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テレワークの導入で優秀な人材を獲得 世界中のどこからでもライフスタイルに合わせた働き方を実現

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新型コロナウイルス感染症への対応のため、フルリモート勤務に移行したシェイプウィン株式会社。当初の目的は感染防止対策だったものの、制度の運用と共に、優秀な人材の確保や社員満足度の向上が見られ、結果として生産性向上といった経営課題の解決にも資するものとなりました。場所にとらわれない働き方を実現するために、世界中のどこからでも自分のライフスタイルに合わせた働き方を選択できる組織づくりを推進したことで、優秀な人材の確保や社員満足度の向上につながったといいます。
今回は、審査でも評価の高かった、人材確保、従業員エンゲージメント向上といった「テレワークの活用による経営効果の発揮」の取組等についてお話を伺いました。

【総務省主催】「テレワークトップランナー2023 総務大臣賞」とは

総務省では、ICTを利用し、時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方であるテレワークの普及促進のため、先行事例の収集・表彰を行っています。
2023年度は、テレワークの十分な活用実績に加え、「テレワークの活用による経営効果の発揮」、「テレワーク時のコミュニケーション・マネジメント面の課題解決」、「地域産業の活性化や地域情報化の推進等の地域課題解決への寄与につながる取組」という3つの観点も重視し、審査が行われました。

フルリモート勤務を打ち出すことで、優秀な人材を獲得

——テレワークに取り組んだきっかけは何ですか?

2020年の緊急事態宣言です。外出自粛で出社もままならない状態が続いたので、どうしたものかと社内を見回すと、ITツールを使いこなすメンバーが揃っていることに気がつきました。当時は大所帯ではなかったこともあり、「失敗してもいいから、やってみよう」という気持ちで気軽に始められました。とはいえ、出社するのが普通の状態から、いきなりフルリモート×フルフレックス勤務に移行したので、問題なくできた部分と、そうではない部分があったのは事実です。

私がITに強かったこともありますが、利用するツールについては自ら選定し、スムーズに導入することができました。元々、社員全員が個人PCと社用携帯電話を持っていて、データもクラウドで管理をしていたので、テレワークの体制をつくること自体は1カ月もかからずにできていました。

課題となったのは主に勤怠管理などの細かな部分です。タイムカードはどうするのか。在宅勤務中の光熱費やインターネット回線使用料の負担はどうするか。中抜けして病院に行く場合、そのたびに上司の承認が必要なのか。そういった部分は社労士さんに確認し、一つひとつ解決しながら前へ進んでいきました。

——テレワークが優秀な人材獲得につながったのはなぜでしょう?

弊社は、PRとデジタルマーケティング支援という事業において、お客様から一定の評価をいただいていると自負しています。PR代理店という業態であることから、世間的な知名度はそこまで高くはありませんが、海外の大手企業やユニコーン企業の案件などを数多く担当しています。海外案件が多いので英語力は必須ですし、専門領域における高度なプロフェッショナルスキルが必要であることから、人材獲得には常に頭を悩ませていました。

そんな中、フルリモート勤務に移行していたこともあり、「能力の高い人はテレワークとの親和性が高いのではないか」と頭に浮かんだのです。弊社はグローバルに事業を展開しているので、フルリモート×フルフレックス勤務なら、国内の地方はもちろん、海外在住の方とも一緒に働くことができます。

さっそく「フルリモート×フルフレックス」を打ち出して求人を出してみたところ、予想以上に優秀な人材が集まってきてくれたのです。例えば、東京でキャリアを積んだけれど、パートナーの転勤で地方へ移住したため、キャリアを生かした仕事ができていない方。子育てや介護があるため、フルタイムでの勤務が難しい方などです。

弊社への応募理由として「フルリモートだから」を挙げる方がほとんどで、2020年からの3年間で、求人に対する応募者数は7倍になりました。従来の採用サイトだけでなく、SNSなどを使ってメンバーが社内の働き方を発信し募集告知ができるようになったことも、追い風になったと思っています。

ライフスタイルに合わせた働き方が選択できる

——採用面接や研修もフルリモートなのでしょうか?

採用面接や研修もほぼフルリモートです。ただ、採用面接に関してはリアルで会える環境の方とは最終面談でなるべく会うようにしています。弊社では多くのデジタルツールやオンラインツールを使っています。そこでつまずくようでは実際の業務に支障をきたすので、基本的なスキルの確認にもなります。ただ、デジタルスキルや試験の点数だけではなく、テレワークで仕事をするうえでは協調性やコミュニケーション能力が重要になるため、そこは重視しています。

採用後はすぐにフルリモート勤務ができるように、ご自身でアカウント設定などをしていただくことが必要なので、マニュアルを準備し、分からなければすぐに質問ができるようにサポートできる体制も整えています。

——自社のテレワークの特徴は何ですか?

