定着率UP!?中途採用こそ押さえるべきポイント
新卒採用より中途採用の離職率が高いことを、ご存知でしょうか? 大手企業での就職後3年後の離職割合は、新卒採用は30%、中途採用では50%と言われています。 年々中途採用は難しくなってきている状況のなか、苦労して採用しても早期に離職され、定着してもらえないとなると、人的資産を活用するうえでの計画が立てにくくなります。 しかし、転職する側も最初から辞めたいと思って転職をしていません。
例えば、早期離職の原因としては、採用する側と中途採用側の間でミスマッチが起きた結果であると考えられます。 そこで、今回は、私自身、入社前後のギャップからミスマッチを感じ、早期退職した経験も含め、採用担当者が気をつけるべき点、配属後に設計しておくべき内容についてお伝えします。
皆さんの企業では中途採用者に対し、どのようなプログラムを用意されていますか? 2~3日の研修プログラムから、準備できていないケースと様々かと思います。
新卒採用であれば、研修サポート体制を売りにされている企業も多いと思いますが、中途採用は「スキル=即戦力」のため、新入社員のような集合研修はほとんど見かけません。しかし、中途採用を「スキル=即戦力」と考えられていても、社内の組織体制、企業文化、書類の場所、営業一つとっても、企業によってお作法が異なります。
新入研修のような手厚い研修ではなく、中途採用向けには仕事のサポート体制を整え、心理的安全性の中で仕事をスタートすることで、安心して発言・行動をすることができます。
このサポート体制がない場合、中途採用者は「孤独感」を感じながら、仕事をスタートすることになります。
2週間~1ヵ月程度「分からない時に、いつでも聞ける」場つくりとして、伴走期間を設けることで、早い段階で中途採用者に安心感を与えることができます。そうすることで中途採用者はスキルを発揮し自走することができます。
「Communicateとは=言葉の垣根を越えてコミュニケーションする」ことです。 コミュニケートを通して、目的・意思や想いを伝えることで同じ方向で業務に取り組むことができます。 「即戦力」は「何も言わなくてもわかる」ではありません。 「何も言わない・伝えない」状況では、誤解が生じ、勝手な思い込みを持つ場合があります。 長期的に働いてもらうためには、目的を明確にして、同じビジョンに向かって働いていくことが大切です。
正しい認識を伝えることが、中途採用者を同じ方向に導く一番の近道です。 そのためには、コミュニケートを大切にすることが求められます。 「サポート×コミュニケート」=中途採用者が企業に馴染み、社内と同じ方向でスキルを発揮するために、目的・目標に向かいスキルをスピード開花してくれます。
面接段階で期待するスキルや業務内容は伝えていると思いますが、社内の状況や中途採用者が入ることによる期待について伝えていないケースが多いのではないでしょうか? 採用担当者は、社内や配属先の状況を知っているので、中途採用者が入った後の期待値やシナジー効果を想定しています。 しかし、採用担当者は期待値を中途採用者に伝えていないケースがほとんどだと思います。 ここがブラックボックス化していると、入社後のギャップに繋がります。
私が実際に遭遇したケースとして、規模拡大による増員募集でしたが、内情はチームが崩壊しており、チーム内のメンバーのカンフル剤として上手く対応できる人を探していました。 私は知らずに転職し、蓋を開けてビックリしたのと同時に、企業に対する不信感を抱いたことを覚えています。 期待していることを伝えることで、中途採用者側はなぜ自分が選ばれたのかが分かり、何をすべきかを考えることができます。
では、どのような対応をすればいいのでしょうか?
ネガティブな要素ほど、人間の心理として隠したくなります。 デジタルネイティブが増えてきた昨今、新卒採用が活発になる3月頃、「就活 嘘つき」というワードがトレンドに入ってきます。
これは転職活動でも同じ現象が起きています。 ネガティブな要素は、入社すればすぐに嘘であることはわかります。「隠されていた」ことが発覚することで、中途採用者は企業に対する不信感に繋がります。 現在のネット社会であれば、すぐに転職サイトに書き込まれる要素になりえます。
私が転職活動してきた中で1社、社内事情や課題、また私が入社すること期待していることについて、お話いただいた企業がありました。
聞いたうえで、ネガティブな要素を乗り越えることができるのか、じっくり考えることができました。また、社内事情を説明してくださったことで、問題を認識されており、変えたいという気持ちが伝わり、一緒に乗り越えていこうと気持ちにさせてくれました。 結果、入社後は大変でしたが想定内であり、徐々に状況は改善され、選択は間違ってなかったと思うことができました。
ネガティブな要素ほど、先に伝えることで入社後のギャップを埋め、定着へと繋げることができると言えます。
認知心理学の中に「認知バイアス」という言葉があります。 この「認知バイアス」は採用する側が陥りやすい心理だと考えます。
「認知バイアス」とは、認知心理学や社会心理学での様々な観察者効果の一種であり、非常に基本的な統計学的な誤り、社会的帰属の誤り、記憶の誤りとして、人間が犯しやすい問題と言われています。 要するに「思い込み」「勘違い」に似ています。
認知バイアスによる「思い込み」「勘違い」のケースとして、このようなことはありませんか。
「大手企業で働いていたから、能力が高い人だろう」
「コンサルティング会社で務めていたから、きっと社内を変革してくれるに違いない」
逆もまた然り。
私の採用チームにおいても、認知バイアスがかかっている時は、まず「思い込みを外して、本当にそうなのか、話をして判断しましょう」と伝えるようにしています。
しっかりファクトを整理し、面接を通してすり合わせすることが大切です。
ベンチャー企業における中途採用では、企業文化、理念に共感してくれる人を重視し、選考している企業が多くなっています。 しかし、中小~大手企業における、中途採用ではスキル・経験値ばかりを重視した選考が今でも多くみられます。
もちろんスキル・経験は大切です。 しかし長く働いてもらうためには、企業とのフィット感はもっと重要と言えます。 採用スケジュールもあり、急ぐ気持ちもわかりますが、「誰をバスに乗せるのか?=この人と一緒に働きたいか?」は大切です。企業の価値観に共感してくれる人を採用することで、共感=価値観が似ており、長期的に一緒に働くためにも、企業理念・文化が浸透するのか?親和性が高い方なのか? 確認するステップが必要となります。
私が中途採用で最も疑問に感じているのは、すぐに面接がスタートすることです。 中途採用側も、企業HPや求人票でしか内容を確認することができません。
私が受けてきた面接のなかで、とても印象的だったのは、挨拶後ご自身の経歴から企業の成り立ち、事業内容、理念、文化について説明していただけたことです。 面接に向けて、隅々までHPを確認し、求人内容・業界を調べてはいましたが、企業理念・文化は文章では伝わりません。 直接お話を聞けたことで、丁寧かつ仕事に対する想いが伝わり、共感内容が多いと改めて感じることができました。 お互いの考え方について話が出来る時間を、採用側から仕掛ける事が大切です。
私は相互理解の場としての面接を受けた際に「この人たちと一緒に働きたい!」と、とても気持ちが高まったことを覚えています。 この相互理解があることで、入社後のギャップを埋め、定着しやすい人材を採用することができると考えます。
- 人材採用・育成 更新日:2020/10/01
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