AIを活用した新卒採用について学生の意識と考慮すべき点
最近のニュースでは、企業の新卒採用活動でのAI(人工知能)導入について報じられる事が多くなりました。現状は導入の初期段階であると思いますが、作業の効率化や精度の均一化を目的として、採用活動にAIを導入する企業が増えてきています。この現状を、採用される側である学生はどのように捉えているのでしょうか。 2017年2月に発表した大学生のライフスタイル調査や、2017年6月末の内定率調査では、学生に対してAIに関する質問をしています。それらの調査データから学生がAIそのものや、AIを活用した採用についてどのような印象を抱いているかを見ながら、AIを活用した新卒採用において、企業はどのように学生へアプローチするべきなのか、その方法や課題を深掘りしてみます。
まず、大学生はAIに対してどのような意識を持っているのか見ていきたいと思います。 2016年12月~2017年1月に実施した「2018年マイナビ大学生のライフスタイル調査」にて、「AI(人工知能)について、どのように感じますか」と、シンプルな質問をしました。回答で最も多かったのは「世の中を大きく便利に変えると思う」で、男女で比較すると、男子が46.4%だったのに対し、女子は29.1%で、その差が17.3ptと、大きく差がありました。 いっぽう「漠然とした不安を感じる」は、男子が11.3%、女子が20.4%と、その差が9.1ptで女子の方が高い結果でした。以下のグラフから分かるように、肯定的回答と、否定的回答に分類すると肯定的な回答は男子の割合が高く、否定的な回答は女子の割合が高い結果でした。
ここまで紹介したAIに関する調査の結果で最も大きな違いは男女間での肯定感や否定感の差でした。 このように顕著な傾向が現れているため、現時点でAIを採用に導入する場合には男女間での感覚的な違いをしっかりと踏まえて準備をする事がとても重要だと感じます。 肯定的な意見を持っている学生については良いとしても、特に否定的な意見を持っている学生に配慮してAI採用を導入するに至った背景や、どのようなプロセスで活用しているかを明示し、納得感を提供する必要もあると考えます。 男子よりも否定派が多い女子に対しては、採用のどこの段階で、どのようにAIを活用しているかを明示した上で、その公平性やマッチングにおける正確性などの実績やデータをしっかり伝え、最終判断をしっかりと人が行っている点を説明し、安心感を高める必要があるのではないでしょうか。 男子については、肯定的な回答が多い事を踏まえると、新しい取り組みを導入している企業の積極性や先進性、チャレンジする姿勢を率直に伝え、より良い印象が残るように感性に訴えかけてアピールするのも良さそうです。 いずれにしても、採用担当の方においては、AIやAIを活用した採用については、肯定感や否定感が存在すること、男女間でもその意識や傾向が違うことをしっかりと認識しておく必要があるのではないでしょうか。
ここまでAIやAI採用に関して学生へ調査した結果と考察をお伝えしてきました。 企業としては新しいテクノロジーを導入するだけの話題作りにならないよう、採用担当者がしっかりとAIやAIを活用した採用の特徴や特性を理解し、より良いマッチング行う為の活用を目指して導入の検討を進めなければなりません。 「働き方」や「ワークライフバランス」などに社会的な注目が高まっている現状も考えると、AIの導入によって実現できる時間的、人的な採用コストの省略だけで満足するのではなく、削減したそのコストを人材育成や社内制度の整理などより良い企業活動のために有効活用するスタンスが非常に大切であると考えます。 また今後の可能性としては、内定者(内々定者)フォローにおける活用が考えられます。「2017年卒マイナビ企業新卒内定状況調査」の結果では、2017年卒学生の内定辞退率が5割を超える企業は29.2%、3割以上で52.7%に達しています。
2017年卒マイナビ企業新卒内定状況調査
※上記リンク(PDFファイルがダウンロードされます)より詳細な調査結果をご確認頂けます。
実際このような状況であれば選考のプロセスでのAI活用はもちろんですが、内々定後の大学生に向けたフォローやそのプログラムについても採用した学生の傾向に合わせてAIが臨機応変に最適解を導き出してくれば、採用担当者にとっては非常に心強いのではないでしょうか。 最後になりますが、日々テクノロジーはとても早いスピードで進歩しているため、多くの企業がAIを戦略的な採用パートナーと考える日がそう遠くない未来に来ると感じます。そのような時に、採用活動を企業主体で行えるよう、今回分かった男女間でのAIやAIを活用した採用に対する意識の違いなどをしっかりと考慮できるような柔軟なスタンスを忘れないことがとても重要だと感じます。 AIを活用した採用の導入を考えている皆様へ少しでも今後の活動の参考になれば幸いです。
- 人材採用・育成 更新日:2017/07/31
-
いま注目のテーマ
-
-
タグ
-