Aランクの人材を採用する方法
- 採用したいポジションをあげる
- そのポジションで成功する人物像を2、3行でまとめる
- 2の結果から、具体的にどのようなことができればいいのかを5つから7つあげる
- 過去に、そのポジションで働いていた人の名前を全部あげて、誰が最もAランクの人材の理想に近かったか考えてみる
- このポジションで成功するために必要なスキル、才能、経験を書き出していく
- 組織に合うAランク人材の素質が、後からでも簡単に学べるものか、生まれつきの才能など変えることが難しいものか考えてみる。もし後者であれば、素質を持った人を始めから雇わなければならない
- いま組織にいるAランクの人材は学校でどのような勉強をしてきているか、BランクやCランクの人材と学歴の違いがあるか確認してみる
- 現在活躍している社員が、どのルートで入社しているか確認する
- 全ての評価を総合してみて、人材を見つけるために当たってみるべき場所があるか考える
- Aランクの人材候補にリーチするための採用活動を考える
候補者一人にあてる採用試験の時間はどれくらいが適当でしょうか? 本書には、採用試験が長くなることに採用担当者が躊躇するべきではないと述べられています。なぜならAランクの人材は、採用試験にも高水準を求めるからです。拘束時間が増えることに気を使って採用試験を手短に終わらせてしまうのは逆効果です。
面接官を変えた複数回の面接や、グループ面接は、違った角度から候補者を見ることができることから、より良い決断につながります。また、適性検査は、感情を交えずにデータから候補者の特性を知ることに役立ちます。そして最も大切なのは、企業に必要なAランクの人材の人物像を事前に決め、その人物像に採用担当者全員がこだわりを持つことです。
見込みのある候補者を絞り込むときに、実践に近い試験を取り入れると、候補者が職場でどのように活躍できるのかイメージしやすくなります。本書に掲載されているユニークな採用試験の事例をあげてみます。
- 候補者を顧客訪問など外に連れ出す
- 候補者にセールスコールをさせる
- 採用面接に給与を出し実務をさせる
最終候補者を顧客訪問に同伴させた企業では丸2日間の試験を実施しました。候補者にセールスコールをさせた企業では、その後、試験に協力した顧客に採用担当者から連絡を取りフィードバックを受けています。そして採用面接に給与を出すことにした企業では、採用された時に実際にする仕事を1、2時間まかせ、その間に候補者のコミュニケーション能力や、仕事に対する姿勢を観察しました。
どの企業にも共通するのは、じっくりと時間をかけて、その人の職場での行動やコミュニケーション能力を観察していることです。採用試験に、これほど時間をかけるのは簡単ではないかもしれません。しかし、間違った採用をしてしまった時の苦難に比べれば、実施が大変な採用試験のほうがまだ救われます。
誰でも良い人材が欲しいと思うものですが、実際にどのような人物が必要なのか具体的にわかっていなかったり、採用試験で十分に候補者の資質を見抜けていなかったりすることが、採用を失敗する原因となります。まずは、現在活躍している社員をモデルにしながら、組織にとってのAランクの人材がどのような人なのか特定することが大切です。そして、じっくりと時間をかけた採用試験でAランクの人材を絞り込みましょう。
それではAランクの人材はどこを探せば見つけることができるのでしょうか。『HOW TO HIRE A-PLAYERS』の中には、SNSやインターネットを使った募集のしかた、人材会社を上手に使う方法といった王道の探しかたのほかに、ユニークな人材発掘場所が提案されています。
ヘレンコール氏は本書の中で、レストランのウェイトスタッフやマネージャーとして良い仕事ができる人は、Aランクの人材になる素質があると繰り返し触れています。実際にNYの企業が営業職のAランク人材をレストランからリクルートした事例や、レストランで働いている人を雇うのが好きな経営者の話を織り交ぜながら、なぜレストランで働いている人がAランクの人材になれるのかを次のように説明しています。
- サービス指向型である
- 常に大勢の顧客を相手にしているので、応対が上手である
- 顧客との問題解決が重要であることを、よく分かっている
- 売り上げを上げる方法を知っている
- サービスの質で判断されることに慣れている
- 収入(チップ)が、サービスの質に対して支払われるものだと理解している
この本には、レストランのほかにも、視点を変えた求人募集をすることでAランクの人材を獲得している事例が紹介されています。例えば、元教師の採用に力を入れる保険会社や証券会社は、候補者のコミュニケーション能力に注目しています。
また、スターバックスコーヒーのような社員研修に力を入れている大規模なチェーン事業出身者を好んで採用する企業や、重責から解放されたいと思っている優秀な起業家を探して採用する企業もあります。そして、企業がフリーランスとして業務を依頼している会計士、弁護士、コンサルタントを始めとする、様々なプロを正社員として雇うこともひとつの方法です。
「業界の未経験者歓迎」という文言を求人広告に見ることはよくありますが、それを人材戦略として利用している企業はまだ少ないかもしれません。この本に挙げられている事例では、違う業界で働いていた人達が組織の中で新しい力を生み出しています。組織の成長に不可欠なAランクの人材が業界の経験者から見つからない場合、他の業界にいる人達に目を向けてみるのも良いのではないでしょうか。
もう一つ、Aランクの人材を見つけるよい方法として、ヘレンコール氏は女性に目を向けることを提案しています。本書では、子育てなど家庭の事情で仕事を一時中断している女性、配偶者の仕事の都合で引っ越した女性、フレキシブルな職場を探すシングルマザーを、働きたいと思っているが働けないAランク人材の人物像として挙げています。
十分な資格や経験があっても働けないAランクの人材を引きつけるのは、他の人達と同様、やりがいのある仕事、公平な給与、そして適度な拘束時間です。特にここで挙げた女性たちは、収入よりも時間に重点を置いている場合が多くなります。フルタイムで働ける資格や能力があっても、ライフスタイルを優先してフレキシブルな時間で出来る仕事を選んでいる人もいます。
もし企業が、拘束時間や勤務日数、勤務時間を調節することで、この人達が抱えている働けない理由を解決できるならば、優秀な人材を獲得できるチャンスが広がるでしょう。
- 人材採用・育成 更新日:2017/12/26
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