採用の技術|求職者に刺さらない“退屈な”会社説明会をやめるには
まず、思い切って「自社にフォーカスするのをやめる」という方法があります。
例えば、会社の説明会ではなく、「業界の説明会」にするのはどうでしょう。自社が広告業界に属しているならば、広告代理店の話、最近の広告業界におけるインターネット媒体の成長度合い、新しいプレイヤーのこと、アドテクノロジーのことなどを説明するのです。
一旦、自社のことから離れれば、業界について語るべきことはたくさん出てくると思います。メインの内容がこういった業界説明であれば、自社にそれほど興味がない参加者でも、メリットは大きいので集中して聞いてくれるでしょう。
その上で、終盤に「こういう広告業界の中で、当社のポジションはここです」と話せば、結果的には自社の説明にもつながります。また、「業界全体を見渡した上で、戦略的に事業の方向性を定めている会社だ」という印象を持ってもらえるかもしれません。
次に、自社に転職することの「キャリア的意味」を説明会で伝えることもおすすめです。
転職者は自分のキャリアについて悩んでいます。そこで、参考になる事例として「自社への転職」というケーススタディをしてもらうのです。
と言っても、何か特別なカリキュラムを準備する必要はありません。もっと単純に、最近自社に転職してきた社員に協力してもらい「なぜ、このタイミングで、何を求めて、自社に転職してきたのか。その後、どんなことに取り組んで、最終的には何を目指すのか」ということを語ってもらうだけで十分です。
会社説明会で社員が出ることはよくありますが、話す内容は、今やっている仕事内容やその面白さ、社会的意義などが中心です。それよりも、一般的にはあまり触れられない前職での経験や、なぜこのキャリアを歩んできたかなど、自分がこの会社にいるキャリア的意味を語ってもらうほうが刺さるのではないでしょうか。
転職は人生の節目となる大きな決断であり、そこには必ず不安があります。その不安を解消してあげるためにも、キャリアの参考になるエピソードを社員に語ってもらうことが有効なのです。
3つ目は、会社説明会で自己分析のお手伝いをしてあげて、「あなたは○○な人なので、こういう理由で当社に合っています」と説明してあげることです。
どんなに良い会社であっても、万人にマッチするとは限りません。人には向き・不向きがあります。そのため、自社のメリットばかりを強調しても、それが求職者にとってもメリットかはわからないのです。
そこで、例えばですが、簡易な適性検査や質問項目などを用意して、求職者に説明会の場で回答してもらいましょう。その結果をフィードバックしながら、「こういうタイプの人は、弊社(のこういう職種)に合っています」というように求職者が自社に合っていることを説明するのです。
そうすると、単に「弊社は良い企業ですよ」と言われるより、求職者はグッと自分がその企業で働くイメージを持ちやすくなります。その結果、自社への志望度も高まるでしょう。適性検査の結果をフィードバックする企業は実は珍しいので、それだけでも説明会の“引き”になるかもしれません。
最後に、企業側からの一方的な説明はなるべく省き、会社説明会に参加した人“だからこそ”経験できる内容を盛りこむ方法もおすすめです。例えば、会社や事業の説明は最小限に収めて、多くの時間を個別質問の受け付けに使ってみてはいかがでしょうか。
もちろん、多くの企業が参加する合同説明会などの場合、ふらっと参加しただけの求職者が質問することは難しいでしょう。その場合は、「自社についての質問」にせず、参加者が「会社を選ぶ基準」「業界について知りたいこと」などを質問してもらい、それに沿って自社の長所などの説明をすればよいと思います。
会社説明会ではどうしても、誰を対象にしても成り立つように、最大公約数的な説明をしがちです。しかし、説明会が持つ「企業側と求職者側の双方向コミュニケーションが取れる」という特徴を最大限生かすには、参加者を巻きこんでいくのが非常に効果的です。
- 人材採用・育成 更新日:2017/08/03
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