてももう遅いからです。
最後に気をつけたいのが、志望者の希望条件とズレがないかです。選考プロセスのなかで、会社の提示する就業条件と、志望者が希望する就業条件に埋められない溝がある場合は、採用を見送ったほうがよいでしょう。
というのも、スキルがパフォーマンスに直結する専門職である以上、未経験からの採用では、年齢・職歴にかかわらず、就業スタート時は給与水準をかなり低く抑えざるを得ないからです。
最初の1~2年くらいは、既存社員に追いつくため、通常勤務に加えて空き時間で自己研鑽を積んでいく必要があります。ある程度のハードワークは覚悟してもらわなければなりません。
そのため、たとえば養うべき配偶者があり、ある程度の給与額が必要な志望者や、子育て中で時短勤務を希望する志望者は、残念ながら採用が難しくなってしまいます。
また、通勤時間についての意識のズレがある場合も、採用は難しくなります。BtoBの業務系案件などでは、プロジェクト期間中に顧客のオフィスへと常駐しなければならないこともしばしばあるからです。
その場合、会社の想定する平均的な通勤時間を許容できないようであれば、無理をして採用すると早期離職の原因となります。
業界未経験から入社した場合、最初の1年目は非常に離職率が高くなります。環境変化や業務へのプレッシャー、業務量増大など、さまざまな要因が複合的に絡み合い、心が折れやすい状態となってしまうからです。
これに対する一番の対策は、とにかく頻繁にフォローアップを行うこと。会社によって体制は異なるでしょうが、双方向のコミュニケーションを欠かさないようにしましょう。
たとえば、最低でも月に1回以上、直属の上司や採用担当による面談を実施すると効果的です。
仕事の状況はもちろん、職場環境のことや現在どんな不安・不満を抱えているか、逆にどんなことにやりがいを感じているかなど、丁寧にヒアリングします。そしてそれを業務や育成に反映させ、大きな問題が生じる前にリスクを排除し、強みを伸ばせるよう努めます。
また、業務報告の仕組みを構築するなどして、育成する側の状況把握をするとともに、新人が発言できる機会を作ることも大切です。
「わからないことは気軽に聞くように」と言われていても、先輩たちが集中して仕事をしている時間は、なかなか声をかけづらいもの。コミュニケーションが苦手なタイプなら、なおさらのことです。
たとえば、10分程度の短い時間でかまわないので、同じ仕事をしている数人のチームで朝会・夕会をするなど、コミュニケーションをとる場を設定します。形式的な業務報告だけでなく、些細な疑問や気づきなども発言できるよう、あまり堅苦しくならないように心がけましょう。
先にも述べた通り、エンジニアは「育成」が非常に重要となり、特に未経験者は一人で解決できない問題に直面する場面もあります。そのため、逐一フォローをしていけるような環境を作ることで、定着率の向上・早期戦力化につながるでしょう。
- 人材採用・育成 更新日:2018/01/24
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