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「この人は信用できる?」記者が注目する3つのポイント

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筆者が就職活動をしていた時の出来事で、鮮明に覚えている光景があります。

日経新聞に内々定をもらって意思確認の手続きに行った時のこと。

待合室で隣り合わせた内定者が、「実は、日経新聞と別の新聞社(仮にB社としましょう)から内定をもらったので、どちらに行くか悩んでいる」と話しかけてきたのです。

彼によると、B社の人に日経から内々定をもらったと報告したところ、「うちは給与水準が低いから日経に行った方がいいよ」と助言されたとのことでした。

しかし彼は、日経新聞が採用面接にかける時間がB社に比べ、かなり短かったことに疑念を持っていました。

「B社は時間をかけて、僕の人間性まで見た上で採ってくれた。日経新聞は僕のどこを評価してくれているのか分からない」と言うのです。

彼は「人事の人から納得できる答えが得られたら日経に決める」と言って面接室に入って行きました。

面接を終えて出てきた彼に「どうだった」と聞くと、冴えない表情で首を振りました。

記者出身の採用担当者に、「たとえ1時間かけて面接したって、人間なんて理解できないよ」と笑われたと言うのです。

彼はその説明に納得できなかったようで、日経の入社式では姿を見ませんでした。

では、初対面の相手から話を聞くとき、記者は発言内容の信頼性をどう測るのでしょう。

  • 一貫性
  • 具体性
  • 根拠
重視するのはこの3つです。
裏返せば、作り話や出まかせは、この3つの要素が欠けやすいのです。
多くの記者は会話の中で、この3要素が揃っているか、それとなく確かめます。そして、「どうもこの人の話には怪しい部分がある」と感じると、遠ざける傾向があります。
こうした「テスト」は、取材相手だけでなく新人記者にも向けられます。
実際、ベテラン記者が後輩を指導している時に、「嘘をつかれた」「誤魔化された」と感じた瞬間、急に態度がよそよそしくなり、どんな報告を聞いても疑うようになるという例をたくさん見てきました。
私は新人の頃には、「記者には厳しい人が多いなあ」と感じましたが、発言が信用できない部下やネタ元を抱えると、自分の地位を危うくする誤報リスクが高まるのですから、ある意味では当然なのです。
  • Person 松林 薫
    松林 薫

    松林 薫

    1973年、広島市生まれ。ジャーナリスト。京都大学経済学部卒、同大学院経済学研究科修了。1999年、日本経済新聞社入社。経済学、金融・証券、社会保障、エネルギー、財界などを担当。2014年退社し株式会社報道イノベーション研究所を設立。2019年より社会情報大学院大学客員教授。著書に『新聞の正しい読み方』(NTT出版)、『「ポスト真実」時代のネットニュースの読み方』(晶文社)、『迷わず書ける記者式文章術』(慶應義塾大学出版会)。

  • 人材採用・育成 更新日:2020/12/03
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