はじめてのダイレクトソーシング。中途採用サイトの応募効率を劇的に高める応募フォームの最適化
【プロフィール】
株式会社マッジ
代表取締役 柴﨑智央さん
バイオ系や化粧品関連、ファッション誌などでフリーライターとして活躍した後、デジタル領域に軸を移してコーポレートサイトやECサイトの構築・デザインを手掛ける。マッジ創業後、UI設計やデザインの知見を生かしてエントリーフォームの最適化を提案する「URICHAN EFO」を開発。大手企業を中心に、ECサイトや採用サイトにおける機能改善・UI改善を数多く手掛けている。
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魅力的な条件を整え、ターゲットに合わせた見栄えの良い採用ページを公開しているのに、なぜか応募数が増えない…。そんな悩みを抱える企業は、一度「応募フォーム」のあり方を見直してみるべきかもしれません。
「応募フォームにある項目の並び順を一つ変えるだけでも、採用効率が高まります。」
そう語るのは、株式会社マッジの柴﨑智央氏。「EFO」(Entry Form Optimization=エントリーフォーム最適化)の専門家として機能やUI(ユーザーインターフェース)の改善を行い、採用やECなど数多くのサイトで成果を上げています。
応募数の増加はもちろん、応募者の質の向上にもつながるというEFO。今回は、具体的な方法論を紹介していきす。
ECサイトで買い物をしようとしたものの、「購入」に進んだ後の入力が面倒になってやめてしまった…という経験はありませんか? 日頃からよく使っているサイトではない場合、会員登録で個人情報を1から入力していくのは非常に手間のかかる作業です。
中途採用の応募フォームにおいて求職者が感じる「不便」も同じ理屈。職務経歴や経験業種、志望動機などが詳細に記入できるようになっている応募フォームでは、ECサイトと同様、「入力が面倒で応募をやめてしまう」ケースが多いのです。
せっかく応募を検討してくれていた求職者が、なぜ離脱してしまうのか。柴﨑氏は、応募フォームの離脱率を下げるべく、以下に気をつけるべきだと指摘します。
さらに採用サイトならではの課題として挙げられるのは、「必須入力項目」と「任意入力項目」の並び順です。柴﨑氏がこれまでに関わったサイトで分析した結果、この並び順が離脱率に影響していることが分かりました。
具体例を挙げてみましょう。職務経歴の入力に際して、以下のような並び順だったとします。
(1)在籍社名【必須入力】
(2)業種【必須入力】
(3)在籍年数【任意入力】
(4)業務内容【必須入力】
(5)従業員数【任意入力】
このように、【必須入力】と【任意入力】の項目が無造作に並んでいる応募フォームは要注意です。
「応募フォーム内のどの項目で離脱が多いかを検証したところ、『【必須】・【必須】と続いたあとに【任意】があり、その後にまた【必須】が来る』という並び順は、より離脱率が高まることが分かりました。入力時の心理的なハードルが高まるものと考えられます」(柴﨑氏)
上記の(2)や(5)など、「選考の際に必ずしも重視しない。任意入力で構わない」と考える場合は、並び順を変えたり項目自体をなくしてしまったりという工夫が求められます。
また、求職者は企業の採用情報を何度も確認しながら応募フォームを入力しています。うっかり別のページへ移ってしまうと、応募情報は一から入力し直し。これも離脱率を高める要因となります。そのため柴﨑氏が関わったケースでは、機能改善によってフォーム入力途中の情報を再読み込みできるようにし、再び応募ページを開いた際の手間を軽減しています。
「応募フォームの入力を始めた後に他のページへ移っている人は、意外と多いですね。『志望動機を入力する際にもう一度採用情報を確認する』『送信ボタンを押す前にためらってしまう』などが考えられます。こうしたケースでは再び応募ページを開いてくれる可能性も高いので、できるだけ手間がないように、スムーズに応募完了してもらえるようにアシストすることが必要だと考えています」(柴﨑氏)
ここまでは主に「機能」の観点から応募フォームを見直してきました。柴﨑氏はさらに、「UI改善も応募フォーム見直しの重要なポイント」と話します。
求職者がページを開いたときに「入力したい」と思うようなインターフェースになっているか。日進月歩で進化するウェブの世界で、一昔前のデザインをそのまま使っていないか。こうしたポイントに気を配ることは、応募者の質を向上させるためにも重要なのです。
「優秀で市場価値が高い人材ほど、企業のサイト構成には厳しい目を持っています。応募ページを開いた瞬間に『この会社はダメだ……』と感じてしまうようなデザインの企業も正直ありますよ。それだけで“応募しない理由”になるんです。強力な事業を展開し、良い条件で募集していても、応募ページが原因で選ばれないことがあるのだということを認識しておくべきです」(柴﨑氏)
採用ターゲットが明確であれば、その属性に合わせたデザインに振り切ることもできます。特に「暖色系でやわらかな印象に」「寒色系でクールな印象に」といった色味の調整は、応募ページの印象を変える上で大きな要素になるのだとか。柴﨑氏が実際にUI改善を行った大手メディア企業の事例では、改善前に比べて「応募完了率が165パーセント向上」という結果も。複数のUIを用意してA/Bテストを実施し、自社に最適な応募フォームを見つけることもあるのだそうです。
- 人材採用・育成 更新日:2017/03/16
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