雇用形態での待遇差や結婚・出産・病気・介護といったライフステージの変化など、個別の事情に捉われることなく、すべての社員がテレワークを実施しています。場所に捉われない働き方を実現するために、書類のペーパレス化を進め、クラウドサービスを活用しています。オフィス勤務、在宅勤務、モバイル勤務、サテライトオフィス勤務など、環境依存をなくしたボーダーレス環境を整備しました。

併せてスーパーフレックス制度や時短正社員制度、ワーケーション制度など、社員の要望に寄り添った制度を整え、世界中のどこからでも自分のライフスタイルに合わせた働き方を選択できる組織づくりをしています。

今の仕事の進め方としては、例えばイギリスのクライアント案件に対して、カナダから1名と日本から2名の社員で対応するなど、海外にいても日本の地方都市にいても、グローバルな仕事ができる環境が整っています。

ナレッジ共有や週1出社でコミュニケーションを活性化

——テレワーク時のコミュニケーション面の課題にはどう向き合っていますか?

テレワークでは、コミュニケーションが大きなネックになりますね。人間関係を構築する機会を作ることは会社の義務だと考えています。

リモート勤務は週4日にし、週1日は出社することを奨励しています。代表もカナダにいるので、カナダなど海外にも出社できるオフィスがあります。ただし、それは強制ではなく、評価や給与にも影響しません。また、役員を除く全員で月1回程度のランチミーティングを行っています。ほとんどはオンライン参加ですが、海外在住の社員も参加します。

業務の中では、隔週で営業会議を実施。それぞれの案件の進捗確認や困りごとの相談、アイデアの意見交換などを行っています。それ以外にも定例ミーティングがあったり、アカウントのメンバーで「こんなコトが流行っている」「こんな提案書を作ってみた」など各分野のナレッジを共有するなど、オンラインで話す機会はできるだけ多く設けています。

さらに、新しい取組や社内の制度などは、ただ通知するだけではなく、社長からの説明動画を制作し、資料と共に社内共有。コミュニケーションが活性化するようなツールの導入や社内研修なども積極的に行っています。

会社・社員双方の願いを叶えたテレワーク

——社員のエンゲージメント面に変化はありましたか?

テレワーク導入後に実施した社内アンケートでは、100%の社員がテレワークを含む会社の取組に対して「大変良い」と回答しています。職場の満足度に関する5段階評価では、「大変良い」36.0%、「良い」50.0%。テレワークの導入が従業員のエンゲージメント向上につながったことは間違いありません。

「毎日の通勤時間の削減によるストレスの軽減と時間の有効活用により、家族との時間やキャリアアップのための自己学習時間確保が可能になった」「海外移住して語学力やスキルアップのための勉強とキャリアの両立が実現できる」という声も上がっています。子育て中の社員からは「時短からフルタイムに転換もできるので、キャリアの選択肢が広がった」という声もありました。

——取組の成果についてはいかがでしょうか?

PRやデジタルマーケティングの領域は一見華やかに見えるため、未経験者を採用していた時は「思っていた仕事と違った」と、退職する方が多かったです。しかしテレワークを導入してからは、キャリアをあきらめていた優秀な人材の掘り起こしに成功し、専門領域で華々しい活躍をしているような人材も多く採用できました。仕事の質も上がり、売り上げはコロナ前の2倍になっています。

世界中どこにいても働ける環境を整備し、国内外問わず複数の地域から人材が集まったことで、文化や価値観が多様化し、新たな視点やアイデアが生まれています。今後はさらに従業員の多様化が進み、社員数の拡大も予測されるので、制度や管理方法に関しては改良を続けることが重要だと考えています。

子育てや介護などの事情で辞める人も減りましたし、能力のある人に海外や地方にいながらグローバルに活躍できる場を提供できたことは、会社にとっても大きな成果になったと実感しています。

  • $タイトル$
  • シェイプウィン株式会社
    取締役
    重谷敬代さん

    広報PRコンサルタント。KADOKAWA(メディアワークス、エンターブレイン)、ソニーのインターネット関連企業で広報、宣伝に従事。VAIO、Walkman、などのSONY製品、ライトノベル、コミックス、東京ウォーカー等の情報誌はじめ「テルマエ・ロマエ」などのメディアミックスなどを担当。現在は、銭湯から、IoTスタートアップ企業などイノベーションのある企業の広報・PRを多数担当している。

  • 労務・制度 更新日:2024/01/30
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